2024年10月23日水曜日

赤狩りが始まっているのか

市民社会で赤狩りが、もう始まっているのか?
シドニーの公園の壁に「HAMAS」と落書きした人を、極悪犯全国指名手配のように、CCTV監視カメラが捉え警察が追っている。この人に心当たりがある人はすぐに警察に申し出るように、と今夜のニュースで報じられた。
人を殺したわけじゃない。傷つけたわけでもない。たかが落書きだ。これによってホロコーストを経験したユダヤ人が傷つくからだ、とアルバニー二首相は言う❓。オーストラリア政府は、米国に追随してパレスチナのハマスと、レバノンのヒズボラをテロリストグループだと断定した。
事実ではない。
ハマスはガザの人々が選んだ政府組織であり、ヒズボラはレバノンの最大軍事組織だ。それを他国、米国を中心とした西欧グループが勝手にテロリストと呼んでいる。
イスラエルと米国という世界最強最悪の無法者、世界の暴力団によってパレスチナ人は4万4千人の市民が命を奪われ、レバノンでは数千人が亡くなっている。
停戦を求めパレスチナ支援のデモが世界中で行われ、シドニーでは毎週土曜日にデモが行われているが、ハマスやヒズボラの旗を振った人は、テロリストであるとして警察が逮捕している。パレスチナに連帯を求め、旗を振ってどこが悪いか?しかし政府は、デモで逮捕された人が移民であった場合、永住権もビザもキャンセルして本国に強制送還するという。
昨日までイスラエル、パレスチナ1国2政府にすべきだと言っていたオーストラリア政府が、ネタニヤフと一緒になって、「最後の1人までハマス撲滅」を叫んでいる。イスラエルに停戦を求めていると、この1年間言い続けてきた米国民民主党も、共和党も、「ハマスとヒズボラ壊滅一掃」を求めて軍事支援を強化している。

かつて、湾岸戦争の時、米国の目的は、サダムフセイン大統領殺害ではなかった。イラクのオイルだ。それをいま米国はすでに手にしている。

かつて、リビア戦争で米国の爆撃の目的は、カダフィ大佐暗殺ではなかった。リビアのオイルだ。それをすでに米国は手にした。

かつて、シリア戦争の米国の目的は、アサド大統領を倒すことではなかった。シリアのオイルだ。アサドを倒さずとも米国はシリア領土の半分を侵略しすでに主要な油田を占有している。

そして今回のイスラエルに代行させている戦争の目的は、ハマスを倒すことだけではない。米国が武器支援する目的はイランのオイルだ。
米国が民主国家だなどと思ってはいけない。いつも暴力で世界の資源を奪ってきた。

「人々を受動的かつ従順に保つ懸命な方法は、議論の範囲を厳しく制限しながら、その範囲内で非常に活発な議論を許すことだ。」とノーム チョムスキーは言う。
トランプが勝つか、ハリスが勝つか、意味のない議論に熱中している間に、数えきれないパレスチナ人が殺されている。
どっちが勝っても、「さらなる大量兵器をネタニヤフに与えるのは、どっちか」、という違いに過ぎない。

旧い友達SUEMARRの作った「道路」を歌ってみた。

I am singing [ MICHI ] written by SUEMARR, my old friend.


2024年10月9日水曜日

黄色い旗を持て!

10月7日シドニーの真っ青な空に、沢山の黄色い旗がひるがえり、風に吹かれてはめいた。何も書いていない黄色い旗。
豪国ではイスラエルに停戦を求め、44000人余りの命を奪われたパレスチナを支援するデモが、毎週土曜日に各地で、ずっと行われてきた。
しかしイスラエルが本格的に戦線を拡大し、レバノンに侵攻し始めてから豪国政府は、ハマスとレバノンのヒズボラの旗を公共の場で持ったら、テロリスト組織の一員とみなして逮捕拘束し、豪国のビザをキャンセル、母国に強制送還する、と発表した。すでに逮捕者が出て警察で取り調べを受け保釈の身でいる。
これに抗議して、ヒズボラの旗でなく、黄色いが、何も書いていない旗を人々はもってデモをした。凄いパワーだ。勇気が出る。

1年前、2023年20月7日、パレスチナのガザで、ハマス政権の軍事部門は3000人の戦闘員をイスラエル領内に送り、1200人の土地占領者を殺し240人の人質を取った。
なぜか
パレスチナは1967年以来イスラエルの占領下におかれ、2007年パレスチナ自治区の民主的選挙によってハマスがガザを統治するようになってからは、この占領地が完全に高い塀で封鎖され、産業基盤が破壊され、水も電気も自由に使えなくなり、230万人の住民が、わずか365平方キロの土地で、貧困ライン以下の生活を強いられてきたからだ。土地を奪われ生活の糧を収奪され,、日々イスラエル占領者の暴力と嫌がらせを受けてきた飢えた人々の、これは反逆だった。
10月7日の越境攻撃を、イスラエル、米国、NATO加盟国、豪国はハマスによるテロだと断定したが、イスラエルという入植者による暴力と占領をはねのけるアラブ民族の反乱、天井のない監獄に閉じ込められてきた人々の自由と解放を求める行為だったと考える方が理にかなっている。

1周期を経て4万4千人のパレスチナ人がイスラエル軍によって殺され、今も殺され続け、それを支援してきたレバノン人も数千人の死亡者が出ている。
イスラエル軍はまず病院と学校を破壊した。ガザに入ったジャーナリストを狙い撃ちして殺している。ジャーナリストだけで130人の犠牲者が出た。いまや、PRESS の防弾チョッキを着ていると狙い撃ちされるので現地に残っている記者たちは平服で活動している。国連の勧告も、国際刑事裁判所の命令もイスラエル政府は無視している。
イスラエルはハマスの政治局長、イスマルハ二ヤをイランで暗殺した。レバノンの宗教指導者、ハサンナスララをベイルートで暗殺した。
西側諸国はハマスとヒズボラをテロリストと言うが,、ハ二ヤとナスララの居場所を突き止めて暗殺するようなイスラエル秘密警察モサドを本当のテロリストというべきではないか。世界中に散らばるユダヤ資本の豊富な資金でイスラエル秘密警察は、どんな卑劣なこともできる。

ハマスに10月7日家族を殺されたり人質に取られたイスラエル人の話を報道で聞いて驚いたのは、これらの被害者の怒りがハマスではなく、イスラエル政府に向けられていることだ。銃を持った兵が侵入してくる恐怖の中で、鍵のかからない部屋のドアを開けられないように17時間ドアノブにしがみついて家族を守った父親。道路に死者が沢山倒れているのに、5時間も警察の出動が遅れたこと、ガザとの境界線で住む入植者の怒りは、イスラエル政府に向けられていた。彼らもまた政府の言う通り入植した普通の人々だったのだ。

