2025年12月15日月曜日

ボンダイ乱射事件

いまシドニーのボンダイビーチは、数千の花束で埋まった。
昨日の12月14日、日曜日の夕方、ビーチの公園では、ハヌカ(HANUKKA)というユダヤ教のお祭りを祝うイベントが行われていた。そこで、2人のライフル銃を持った男が、銃を乱射して犯人を含む、15人が死亡、40人が負傷した。犯人1人を含む数人が生死の間をさまよっている。死亡した15人の中には、ラビとその親戚の10歳の子供も居て、87歳のホロコーストの生き残りもいた。

犯人の2人は親子で、父親は30年前に移民してきて、息子はオーストラリア生まれ、2人とも前科はなく、イスラム過激派といった様子もなく豪州スパイエイジェンシーのテロリスト要人物でもなかった。父親は銃撃戦でポリスに殺されたが、銃のライセンスを持ち、法に沿った方法で銃を手に入れていた。犯行声命はなく、現在負傷して意識のない息子の回復を待って、取り調べが行われる。

この事件は明確にユダヤ人を攻撃したもので政府も、警察も、マスコミも「アンチセミチズム」反ユダヤ主義による犯行とみている。
イスラエルのネタニヤフ首相は、いち早く、豪州はパレスチナを独立した国家として認める、といった軟弱な政府でユダヤ人をまっとうに守っていないから、こうした事件が起きた。豪州政府は、WEAK 弱虫で弱虫で弱虫だ、と非難した。嬉しそうにWEAKと連発するネタ二ヤフは、他国政府を平気で侮辱する下品な奴で、本当にうんざりする。
EUの国々のトップや米国政府でさえ、亡くなった無垢の市民とその家族への慰めを表明しているのに。

豪州政府とニューサウスウェルス州知事は、これを機会に銃規制を厳しくすることを約束した。すでに豪州では一度の自動射撃で沢山殺せるオートマチックガンの所有は禁止されている。今後銃所有者や新たに購入する人には厳しい条件が設けられるだろう。

こうした事が起きたときに、特異に感じられることは、豪州ではまず事件をニュースで知った一般の人々が、花束やメッセージを書いたカードを持って現場に集まってくることだ。悲しみを共有するために、直接関係のない人々が行動に出る。20年近く前に、シドニー中心街で、カフェに銃を持った男が立てこもって犠牲者が出た。現場近くに居たのだが、そのニュースが流れたとたんに、たくさんのオフィスから 人々が花束を抱えて、そのカフェの前が花束の山になった。また献血所もすぐに人々が並ぶ。採血室がいっぱいになって人々が2時間も3時間も並ぶ。犠牲者への献金もたちまち集まる。今回亡くなった10歳の子供のために24時間足らずで1,800万円も集まったが、そのスピードに驚かされる。クリスチャンバックグランドの国ならでは、だ。

ユダヤ人攻撃が起きて、一番心配されることは「報復」で、モスリム、アラブの人々が攻撃されることだ。
アルバニー二首相は、銃を乱射していた犯人に飛びついて、自分は、2発も銃を撃たれたのに怯まず、犯人から銃を奪った人が、43歳のシリア人移民だったことを、インタビューで強調した。モスリム犯人の暴発をモスリムが防いだ。おかげで犠牲者が少なくて済んだのだ。それを強調することで「モスリムがユダヤ人を攻撃した」といった単純な理解を、人々がしないように気を付けている。
ユダヤ人が攻撃されたことで、報復攻撃が起こらないように、いま報復警備に500人の特別警備隊が出動している。

また「ウィットネスサポートセンター」が、ボンダイに設置された。事件を目撃したり聞いた人が、心理的にトラウマに陥らずに済むように、心のサポートをする場が設けられた。人は人が死ぬところを見たり、血を見ただけで心に傷を負うことがある。早いうちに対策が設けられたこと、これは高く評価したい。

圧倒的な国家権力や、戒厳令的な完全武装した軍や、統制、訓練された国家殺人部隊など、こういった強力な敵にはゲリラ戦、レジスタンスで対応するしかない。さらに残忍でスパイ組織を持った権力に抗するためには北一輝のような1人1殺のテロ抵抗するしかない場合もある。だからテロが起きたとき、PTAのおばさんみたいに「暴力はいけない、テロは間違っている他の方法があるはず。」などとは私は思わない。テロでしか対応できないこともある。ただ、今回の出来事は、イスラエルのユダヤ主義のためにパレスチナの人々が苦しんでいる事実に密接に関わっている。
マスメデイアや、政府当局がどう動くか、人々がどう反応するか、冷静に見ていきたい。



2025年12月13日土曜日

最低賃金法

円安が止まらない。
ニュースを聞いてドル100円が103円になり、さらに下降しているスピードが怖いほどだ。
厚生労働省の中央最低賃金審議会が、2025年の最低賃金を、全国加重平均で60%引き上げ、時給1118円とする目安を決めた。昨年の目安を50円上回り、過去最高の上げ幅を記録した、という。現在の最低賃金は全国平均で、時給1055円だが、政府は2020年代に1500円に上げる目標を掲げている。
米国で時給1500ドルを要求して、労働者が大規模デモを繰り広げたのは去年で記憶に新しい。

日本の最低賃金が問題なのは、それが政府や雇用者の「めやす」であって、義務ではないことだ。
全国共通の最低賃金法という守るべき法があって、最低賃金を守らない雇用主を、厳しく取り締まり罰則を設けなかったら、意味がない。日本のGDPが増え続けているが、格差の大きさを示すジニ係数は上昇している。ということは、全体の収入は増えているが、リッチな層の収入が増えているだけで、プアな層の収入は変わらない。パート、非正規労働者は物価高のなか、益々プアになっている。

