2024年9月11日水曜日

ソーシャルメデイアへの弾圧

デモに行こう、のアジビラをロウ紙に鉄筆で書いて謄写版で1枚1枚刷った世代だ。赤と黒の2色刷りに成功した時は嬉しくて嬉しくて、あの歩きにくい砂利の成城大の中庭を駆け回った記憶がある。
だから集まれ、とひとことメッセージするだけで一瞬に世界中に拡散されるというソーシャルネットワークのことはあまりよくわかっていない。
でも世界が変わり、地球上の富の半分は20数人の富裕者が所有している、と聞けば腹が立ち、GAFAが世界の富を握っている、と知れば不愉快きわまりない。

ロシア人でソーシャルネットワーク「テレグラム」所有者のパベル ドウロフ(39歳)がフランスで拘束された。
「テレグラム」は米国主導の西側ソーシャルメデイアと異なり、ロシアでニコライ、パベル ドウロフ兄弟によって作られたソーシャルメデイアで、今や月間10億人の利用者がいる。個人やグループでボイス、ビデオ、ファイルやメッセージをシェア出来て、20万人までのグループ活動を可能とする。2014年にロシア政府に個人情報の提供を要求されたが拒否したことで、起こりうる政府の圧力から逃れるために、ヘッドクオーターをUAEのドバイに移した。WHATS APP やLINEよりも安全性が高いのと言われるのは、メッセージやファイルが読まれた後、自動的に消去できるからだそうだ。いまロシアウクライナ戦の情報を報道する独立系ジャーナリスト達に、大いに利用されている。
パベルは、8月24日、自家用ジェット機でパリに着き、その場で逮捕された。当人はマクロン大統領に夕食に招待されていたのだそうだ。マクロンは、かねてからパベルにテレグラム社の本拠地をドバイからパリに移してほしいと提案していた。
パベルがロシアとUAEの国籍に加えて、フランスの国籍を与えられたのはマクロンによる好意(賄賂)のようなものだったろう。

パベルは、「違法取引をするプラットホームを管理している。それがチャイルドアビューズや、麻薬取引に悪用されている。」という理由で逮捕、起訴されたのち保釈されたが、今後取り調べが続き、フランスから離れられず、自宅のあるドバイには帰れない。
マークザッケンバーグや、イーロンマスクは、彼らのもつソーシャルメデイア利用者の個人情報に、CIAやM16や政府が検閲することに同意した。テレグラムが犯罪組織に利用されるリスクは、フェイスブックやインスタグラムやワッツアップやラインも同様だ。しかし国家がいつでも情報を引き出せる西側ソーシャルメデイアは野放しにして、思い通りにならないメデイアは潰そうとする。大国のエゴが、パベルへの弾圧という形で現れた。
ジャーナリズムが潰され報道の自由が名ばかりになった、と言われて久しいが、いまはパベルのもつソーシャルメデイアの受難を見守っていきたい。
Telegram Messenger owner Pavel Durov (39Y) Russian was arrested on August 24 by French police, when he stopped off his private jet that had landed in Paris. He lives in Dubai where he has Emirati citizenship.
He told he was travelled to Paris because he was invited dinner by French President Emmanuel Macron. Macron has been lobbying the entrepreneur to move his Telegram base of operation to France from Dubai, and Pavel was given French citizenship by Macron.
Telegram has grown worldwide nearly 1 billion monthly users, one of the major message apps and social media.
Pavel was charged complicity in crime ranging his social platform permits criminal organizations to trafficking drag and abuse children. The charge tells the owner of social network platform as being responsible for complicit in the content of the network is preposterous.
By content Western-base social media such as WHATS APP or LINE, FACE BOOK, INSTAGRUM or X ,Western controlled internet companies are allowing [ Back Door Access ] to supposedly private information for US and EU Authorities. The content of Western apps is also tainted with crime network and horrendously sordid material. That is why Mark Zuckerberg or Elon Musk never be arrested with same charges to Pavel.
In fact, Telegram is independent media network that is not controlled by Western regimes. Pavel is unable to leave France. and waiting the outcome of cybercrime investigation.
The Western authorities are killing free speech and independent social media.
I am singing [ I am a Rock ] by Simon & Garfunkel.



2024年9月9日月曜日

移民効果

移民、難民が他国に流入してその国の労働者の職を奪っている、という説が豪国では否定された。長いこと、戦争や経済的困窮によって移民してきた人々が、低給与でどんな悪い待遇でも働くので、国の若い人々の仕事を奪い失業率が上がる、という説が有力だった。そのため外国人労働者を差別し、忌み嫌う風潮があった。その最たるものは豪国の白豪主義だったし、ヨーロッパではいまも難民や移民を襲って命を奪ったり、迫害する差別が横行している。

昨年1年で豪国に移民してきた人は、留学生を合わせると、765、900人、人口2660万人の国で、これだけのひとが国境を越えて入国したため、豪国の失業率は、3.7%の下がって、2.5%の経済上昇がみられた。国銀は利上げを年末まで伸ばす予定だ。
世界的に不況にあえぐ米国金融業界に踊らされる世界経済の中で、インフレと物価高で、生活は苦しいが、労働者が増えたことにより移民による経済上向きの傾向は良い知らせと言える。
ヨーロッパや、米国では、毎日のように難民がボートや徒歩で渡ってきて、それを完全武装の国境警備隊が、暴力的に追い返したり、英国のようにルワンダに強制輸送したりしている。前大統領トランプは、米国メキシコ国境に壁を築いて移民難民排除を徹底し、自国保護主義を取ったが、ヨーロッパもそれに続いている。しかし、豪国のようにグローバルサウスから手に技術を持った人々を積極的に受け入れる政策は、経済力を高めるだけでなく、国力を強化している。