ハマスとヒズボラの旗を持つことで、豪国警察に拘束され、ビザを奪われ、母国に強制送還になる危険を脅かされても、黄色い旗を持つ人々は居る。人類の歴史は抵抗の歴史だ。日本でむかしインターナショナルの歌が禁じられた。「立て」の「た」を言ったところで人々は治安維持法で逮捕された。しかし人々は歌詞を変えて歌うことを止めなかった。それも禁じられたら、こんどはハミングで歌った。ハミングも禁止されたら、肩を組んで心の中で歌うだろう。それをだれも禁止できない。

「インターナショナル」と「ワルシャワ労働歌」を歌ってみた。
I am singing [ INTERNATIONAL] and [ WARSZAWIANKA ]


2024年10月3日木曜日

イスラエルはレバノンから手を引け

脳の中で警報が鳴り響いている。この1週間でマスコミによる報道の色合いが変わった。
イスラエル軍によるレバノン空爆、ミサイル攻撃に加えて地上侵攻がすでに始まった。レバノンの国際空港は閉鎖された。米軍はイスラエル軍をサポートするために軍隊を送り、地中海に空母を据えて睨みを利かせレバノンからのミサイルを撃ち落としている。激しい爆撃の中を、ベイルートの20万人の市民は、ガザ市民同様、どこに避難しろというのか。

豪国政府は、レバノンへの戦争拡大に反対するデモで、ヒズボラとハマスを支持し、彼らの旗や写真をもってデモに参加した者は、テロリスト組織の者と断定して拘束し、豪国のビザをキャンセルすると発表した。
豪国は4人に1人は外国生まれ、豪国国籍を取らずに永住権を得て一生豪国に暮らす人の多い移民国家だ。日本は2重国籍を認めないから私も永住者、30年近く家族もみな豪国で暮らしている。日本には40年余り住んでいない。もし明日パレスチナ支援デモで、ヒズボラかハマスの旗を振ったら、ビザを奪われ40年余り住んだことのない、兄弟や親類も居ない日本に強制送還される。
ビザを取り上げられるということは移民にとって最も恐れることだ。戦火を逃れ命からがら難民となったアジアやアフリカから来た人々や、差別から逃れて移民してきた人にとって、もとの国に帰れ、ということは直ちに死を意味する場合もある。
即時停戦、戦線拡大反対を主張して、イスラエル政府にプレッシャーをかけてきたのは、国連がこの数か月やってきたことだ。世界中の心ある人々の主張してきたことだ。ハマスに連帯して旗を持って何が悪い?

世界の暴力団 米国とイスラエルが暴れ放題をやって、パレスチナ市民を4万4千人以上、レバノン市民を数千人殺して、まだ殺したりない。血に飢えた顔で米国は、「平和と民主主義のために停戦を求める。」と言い、言葉に反して武器をイスラエルに送り続ける。年間38億ドルの武器では足らず、追加予算で140憶ドルの武器を送る米国。
これをチャンスに、ユダヤを批判するものはすべてユダヤ人迫害主義者だと、主張してパレスチナ民族殲滅を、もう1年間も続けてきたイスラエル。イスラエルに「即時停戦、イスラエル軍撤退、パレスチナ自治区を取り戻し、自治政府を認定し、西バンクのイスラエル人セトラーによる土地を返還する」要求は国連が国際法に従って主張してきたことだ。理性を持つすべての人の主張ではないか。
さらにイスラエルは最もしてはいけないことをした。レバノンのシーア派宗教指導者ハサン ナスララを暗殺したこと。これはバチカンの法王を殺すようなものだ。ナスララという人々の心に支えになっている宗教のリーダーを殺したということは、軍のトップコマンダーを殺す以上の大きなインパクトを持つ。
ネタ二ヤフは昨日「今が古くからの敵を抹殺する絶好の時だ。」と言い放ったが、ユダヤ人の敵はイスラムではない。

ハマスはテロリストではない。パレスチナのガザ自治区で民主的に選ばれた政権だ。そして、ヒズボラも、テロリストではない。レバノンの軍隊の中で60%の多数を占める軍隊組織だ。
米国とイスラエルの張ったテロリストというレッテルを、そのまま信じてはいけない。
米国とイスラエルは、その血に染まった手を戦線から引け!

古くからの友人、吟遊詩人スーマ―作詞作曲の「夜明けまで」を歌ってみた。
I am singing [ TILL DAWN ] by SUEMARR.



2024年9月20日金曜日

戦争に暗躍する秘密警察

どうして北アフリカには象やキリンやシマウマがいないのだろうかと、ずっと不思議に思っていた。どうしてガゼルやライオンやピューマが、サバンナでくつろいでいるのを見るために、セレンゲテイまで行かなければならないのか、長い間疑問に思っていた。
それが、数千年前にローマ帝国がコロシアムで、グラデイエイターと戦う見世物のために、数千頭の野生動物が連れてこられて殺されたからだったと知って、強い衝撃を受けた。
紀元前700年代に狼に育てられたロムルスによって建国されたローマの物語、「ガリア戦記」のカイサルの目の覚めるような活躍、トライアヌス皇帝の物語に惹かれてローマ帝国が大好き人間だったが、一瞬でその思いが吹き飛んだ。

殺すのが大好きなヒト。殺すのを見物するのが大好きなヒト。

9月17日からレバノンの国中で、数百のポケットベルが爆発して死傷者4000余りが続出している。
あちこちで、ポケットベルが遠隔操作によって爆発し、レバノンのコミュニケーションシステムが破壊された。人の多く集まる市場で、祈りをささげるモスクで、学校で、日々働く人々のオフィスで、ポケットベルが爆発している。これからもっと死傷者は増える。
レバノンのヒズボラは人々に、外国情報機関にコントロールされる可能性のあるスマートフォンを避けて、ポケットベルを使うようにアドバイスしていた。数が月前にヒズボラが注文した数百個のポケットベルが手元に届くまで、税関でイスラエル秘密警察のモサドが、ポケベルを解体しリチウム電池を爆発物に交換し、それが暗号でメッセージが送信されたときに爆発するように細工した。英国の秘密エージェントMI-6も、これに加担したことを認めている。

