2024年9月9日月曜日

移民効果

移民、難民が他国に流入してその国の労働者の職を奪っている、という説が豪国では否定された。長いこと、戦争や経済的困窮によって移民してきた人々が、低給与でどんな悪い待遇でも働くので、国の若い人々の仕事を奪い失業率が上がる、という説が有力だった。そのため外国人労働者を差別し、忌み嫌う風潮があった。その最たるものは豪国の白豪主義だったし、ヨーロッパではいまも難民や移民を襲って命を奪ったり、迫害する差別が横行している。

昨年1年で豪国に移民してきた人は、留学生を合わせると、765、900人、人口2660万人の国で、これだけのひとが国境を越えて入国したため、豪国の失業率は、3.7%の下がって、2.5%の経済上昇がみられた。国銀は利上げを年末まで伸ばす予定だ。
世界的に不況にあえぐ米国金融業界に踊らされる世界経済の中で、インフレと物価高で、生活は苦しいが、労働者が増えたことにより移民による経済上向きの傾向は良い知らせと言える。
ヨーロッパや、米国では、毎日のように難民がボートや徒歩で渡ってきて、それを完全武装の国境警備隊が、暴力的に追い返したり、英国のようにルワンダに強制輸送したりしている。前大統領トランプは、米国メキシコ国境に壁を築いて移民難民排除を徹底し、自国保護主義を取ったが、ヨーロッパもそれに続いている。しかし、豪国のようにグローバルサウスから手に技術を持った人々を積極的に受け入れる政策は、経済力を高めるだけでなく、国力を強化している。

命からがら自分の生まれて育った国を捨てて、他国に逃れてきた難民を、良質の移民にするのは、ひとえに国の受け入れ態勢による。難民を、公的資金によって全国各地で語学教育と職業訓練を提供すれば、難民による都市への集中や、米国のような移民のスラム街への流入、犯罪の多発といった現象はくい止めることができる。

資本主義社会の当然の結果としておきて来ている気候変動と戦争、こうした人間の災難のなかで、その国が生き残れるかどうかは、その国力による。国力とは労働力のことで「人口」の多い国が強い国だ。また国力とはその人口を支える「農業」のことだ。しっかりした農業を基盤の持つ、人口を沢山抱えた国が生き残る。農業政策が疎かにされている日本の今の姿が残念に思える。移民をどんどん受け入れると同時に、農業を振興させてほしい。
I am singing [ THE BOXER ] By Simon & Garfunkel .