命からがら自分の生まれて育った国を捨てて、他国に逃れてきた難民を、良質の移民にするのは、ひとえに国の受け入れ態勢による。難民を、公的資金によって全国各地で語学教育と職業訓練を提供すれば、難民による都市への集中や、米国のような移民のスラム街への流入、犯罪の多発といった現象はくい止めることができる。

資本主義社会の当然の結果としておきて来ている気候変動と戦争、こうした人間の災難のなかで、その国が生き残れるかどうかは、その国力による。国力とは労働力のことで「人口」の多い国が強い国だ。また国力とはその人口を支える「農業」のことだ。しっかりした農業を基盤の持つ、人口を沢山抱えた国が生き残る。農業政策が疎かにされている日本の今の姿が残念に思える。移民をどんどん受け入れると同時に、農業を振興させてほしい。
I am singing [ THE BOXER ] By Simon & Garfunkel .





2024年9月3日火曜日

みんなお家に帰りたい

18年余りシドニーで、老人特別介護施設でナースとして働いている。癌末期、MS、アルツハイマー病、精神分裂病、人口経管栄養、筋ジストロフィ、人工透析、先天的身体障害など多種多様な患者をケアしている。ナースの仕事は主に、疼痛対策のモルフィネ投与、点滴注射、経管栄養、尿管管理、傷の手当などで、アシスタントナースが行う、食事、排せつ、シャワーなどの世話がスムーズにできるようにマネージする。それらを記録、報告するとともに患者家族との連絡も大切な仕事だ。
老齢の患者は、多くがアルツハイマー病や譫妄も併発していて異常行動が出る。歩き回ってじっとしていられない、スタッフや他の患者に暴力をふるう、机や家具をたたいて大きな音を出す、夜中じゅう意味不明の言葉を発する、着せてもすぐに裸になってしまう、食べ物を探してゴミ箱をあさる、性的な嫌がらせをする、など色々あるが、それを記録してスタッフと話し合い対策を考える。

この施設が病院と違うところは、ここが人生の終着駅だということだ。入口はあるが、出口は葬儀車の通用門だけ。どんなに華々しい豊かな人生を送った人も、つまずいて酒とドラッグでボロボロになった人も、お金もちも、貧しい人も、ハンサムで鳴らした人も、障害を持って苦労を重ねた人も、みんなみんな、カバン1つ持って入所してくる。
だからスタッフは、患者たちを自分の家族の一員のような思いで受け入れる。わたしが見送った人はの数は限りない。

すこし昔のことになるが、53歳で交通事故にあい、5歳以下の知能になってしまった人が忘れられない。もと農場主で大きな体をしているのに歩くのも走るのも、その表情も5歳の男の子のまま、わたしが出勤するのをドアのところで待っていて、入っていくと飛び上がって喜んでくれる。仕事中もずっと離れない。書き物をしていると、のぞき込む表情など5歳児そのものだった。眠れないときはベッドの横に座ってララバイを歌った。でもあっけなく感染症で遠くに旅立ってしまった。
歩行器でやっと歩けるおじいさんが、どうしても外出したいと言って聞かない。家族も友人もいない人なので、仕方なくスタッフの1人を付けて、思い通り外出させた。夕方おそく歩行器に2つの袋を下げて帰ってきた。うれしそうに1つの袋を別のスタッフ、もう1つを私に。中身はビスケットだった。そんなことのために大騒ぎを起こして街に行った優しいおじいさん。その頭の中では、自分が昔所有していた工場で、良く働いてくれる女工に甘いものを1つ、ご褒美に渡してやる、というような気持だったのだろう。

面会時間が過ぎると出入口に鍵をかけるが、それを見てパニックを起こす患者もいる。鍵をかけられ、閉じ込められて「もう家に帰れない」ではないか。みんな家に帰りたい。
それで私から鍵を取り返そうとした譫妄患者に、壁まで押されて首を絞められたことがある。また、何が契機か、怒って重いイスをかざしてスタッフを追い回す患者に手を焼いて警察を呼んだことも1度や2度ではない。済んでみれば笑い話だが、なかなかナースは危険な仕事でもある。

みんなお家に帰りたい、という。その家は、80歳90歳の患者たちが施設に来る前に住んでいたアパートや、結婚相手を失くして1人で住んでいた家ではない。自分が両親や兄弟と暮らしていた子供だったころの家だったり、結婚したばかりの幸せだった頃の家だ。だからみんな帰りたいお家はもうない。私にできることは、お家に帰りたいと泣く患者に「明日になったら一緒に行こうね。」「何色のお家だったっけ。」と話を聞いて、寝かしつける事だけだ。
わたしも、娘たちが独立して家庭を持ち、夫を見送り1人暮らしになって6年。東京から沖縄、レイテ島、マニラ、オーストラリアと移り住んできた。じきに老化して脳が委縮するだろうが、そのとき自分が帰りたい家はどこだろうか。願わくば、可愛がっていた沖縄生まれでマニラで逝った愛犬が,ちゃんと待っていてくれて迎えに来てくれると嬉しい。

I am singing [ Home Sweet Home] written by Henry Bishop.
Japanese lyric by Tadashi Satomi.