ヒトは殺すのが好きだ。殺すのを見物するのも好きだ。

ゴリラは戦いが起きた時、殺し合わない。ボスのシルバーバックが両者の間に大きな体を割り込ませて、大きな目でじっと見つめるのだと言う。思慮深いゴリラに見つめられて両者は興奮が冷め、互いに敵意がなくなって、争ったことを恥じるようになるのだのだという。
なぜ、ヒトはゴリラ並みの知性と品格と良識をもてないのだろう。

Why there is no Elephants, Lions, Giraffes in the North Africa? Why I have to go South Africa to see Cheetahs, Leopards, and Panthers? I have been wondered long time. The answer is since before the Christian Era, Roman Empire abducted thousands, thousands animals, hunted, putting in small cages ,bring to Roma and forced to fight with Gladiators in Colosseum.
Human loves killing and human loves to watch killing. That is human history.
From 17 September hundreds pager devices exploded in Lebanon and more than 4000 people injured and some were dead.
Since several months ago Lebanon, Hizbulla had urged advised to people to avoid smart phone, which can be controlled by foreign intelligence services, and advised to use pagers to receive messages and alarm. Hizbulla ordered hundreds pagers from overseas, and during shipment to Lebanon, the secret services manipulated pagers.
Later manipulated pagers exploded and children's limbs blew up, driving Ambulance cars flied away to the sky, women shopping at market burned their faces, office workers lost their eyes, and 4000 people victimized.
The secret service MOSSAD and UK agent MI-6 involved in the affair, MI-6 told to media.
A human loves killing and loves to watch killing.
In the Gorilla society, they never kill each other and a big boss Silver Back used to stay between one and other while argument occur. The boss stay and gazes, stares each of them until they calm down and both are ashamed them selves.
Why human can not obtain humbleness, discretion, wisdom, modesty, and enlightenment, like a Gorilla.
I am singing [ Don't Look bank in Anger ]



2024年9月18日水曜日

おべんとう

豪国には給食と言うものがないから、子供たちは幼稚園から高校を出るまで学校にお弁当を持っていく。
お弁当の中身がピーナツバターを塗っただけの食パンだったり、ニンジンとバナナだったりすることで、日本から来たお母さん方はびっくりする。私も初めてバナナとリンゴを持って行く子を見て、上野動物園の飼育係が持っていたゴリラのランチそっくりだと思った。

写真はスーパーマーケットで売っているミニトマト、ミニキウリ、ミニキャロットの写真で、一口サイズなのでお弁当に最適だ。ヒトは社会的な動物で、男も女も社会に参加するようになったから、専業主婦という言葉は21世紀に死語になった。みんな忙しいからお弁当は簡単な方が良い。
お弁当というと優しいお母さんが毎朝作ってくれたお弁当に良い思い出を持っている人が多いかもしれないが、私の母は家事が大嫌いだった。母は子供の時から爺やと婆やに世話されて、2人の兄にチヤホヤと大事にされてきた。兄たちに両側から手を取られてベレー帽、ロングスカートにハイヒール姿の母が、銀座を闊歩する写真を見たことがある。父と一緒になって家事をすべて任されて、いつも機嫌が悪かった。その母は79歳で癌で亡くなったが、2か月違いで2人の兄も亡くなっていた。本当に仲が良かったのだ、だから兄達に両腕を任せながら幸せに旅立ったのだと思って、悲しくなくて、幸せな気持ちで見送った。

一方の父は、70歳まで早稲田の政経で教壇に立ち、「メシ食いに来い」と、どの学生にも声をかけていたから、家には書生のように半分住み着いているような学生が何人もいた。母が怒るわけだ。私は 小学校ではアメリカに押し付けられた脱脂粉乳のミルクとコッペパンの給食を食べていたが、中学になると、怒れる母のお弁当を持参することになった。
ある日、お弁当箱を開けると白いご飯の上に小さなコロッケがひとつ、その上を弁当箱の蓋をギュっと押し付けられて、破裂コロッケが飯の上で無残な姿でのびていた。それをみたガキどもが「大内の弁当すごい!」と騒ぎ出し、見物人数えきれず、、、。
運悪く翌週は課外学習で、お弁当は海苔巻きだった。きれいに細巻き干ぴょうを巻いたのを、切って器に入れてくれればよかったものの、シャレたつもりか竹の皮で包んであった。背負って走り回ったザックの中は洗濯機状態。前の姿が想像できないくらいに変形していた。それもなぜ忘れたのか、切っていない。長いままの細巻きのヒョロヒョロが、ザックの底で転がっていた。以来、「大内の弁当すごい!」は、半径50メートル内では有名だった。

今私が住むシドニー中心に、マーチンプレイスという日本でいう霞が関のようなビジネスオフィス街がある。そこに昼間だけ屋台の果物屋がいくつか店を出す。ボトルの水や果物のバナナや洋ナシやリンゴを1個ずつ売る。小さなパック入りのイチゴやスイカやパイナップルもある。ビシッと背広三つ揃いを着たビジネスマンが、パック入りのイチゴを買うなり、歩きながら食べる姿を見ると、健康的でいいなあ、と思う。子供も大人も健康的でいいなあ、と思うけれど、私は誰かが作ってくれたご飯を2段、海苔で2階建てにして、上品な出し巻き卵と佃煮が乗ったお弁当が食べたい。



2024年9月14日土曜日

スイミング効果

2年前に、職場で体重124キロのおばあさんの車椅子を押して、膝を骨折した。
重い車椅子の方向を変えようとして無理な動きをしたらしい。職場では、慣れないことをするからだ、看護補助を待たなかったのが悪い、そんなことで簡単に骨折する骨って、砂糖でできているのか、毎日骨折だねー、と散々こき下ろされて笑われて、しばらくふてくされていた。
リハビリに水泳が良いと言われて、6月の南半球では真冬だったが近所のジムの温水プールで泳ぎ始めた。

その水泳を今でも続けている。まる2年と3か月。
自分でもよく続けてきたと思う。久しぶりに水の中に自分を浸してみた時、自分の体が喜んでいるのがわかった。ヒトも動物も植物もみんな生き物は、海から来たのだ、と言うことが実感できる嬉しさだった。半分沈みながら、ゆっくり泳いでみると、だたそれだけで嬉しい。しばらく水の上で浮かんで大の字になって漂っていると、大地と水と空が実感できる。無限に体が自由になったようだ。時々自分がイルカになったり、アメンボウになったりする。
毎朝6時にジムが開くのと同時にプールに飛び込むと、そのうち朝日がゆっくり昇ってくる。ビル最上階にあるジムの良さだ。300メートルほどを1時間かけて泳いで、帰りは,開いたばかりのベーカリーでバケットか、クロワッサンを1個買って帰ってくる。
ジムで友達もたくさん出来た。早い時間に行くので、その頃に来る人々はジムで汗を流した後、あわただしく職場に向かう。中国人のIT、スリランカの会計士、フィージーのペンキ屋、オージーの障害児学校の先生、、結構深刻な社会問題を水の中で話したりもする。
これを書いていて、なんか自分がとても贅沢で、満足っぽい生活をしている、と感じる。怪我の功名というのか。74歳、現役のナース。こんな健康な生活がずーっと続けられますように、、、。

作詞作曲:福田満「うたと薔薇」を歌ってみた。
I am singing [ POET-ROSES ] written by MITSURU FUKUDA.