だから最低賃金を引き上げるだけでは意味がない。リッチから取るべきものを取る「税制」を本気で変えないといけない。
正規労働者と、女性では43%が従事する非正規労働者の待遇改善、格差是正、地方と都市の賃金格差の調整、最低賃金を外国人労働者にも適用するべき、など、政府がすべきことはたくさんある。
豪州では現在、最低賃金が、時給24.95ドル(2495円)、これが義務化されている。

雇用主は、雇った人がパートであろうと、非正規労働者であろうと、留学中の学生であろうと、ワーキングホリデイの若者であろうと、フルーツピッキングなどの季節労働者であろうと、正規労働者同様、最低賃金は保証される。それを守らずピンハネする雇用主は、通報され適正賃金を払うまで、怖い怖い税務署から、重い重い重い罰金で、罰せられる。
また、雇用主は労働者に払った賃金の9-12%の金額を、それぞれの労働者の指定する年金会社に納めなければならない。稼いで、さっさと豪州から自分の国に帰っていく季節労働者や、ワーキングホリデイの若者は、その年金をもって帰国する。

また正規労働者には年に1週間の有給病気休暇があって、診断書によっては長期療養が必要な場合は病欠を伸ばすこともできる。有給休暇は、職種によって異なるが、医療従事者の私の場合は、年に6週間有給休暇が取れて、それを翌年、翌翌年に繰り越すこともできる。
さらに、10年以上同じ職場で働いてきた人には、3か月間の長期有給休暇が、ご褒美にあって、その休暇を取らずに給与に換算して受け取る人も居る。私の場合は年休も長期休暇も一挙に取らず、ちびちびと使って家族と共に過ごす時間を大切にしている。

日豪労働者事情の一番の違いは、非正規労働者への扱いかもしれない。
病欠や有給休暇のある正規労働者よりも、それがない非正規労働者の方が、時給が25%高い。非正規労働者は、時給3119ドル(3119円)で働いている。有給や病欠がない分、当然の資格だ。

日本では、人手不足を言われて久しいが、日本の公立病院の人員募集で「40歳以下の有資格者」とされているのを見て、カッと頭に血が上った。わたしは今75歳で現役フルタイムで働く医療従事者。私が女性で、日本人で、若くなく、英語もジャパグリッシュなまりだが、豪州では差別禁止法がしっかりしているので、誰一人「仕事を止めろ、とか、頼むから引退してくれ。」とか言う人は、絶対居ない。好きでやっていることだから 放っといてもらいたい。で、放っといてもらっている。

日本に必要なのは、人を人種、職業、性別、性的嗜好、出身国、言語、宗教などで差別してはいけない、という「包括的差別禁止法」、それと「最低賃金法」ではないか。
日本の深刻な人手不足に対応し、インフレ物価高に対処するには、労働者をきちんと保護すること以外に方法はない。
「埴生の宿」を歌ってみた。


2025年12月10日水曜日

世界の核弾頭

世界中ですでに配備されていて、いつでも発射できる状態の、現役核弾頭は、計9615発あると推定される。これは2025年6月に長崎大学核兵器廃絶研究センターが発表したデータだ。
ちなみに、他のデータから、地球上のすべての命ある生き物を皆殺しにして絶滅させるのに必要な核弾頭は、6発あれば十分なのだそうだ。
9615発 対 6発
現役核弾頭保有数は
ロシア:4310発
米国 :3700発
中国  :600発
仏国  :290発
英国  :225発
パキスタン:170発
イスラエル:90発
北朝鮮 :50発
国民の直接選挙で選ばれた米国大統領には、他国にない大きな権限が与えられていて、この核ボタンを自分の判断で、いつでもどこでも押すことができる。大統領が外遊などで、ホワイトハウスの司令塔に居ない時でも、ボタンが押せるように、ニックネイム:ニュークリアフットボールという核ボタンの入った黒カバンを大統領従者が持っていて、大統領からは一時も離れないで居ることが義務化されている。
かつて現職大統領で初めて、広島の原爆記念碑を訪ねたオバマ大統領にも、この黒カバンが催行されていた。
大統領就任式で、この黒カバンは大統領から次の大統領へと直接手渡しされる。

ところで、大きな権限を持つドナルドトランプも79歳。会議中眠ってしまうなど、彼の脳の老化を危惧する声が出ている。
かれは、今年10月29日、自身のツイッターで、中国の習近平国家主席との会談後、「米国はどの国よりも多くの核兵器を保有している。私の大統領第1期目に、既存兵器の完全な更新と改修をした。ロシアは米国に次いで世界第2位、中国はそれに大きく離れて、やがて5年以内に第3位になるだろう。他国が実験計画をしているので、米国も同等の実験をするように戦争省に指示した。」と書き込んだ。
びっくりしたのは米国市民よりもペンタゴンだろう。米国の核兵器を管理しているのはエネルギー省であって、戦争省ではない。世界最大の核弾頭保有国は、米国でなくロシアだ。いま、核兵器を実験している国は皆無だ。ロシアはソビエト連邦時代末期以来、35年間核実験などしていない。

だいじょうぶか ドナルドのおつむ!

今すぐ発射できる核弾頭を3700発もっていて、世界のどこにいても、いつでも発射ボタンを押せる黒カバンを持ち歩いている世界最強の男、だれもが憎んでいる、にもかかわらず無視することができない。モニカルビンスキーのスキャンダルごときで、大統領罷免運動が議会に上ったかつての米国議会、今どうしてドナルドを引きずりおろせないのか。日本も同様。どうして彼女を、、、。
写真はニュークリアフットボールとバイデン