2024年9月11日水曜日

ソーシャルメデイアへの弾圧

デモに行こう、のアジビラをロウ紙に鉄筆で書いて謄写版で1枚1枚刷った世代だ。赤と黒の2色刷りに成功した時は嬉しくて嬉しくて、あの歩きにくい砂利の成城大の中庭を駆け回った記憶がある。
だから集まれ、とひとことメッセージするだけで一瞬に世界中に拡散されるというソーシャルネットワークのことはあまりよくわかっていない。
でも世界が変わり、地球上の富の半分は20数人の富裕者が所有している、と聞けば腹が立ち、GAFAが世界の富を握っている、と知れば不愉快きわまりない。

ロシア人でソーシャルネットワーク「テレグラム」所有者のパベル ドウロフ(39歳)がフランスで拘束された。
「テレグラム」は米国主導の西側ソーシャルメデイアと異なり、ロシアでニコライ、パベル ドウロフ兄弟によって作られたソーシャルメデイアで、今や月間10億人の利用者がいる。個人やグループでボイス、ビデオ、ファイルやメッセージをシェア出来て、20万人までのグループ活動を可能とする。2014年にロシア政府に個人情報の提供を要求されたが拒否したことで、起こりうる政府の圧力から逃れるために、ヘッドクオーターをUAEのドバイに移した。WHATS APP やLINEよりも安全性が高いのと言われるのは、メッセージやファイルが読まれた後、自動的に消去できるからだそうだ。いまロシアウクライナ戦の情報を報道する独立系ジャーナリスト達に、大いに利用されている。
パベルは、8月24日、自家用ジェット機でパリに着き、その場で逮捕された。当人はマクロン大統領に夕食に招待されていたのだそうだ。マクロンは、かねてからパベルにテレグラム社の本拠地をドバイからパリに移してほしいと提案していた。
パベルがロシアとUAEの国籍に加えて、フランスの国籍を与えられたのはマクロンによる好意(賄賂)のようなものだったろう。

パベルは、「違法取引をするプラットホームを管理している。それがチャイルドアビューズや、麻薬取引に悪用されている。」という理由で逮捕、起訴されたのち保釈されたが、今後取り調べが続き、フランスから離れられず、自宅のあるドバイには帰れない。
マークザッケンバーグや、イーロンマスクは、彼らのもつソーシャルメデイア利用者の個人情報に、CIAやM16や政府が検閲することに同意した。テレグラムが犯罪組織に利用されるリスクは、フェイスブックやインスタグラムやワッツアップやラインも同様だ。しかし国家がいつでも情報を引き出せる西側ソーシャルメデイアは野放しにして、思い通りにならないメデイアは潰そうとする。大国のエゴが、パベルへの弾圧という形で現れた。
ジャーナリズムが潰され報道の自由が名ばかりになった、と言われて久しいが、いまはパベルのもつソーシャルメデイアの受難を見守っていきたい。
Telegram Messenger owner Pavel Durov (39Y) Russian was arrested on August 24 by French police, when he stopped off his private jet that had landed in Paris. He lives in Dubai where he has Emirati citizenship.
He told he was travelled to Paris because he was invited dinner by French President Emmanuel Macron. Macron has been lobbying the entrepreneur to move his Telegram base of operation to France from Dubai, and Pavel was given French citizenship by Macron.
Telegram has grown worldwide nearly 1 billion monthly users, one of the major message apps and social media.
Pavel was charged complicity in crime ranging his social platform permits criminal organizations to trafficking drag and abuse children. The charge tells the owner of social network platform as being responsible for complicit in the content of the network is preposterous.
By content Western-base social media such as WHATS APP or LINE, FACE BOOK, INSTAGRUM or X ,Western controlled internet companies are allowing [ Back Door Access ] to supposedly private information for US and EU Authorities. The content of Western apps is also tainted with crime network and horrendously sordid material. That is why Mark Zuckerberg or Elon Musk never be arrested with same charges to Pavel.
In fact, Telegram is independent media network that is not controlled by Western regimes. Pavel is unable to leave France. and waiting the outcome of cybercrime investigation.
The Western authorities are killing free speech and independent social media.
I am singing [ I am a Rock ] by Simon & Garfunkel.



2024年9月9日月曜日

移民効果

移民、難民が他国に流入してその国の労働者の職を奪っている、という説が豪国では否定された。長いこと、戦争や経済的困窮によって移民してきた人々が、低給与でどんな悪い待遇でも働くので、国の若い人々の仕事を奪い失業率が上がる、という説が有力だった。そのため外国人労働者を差別し、忌み嫌う風潮があった。その最たるものは豪国の白豪主義だったし、ヨーロッパではいまも難民や移民を襲って命を奪ったり、迫害する差別が横行している。

昨年1年で豪国に移民してきた人は、留学生を合わせると、765、900人、人口2660万人の国で、これだけのひとが国境を越えて入国したため、豪国の失業率は、3.7%の下がって、2.5%の経済上昇がみられた。国銀は利上げを年末まで伸ばす予定だ。
世界的に不況にあえぐ米国金融業界に踊らされる世界経済の中で、インフレと物価高で、生活は苦しいが、労働者が増えたことにより移民による経済上向きの傾向は良い知らせと言える。
ヨーロッパや、米国では、毎日のように難民がボートや徒歩で渡ってきて、それを完全武装の国境警備隊が、暴力的に追い返したり、英国のようにルワンダに強制輸送したりしている。前大統領トランプは、米国メキシコ国境に壁を築いて移民難民排除を徹底し、自国保護主義を取ったが、ヨーロッパもそれに続いている。しかし、豪国のようにグローバルサウスから手に技術を持った人々を積極的に受け入れる政策は、経済力を高めるだけでなく、国力を強化している。

命からがら自分の生まれて育った国を捨てて、他国に逃れてきた難民を、良質の移民にするのは、ひとえに国の受け入れ態勢による。難民を、公的資金によって全国各地で語学教育と職業訓練を提供すれば、難民による都市への集中や、米国のような移民のスラム街への流入、犯罪の多発といった現象はくい止めることができる。

資本主義社会の当然の結果としておきて来ている気候変動と戦争、こうした人間の災難のなかで、その国が生き残れるかどうかは、その国力による。国力とは労働力のことで「人口」の多い国が強い国だ。また国力とはその人口を支える「農業」のことだ。しっかりした農業を基盤の持つ、人口を沢山抱えた国が生き残る。農業政策が疎かにされている日本の今の姿が残念に思える。移民をどんどん受け入れると同時に、農業を振興させてほしい。
I am singing [ THE BOXER ] By Simon & Garfunkel .





2024年9月3日火曜日

みんなお家に帰りたい

18年余りシドニーで、老人特別介護施設でナースとして働いている。癌末期、MS、アルツハイマー病、精神分裂病、人口経管栄養、筋ジストロフィ、人工透析、先天的身体障害など多種多様な患者をケアしている。ナースの仕事は主に、疼痛対策のモルフィネ投与、点滴注射、経管栄養、尿管管理、傷の手当などで、アシスタントナースが行う、食事、排せつ、シャワーなどの世話がスムーズにできるようにマネージする。それらを記録、報告するとともに患者家族との連絡も大切な仕事だ。
老齢の患者は、多くがアルツハイマー病や譫妄も併発していて異常行動が出る。歩き回ってじっとしていられない、スタッフや他の患者に暴力をふるう、机や家具をたたいて大きな音を出す、夜中じゅう意味不明の言葉を発する、着せてもすぐに裸になってしまう、食べ物を探してゴミ箱をあさる、性的な嫌がらせをする、など色々あるが、それを記録してスタッフと話し合い対策を考える。

この施設が病院と違うところは、ここが人生の終着駅だということだ。入口はあるが、出口は葬儀車の通用門だけ。どんなに華々しい豊かな人生を送った人も、つまずいて酒とドラッグでボロボロになった人も、お金もちも、貧しい人も、ハンサムで鳴らした人も、障害を持って苦労を重ねた人も、みんなみんな、カバン1つ持って入所してくる。
だからスタッフは、患者たちを自分の家族の一員のような思いで受け入れる。わたしが見送った人はの数は限りない。

すこし昔のことになるが、53歳で交通事故にあい、5歳以下の知能になってしまった人が忘れられない。もと農場主で大きな体をしているのに歩くのも走るのも、その表情も5歳の男の子のまま、わたしが出勤するのをドアのところで待っていて、入っていくと飛び上がって喜んでくれる。仕事中もずっと離れない。書き物をしていると、のぞき込む表情など5歳児そのものだった。眠れないときはベッドの横に座ってララバイを歌った。でもあっけなく感染症で遠くに旅立ってしまった。
歩行器でやっと歩けるおじいさんが、どうしても外出したいと言って聞かない。家族も友人もいない人なので、仕方なくスタッフの1人を付けて、思い通り外出させた。夕方おそく歩行器に2つの袋を下げて帰ってきた。うれしそうに1つの袋を別のスタッフ、もう1つを私に。中身はビスケットだった。そんなことのために大騒ぎを起こして街に行った優しいおじいさん。その頭の中では、自分が昔所有していた工場で、良く働いてくれる女工に甘いものを1つ、ご褒美に渡してやる、というような気持だったのだろう。

面会時間が過ぎると出入口に鍵をかけるが、それを見てパニックを起こす患者もいる。鍵をかけられ、閉じ込められて「もう家に帰れない」ではないか。みんな家に帰りたい。
それで私から鍵を取り返そうとした譫妄患者に、壁まで押されて首を絞められたことがある。また、何が契機か、怒って重いイスをかざしてスタッフを追い回す患者に手を焼いて警察を呼んだことも1度や2度ではない。済んでみれば笑い話だが、なかなかナースは危険な仕事でもある。

みんなお家に帰りたい、という。その家は、80歳90歳の患者たちが施設に来る前に住んでいたアパートや、結婚相手を失くして1人で住んでいた家ではない。自分が両親や兄弟と暮らしていた子供だったころの家だったり、結婚したばかりの幸せだった頃の家だ。だからみんな帰りたいお家はもうない。私にできることは、お家に帰りたいと泣く患者に「明日になったら一緒に行こうね。」「何色のお家だったっけ。」と話を聞いて、寝かしつける事だけだ。
わたしも、娘たちが独立して家庭を持ち、夫を見送り1人暮らしになって6年。東京から沖縄、レイテ島、マニラ、オーストラリアと移り住んできた。じきに老化して脳が委縮するだろうが、そのとき自分が帰りたい家はどこだろうか。願わくば、可愛がっていた沖縄生まれでマニラで逝った愛犬が,ちゃんと待っていてくれて迎えに来てくれると嬉しい。

I am singing [ Home Sweet Home] written by Henry Bishop.
Japanese lyric by Tadashi Satomi.





2024年8月22日木曜日

2人のアイリッシュアメリカン大統領

米国大統領の座には、歴代WASP:白人、アングロサクソン、プロテスタントが就いてきたが、例外が2人いる。
アイルランド人でカトリックのジョンF ケネデイと、ジョーバイデンだ。アイルランド人を理解することなしに米国を理解することはできない。
昨年、ジョーバイデンは初めてアイルランドを訪問したが、人々からは、「よくぞ、故郷に帰ってきてくれた。」と大歓迎された。ケルト文化を持ちゲーリックを話すアイルランド人は、その不幸な歴史ゆえ、世界中に散らばっている。アイルランドから遠く離れて異国に移民したその子孫の数は、本国の人口の10倍に上る。

ケネデイは1960年11月に大統領に就任すると、すぐにグリーンベレー(米国陸軍特殊部隊)を発足させてベトナムに送った。表向きはベトナムの共産化を止めるというものだったが、ベトナム戦争を開始したのは彼だ。米軍は1961年11月から南ベトナム解放民族戦線を壊滅させようと、ゴジンジェム大統領を傀儡政権化し、枯葉剤散布、ナパーム弾など重火器攻撃を始め、ゴジンジェムの民族主義が邪魔になると、クーデタをおこさせて彼を殺害、グエンカオキに首をすげ替え、激しい北ベトナムへの爆撃を初め、戦線を拡大した。
1975年3月、北ベトナム軍の大規模な攻勢により南ベトナム政府は崩壊したが、大使館の屋上からヘリコプターで逃亡する米国人や軍関係者の、惨めな敗残者ぶりは記憶に新しい。この戦争で米軍は300万人のベトナム人を殺し、31万人のカンボジア人、6万人のラオス人を殺し、当時徴兵制だった米国の5万8220人の若者の命を奪った。

2001年9月米国同時多発テロが起きて、主犯のオサマデインラデインを匿っていると言う理由で、米軍は、アフガニスタンへの空爆を開始した。ガ二傀儡大統領を立て、米国主導の西側国家陣営にアフガニスタンを引き入れようとしたが、米国の政治目的は完全に失敗した。
米軍の「撤収」というよりタリバン軍が勝利して進軍し、首都カブールに迫ってきたため、米軍は慌てふためいて逃げ出した。彼らは早々航空基地を閉鎖してしまったため、民間人も米軍が訓練したアフガン軍人もすべてが置き去りになった。米国がアフガン戦争につぎ込んだ費用は、2兆ドル(220兆円)2400の戦死者、米国民間軍事会社の戦死者は3800人を超えている。「撤収」時に2000の軍用装甲車、8万の各種車両、4機の軍用機、100のヘリコプター、60万の自動小銃、2千万の小銃弾、900万発の機関銃弾なども置き去りにされた。この逃亡劇でバイデン大統領と、オースチン国防長官は米国内で批判にさらされ辞職を迫られた。
2人の米国大統領は、野望を持って他国に介入し、それが負け戦になると傀儡政権も国民も見捨てて逃亡して来た。米国の歴史はその繰り返しだ。

日本は米国追従を止めなければいけない。
沖縄を環太平洋の最前線の基地にしてはいけない。
軍拡を止めて、軍縮を!
I am singing 「YOU RAISE ME UP 」






2024年8月11日日曜日

沈みゆくツバル

 ツバル(TUVALU)は、英国から1978年に独立したオセアニアの9つの島からなる立憲君主国家で、国王チャールス3世が統治する、ハワイと豪国の中間にある国だ。人口1万2千人、天然資源に恵まれず、人々は農業と漁業で自給自足の生活をしている。
2050年までに地球温暖化によって、サンゴ礁でできているこの島の50%が水没する。

私の住む豪国は移民で形作られた国で、第2次大戦前後は、英国、ギリシャ、イタリアなどから大量の移民を受け入れ、戦後は東欧、ベトナム戦では数万人のベトナムボートピープルを、「6.4」の後は、中国から香港の秘密ルート経由で数百人の活動家を受け入れてきた。
そしてこんどは、ツバルの全住民を豪国の市民として受け入れ、就業、教育、住宅などを提供するという合意をした。(2024年5月)とりあえず、年に280人ずつ受け入れることになった。すでに600人くらいの移民が移ってきて生活を始めているそうだ。

そのニュースを聞いて「よしよし、このような人道的な配慮は感心感心」と、思ったが、とんでもない。
豪国は、昨年米国、英国と3国(AUKS)で軍事同盟を結んだ。それに日本も加わることになっている。豪国はツバルの住民を全部受け入れたあと住民のいない島に、軍事レーダーの基地を置こうとしているのだ。住民のいない軍事基地に当然のことながら核も配備されるだろう。
米国は太平洋の島々に軍事基地を置き、戦争をいつ始めても本国は攻撃されることのない「平和」で「安全」な国で居続けることができる。地上戦が行われたことのない、戦禍の傷一つ持たない唯一の軍事大国だ。その米国を守るため、日本も太平洋の島々も、米国の前線基地、捨て石となる。それを見て豪国の友達は、自分の国は独立国じゃない。カンガルーがぴょんぴょん飛んでいる米軍基地に過ぎないんだよ、と言った。日本は独立国だろうか。日本国憲法よりも日米安保条約と、日米地位協定の方が、幅を利かせている国。国民の税金で米軍基地を置いてもらっている国。
ツバルの住民は、サンゴ礁の島で自給自足してきて、強く住民同士を支え合う文化を持った人々だろう。独特のツバル語を話す人々は、先祖の墓を大切に守り、生まれ育った土地を大切にしてきた人々だ。彼らの「平和」は、米国、英国、豪国の人々にとっての「平和」とは全く異なる存在だろう。

沖縄の八重山、馬毛島をはじめとする日米軍事基地化に反対!
豪国とツバル合意書に反対!
南太平洋の独立国の軍事要塞化、反対!



2024年8月7日水曜日

老人虐待

個人主義で権利意識が強く、自分の要求が通らないとすぐに警察を呼んだり、弁護士を付けて裁判を起こす欧米文化をもった豪国に、28年間住んでいる。
ここでの老人の権利は、日本から来た私の目には充分保護されているように感じるが、それでもまだ老人が虐待されているというレポートが政府に報告されてきて、エイジケアへの締め付けと管理が厳しくなる一方だ。
18年間、私立のベッド数50の高度医療付きエイジケアに勤めている。経管栄養患者、人工肛門、経尿管患者,、腎臓透析、癌末期、アルツハイマー、呼吸器閉塞、癲癇、精神分裂症などの患者がケアされている。ほぼ全員が食事、排せつを自分でできない。
日本の老人ホーム、ケアサービスでも働く人が不足しているが、ここでも人手不足は深刻だ。1日3交代で勤務を組んでいるが、スタッフの怪我や急病には、派遣会社に頼るか、今いるスタッフで穴埋めするしかない。過去2年半COVIDの間は、思い出すだけでゾッとするほど過重勤務で、自分が感染して死ぬかもしれないのに職場から離れられないストレスで、心身共に危機状態で働いていた。仲間に死者も深刻な病人も出た。今思うとこの時期私も精神に異常をきたしていたと思う。一番仲の良かったドイツ人のナースに死なれて彼女の葬式に取り乱して参加することができなかった。

老人虐待が社会問題になって患者の拘束が、もう何年も前に禁止になっているから、立てないのに自分は立てると思ってベッドから転落する患者には、ベッドを限りなく低くして、周りにマットを敷きつめ、ベッドで患者が動くとセンサーが鳴るようにして転落を予防している。ベッド柵も拘束の一種だということで、全国の施設でベッドに柵を付けることが禁止された。
ハイパーアクテイブで徘徊し転倒したり、暴力をふるう患者には、行動を制限する鎮静効果のある薬剤を使うが、これも家族が承諾する場合のみ投与できて、処方した医師は州政府に報告書を出し、毎月許可を得なければならない。
アルツハイマー病は脳が縮小して、せん妄や記憶障害が出るが、多くの患者はそれだけでなく癌の末期、うつ病、精神分裂病などを併発していて症状も人によって全く異なる。自分の便をこね回して顔に塗りつける人、歩行介助しようと手を出す恣意的に強く握って泣くまで放さず攻撃を止められない人、歩けなくても歩こうとして何度でもベッドや椅子から転落を繰り返す人。夜中じゅう叫ぶのを止められない人。
みんな自分に注目して優しくして欲しいのだ。
ストロークを起こした人は再発しないように血液をサラサラにする薬を服用しているので、出血しやすく簡単にアザができる。小さななアザでも患者家族が老人虐待だと訴えるので、発見したらすぐに、州の保険局に報告書を出す。アザひとつでも報告書、風呂場での転倒など、PCに列記する報告書は何十枚分にもなる。

これほど気を付けていても老人虐待を訴えたり、警察を呼ぶ家族が3か月に1件くらい起こる。しかし、大半の患者と患者家族はスタッフと仲良くなって、しまいには患者が亡くなるまで信頼関係で強く結ばれる。施設では、若いスタッフの教育、使いやすい設備充実など、もっと改善すべきところもあるが、人をケアする仕事に就いている人々は、人間への愛情を持った人々だと思う。

患者の人権を尊重し、それぞれの人の個性を生かし、命終えるまで患者の人としての尊厳を守る。そのために職場では最大限の努力をしてきたと思う。
人は年を取る。年を取れば脳は委縮する。それによって自分が将来どんな症状が出るのか、それを予想することはできない。
だから、生きて脳が正常に働いている間は、「他人を傷つけない」。「憎まない」、「殺さない」ということをみんながみんな日ごろ心がけたら良いと思う。



2024年7月27日土曜日

大内兵衛のオリンピック感

パリオリンピックが始まった。1936年8月に大叔父、大内兵衛がオリンピックについて書いたものが見つかったので引用してみる。この人らしくお茶目で、ユーモアもアイロニーもシニカルも込められていて、おもしろい。

「8月に入って保田の海岸の払暁の光景は一変した。小学生のラジオ体操がなくなって若い男女の学生がたくさん森永のキャンプストア前の砂上にうずくまって物静かなラジオを聞いている。ベルリンの伝えるオリンピックの鼓動を彼らの若い血潮の心臓において再生産するのだと言う話だが、私見によれば走ることにおいては人は馬に敵わず、飛ぶことにおいては鳶にかなわない。だから本来西洋に発達したスポーツに日本人が負けたとして悲しむには及ばず、勝ったからとてそう喜ぶことはないはずで、僕はこの目前の現象がどうしてこうあるかについて全く理解するところがない。
ただ先頃の議会において外国人の真似をせぬ方が良いという理由でメーデーの挙行を阻んだ広田総理が、この外国にオリジンを持つオリンピック東京招致に驚喜し、そのうえ巨額の国幣さえ投じようとしている点から考えるとオリンピックというものは何らかの非常時的ないし国民神話的な効験を持つものではないかと察せられるのである。」(大内教授演習室 夏休の便りから)

オリンピックと別に英国連邦に属する国々の間でコモンウェルスゲームというのがあって、私の住むオーストラリアも参加して4年に1度、56か国の間でスポーツ競技が競われてきた。2022年は英国バーミンガムだったが、2026年はオーストラリアのビクトリア州で開催される予定だった。それを州のアンドリュー首相が辞退する、と発表した。理由は最も理解しやすい理由「金がない」だ。
スポーツなら何でも何より優先する国民、子供から足腰立たなくなった年寄りまでスポーツの奨励ははんぱではない。うちのマゴたちも生まれてやっと歩けるようになったとたんにスイミング、走れるようになったらサッカー、テニス、ラグビー、クリケット、乗馬と、あっというまに何でもこなすようになった。

それだけ全国規模でグランドもプールも充分充実しているはずだが、コモンウェルスゲームのように外国勢が大挙してやってくるようになると、グランドも観客席も大きく作り替えなければならない。2年半のCOVID禍のあと、州のお金でできることは限られている。2026開けてみれば、たくさん人が来て経済効果もあるかもしれないが、それを予想して借金で開催する冒険はすべきではない。開催州の辞退は賢い選択だ。

オリンピックもいい加減、毎回別の国で開催するのを止めてもらいたい。オリンピックはその起源地、ギリシャで4年に1度行う。ヒットラーのベルリンオリンピックが、国威高揚に利用されたことを反省するなら、スポーツを国大表者がするのでなく、個人代表が競い合うべきだ。ギリシャで、個人が競い合い、世界中が応援する。
世界一速く走る人、世界一遠くまで飛ぶ人、世界一美しく舞う人、世界一強い人、世界一速く泳ぐ人、世界一強いグループ、、、それがどこの国の人でも良いではないか。



2024年7月23日火曜日

ヒルビリーエレジー

米国大統領選挙まで108日となった今、バイデンが選挙戦から降りてカメラ ハリスに交代、黒人票と女性票が期待される、とマスメデイアは言うが、トランプは大喜び、ハリスが相手なら、もう勝ったようなものだと豪語している。
今後民主党が、トランプの共和党と選挙戦を互角に戦えるとしたら、副大統領候補によほど強い人を立てないと歯が立たない。

一方トランプは強力な副大統領候補を指名した。若干39歳の、VD バンス。アパラチア山脈出身、極貧家庭で育ち高卒で海軍に入隊しイラクで戦い、奨学金を得てイエール大学で法律を学んだ。かつてはトランプのことを、アメリカのヒットラーとののしっていた。以前貧しい白人票の支持で大統領になった大富豪のトランプだが、バンスは本物のヒルビリー(山から来た田舎者)であり、レッドネック(首筋が日焼けした白人労働者)であり、ホワイトトラッシュ(白いゴミ)で、ラストベルト(さびついた工業地帯)出身だ。
彼の著作「HILLBELLY ELEGY」(ヒルベリー哀歌)は、彼がアルコール中毒、家庭内暴力、シングルマザー、失業と言った破壊家庭で育った経験を描いた作品だが、2020年にベストセラーになり、映画化もされた。

アパラチア山脈は北はニューヨーク州、オハイオ州、南はアラバマ州、ジョージア州にまたがる広大な地域で、スコッツアイリッシュが住む独特な文化を持った地域だ。WASP(ホワイト、アングロサクソン、プロテスタント)ではないアメリカ人、もともと貧しかったスコッツアイリッシュが住みつき、石油、石炭、鉄など地下資源が豊富なため炭鉱夫としてアメリカの経済を支えてきた。しかし炭鉱が閉鎖されてからは、失業、貧困、家庭内暴力、薬物中毒の土地に転落した。このようなラストベルトに生活する「南部の普通の人々」は、かつての豊かだった米国を自分たちが経済を支えてきたという誇りを持っていて、過去の栄光を取り戻したいと思っている。北部や、ニューヨークなどに住むインテリには、彼らの低力がわからない。

何故貧しい人々がトランプに期待を寄せているのか、それはトランプが「銃弾を浴びても倒れなかった」強いアメリカを代表し、「民主主義」と「自由」を重んじ、停滞した経済を持ち直し、かつての「輝けるアメリカ」を実現してくれる、と人々が信じたいからだ。その78歳の男を支える、全米の中で一番貧しく失業と薬物中毒と貧困と犯罪と暴力の極悪の環境の中から躍り出た、39歳の若き天才に期待をかけるからだ。
トランプは「GOD CHOOSED ME」わたしは神に選ばれた、と高らかに宣言し銃弾を受けても拳を掲げた。

しかしトランプが政権を取れば、貧富格差はさらに広がり、人種差別や女性差別を制止するタガが外れて差別が激しくなり、LGBTIQは居場所がなくなり、国民健康保険は廃止され、病人は医療を受けられず、妊娠中絶が禁止され、レイプされた女性がその子供を育てなければならなくなり、家庭内暴力も増える。自由も民主主義も平和もない。
米国は建国以来、戦争を止めたことがない暴力国家だ。戦後はベトナムから始まって、湾岸戦争、イラク侵攻、アフガニスタン、シリア、ウクライナ、イスラエルでも米国製の武器が、毎日人々を殺戮している。トランプは核兵器も使うだろう。
日本は、対米追従を止めなければいけない。



2024年7月17日水曜日

チボー家の人々

宣戦と同時に即時ゼネストを! フランス人よ、ドイツ人よ、誰もかれもが兄弟なのだ。諸君はおなじ人間だ。そして犠牲者たることに変わりないのだ。諸君は同じ勤労者の弾丸に身をさらそうと思って好んで妻を捨て子らを捨て、家を捨て工場を捨て、店を捨て畑を捨てたのではないだろう。殺すことは誰でも嫌いだ。命の重さはだれしもそれを疑わない。いっせいに立て。戦争を拒絶せよ。各国に対し平和の即時樹立を要求せよ。いっせいに立て。あした日の出とともに。
「チボー家の人々」マルタン デイユガール、山内義雄訳 全5巻

ジャック チボーは、このような独語、仏語のアジビラを120万枚刷って、仏独両軍の上空を飛行機から蒔こうと飛び立ったが独軍兵に撃ち落されて死んだ。
新潮社出版のこの本は、父が若かったころ出版されるごとに買いそろえた本だ。子供の時に父の書庫から持ち出して、そのまま大人になって私が家庭を持っても、持ち歩いてきた。家族で沖縄、レイテ島、マニラ、豪国と、移動してきた今も持っていて、5冊とも箱から出すと、表紙の角からボロボロと紙が崩れ落ちてくる。

原書は大戦中に出版されたが、ジャックがドイツ軍に打ち殺される最終巻は、フランス軍の戦意高揚を削ぐと言う理由で戦後しばらくしてから出版されたという。
父は子供の時に自分の父親に死なれ、その弟の大内兵衛に育てられた。実の息子の大内力に比べると、学力に格段の差があるうえ、星を数えて過ごすような夢想癖のある子供だったと思う。父の2人の弟も、大内家の男はみな東大で学ぶのが自然だったのに、ひとり父は早稲田で小説、それもセンチメンタルなロマンスものばかり書いていた。全然生活能力が無くて、兵衛叔父の一番弟子だった宇佐美誠次郎の妹と結婚して貧しい所帯を持ってからは、叔父の紹介で早稲田で教壇に立った。

大學では自分もいつまでも学生のように、何時も学生たちとつるみ、千葉の上総湊では、漁師にねだって土地を借り自分たちの力で釣り小屋を建てた。毎年夏の間中、その小屋で学生達と秋になるまで過ごした。私の幼いこの頃の記憶は、海と自由とで太陽のように輝いている。
父は自分には父親が居なくて、3男2女の長男で、弟の娘を養女にしたり、下の弟がアル中で死ぬまで世話をしたり、それでも教員の安給料で、何時も食うや食わずの貧乏学生達までかかえて、かつかつの生活していてもまだ、沢山の学生たちを家や研究室に呼んで世話した。
父は寂しかったのだと思う。
晩年はひとりきりだった。
2人の娘をつれて豪国から毎年クリスマスには会いに行ったが、行くね、というと、もうその日から、それが10月であっても、毎日ベランダから下を見下ろして、いつ来るかと待っていたとケアラーから聞かされた。
年を取るのは寂しいことだ。
わたしも父がひとりになったころの年に近ずいてきた。
むかし読んで感動した本を、また読み返してみよう。



2024年7月15日月曜日

ダニエルトランプ暗殺未遂

残念ながら、次期米国大統領はこれで決まってしまった。
ドナルドは、いま世界中の「平和を愛する」人々からシンパシーを集めた。政敵ジョーバイデンは、銃撃後すぐにお見舞いの電話をかけてドナルドを気使い励ましたそうだ。全米のアメリカ国民は、政治的暴力やテロリズムの暴力を憎み、それに抗う「強いアメリカ」の象徴となったドナルドを改めて支持する。政治の流れは単純だ。

私の住む豪国でも公営テレビは、アルバニー二首相が暴力はあってはならないと言いドナルドに励ましのエールを送る姿を報道した。どこの国のリーダーも同じようなことを言って、テロを許さず、民主主義を守る、と決意表明していた。しかし、TVではついでに、「テロ」があってはならない、と言うそばから、どこかの国の限りなくアラブ人と思われるゲリラが銃を構えているフイルムをちょっとだけ見せた。これにはびっくりした。明らかに情報操作ではないか。
このような幼稚で違法な情報操作が、もう公然と行われている。マスメデイアがそれを許している。なぜゲリラ戦が行われるのか、なぜテロリズムで訴えなければならないのか、国による暴力、正規軍に対する反乱勢力とは何なのかと言った考察が全く抜け落ちている。大統領候補暗殺行為から、テロ撲滅―民主主義擁護ー軍事優先―武力増強の流れが止まらない。

現実に日本製の武器が米国の軍隊を補強し、豪国製の武器がウクライナで使われ、イスラエルに輸出されている。
イタリア、フランス、オランダでは極右勢力の台頭が進んでいて、世界は「強い国家」に向かっている。
こんなことを許してはいけない。
時間は余りない。