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2013年10月21日月曜日

オットと新宿で

        
念願の日本上陸から第2日目。
オットにビッグカメラでカメラと時計を買う。カメラと言ってもソニーのデジカメで4万3千円ほど。腕時計といってもシチズンの実用的なやつで、高級品とは程遠い、私たちにとっての日本上陸記念だ。
数年前オットに当時発売されたばかりの、ニコン5000デジタル一眼レフカメラを買った。オットが嬉しそうにこれを首から下げて写真を撮ったのは去年日本に来た時の一度きりで、それ以降は二度と使わない。重いのと、使い方が難しくなって使いこなせないままホコリを被っている。今回のは軽くて首に下げても重くないし、40倍にフォーカスできる。小さいカメラの中で一番レンズの質が良い、というセールスマンの勧めに従って買った。これだけのオットの買い物に朝、ホテルを出てから3時間、、、もう限度です とオットの息が上がっている。カフェでコーヒーとケーキを食べさせて、カメラ屋からホテルまでの300メートルの距離をタクシーで来たが、またタクシーで帰り、オットを寝かせる。全く2歳になったマゴより手がかかる。

シドニーを出る前にアマゾンに、30冊ほど本とDVDを注文して、ホテルに受け取ってもらってあった。他に乾燥食物まで注文してあったので大きな段ボールで3箱分、荷台に乗せてボーイが部屋まで運んできた。ネットで注文するときは次々とボタンを押すだけで簡単なのに、こんな大荷物になっているなんて、、、。中のものをより分けて、全部娘達宛てに郵便局から送る。外国にいても日本人は日本人。本が必需品だ。活字なしの生活ができない。エッサエッサと、ひと箱ずつ郵便局に運んで送り、荒い息で帰ってきた私に、「カステーラとか僕へのプレゼントもシドニーに送っておいてくれた?」とオットのたまう。「ねーよ、そんなもん!」全く2歳のマゴより手がかかる。

鬼の寝る間に、そっと音を立てずにホテルを出て、ルミネで自分のパンツを4本とシャツ10枚を買う。試着したのはパンツ1本とシャツ1枚だけで、買ったのは全部同じものを色違いで求める。パンツとジーンズだけは日本人体形に合った日本製でないと似合わない。シドニーで何着も買ったパンツが全部無駄になっている。オージーのお尻と日本人のお尻と、実際どうちがうのか、よくわからないが、不思議と日本製のパンツなら試着せずともうまく自分にフィットするのだ。ホテルに帰ってみると、眠っていたはずのオットが、ブーツをはいて、ジャケットまできちんと着て待っていた。ホテルで取り残されて、眠るどころか緊張して待っていたらしい。私が居ると寄りかかって自分では何もしないくせに一人きりになるととりつくろう性格。よくあるケースかもしれない。赤ちゃんを寝かしつけて、シメシメと、そーっと音をたてないようにお茶を入れて、お菓子を口に居れようとした瞬間に、寝たはずの敵がギャーと泣く、という感じ。全く 2歳のマゴより手がかかる。

すでに正装してしまっているオットと夕食のためにホテルから20メートル先にあるトンカツ屋まで歩く。サッポロ生をジョッキで2杯ずつ。これが美味しい。このために、はるばる日本にやってきたぜーい、と心から思える。ヒレカツの柔らかさにも感激。私がドボドボとカツにもキャベツにもソースをかけるのを顔をしかめて見ながら、オットは塩をパラリとかけるだけで、おいしそうに食べている。1年半前に来た時と、味が変わっていない。カラリと揚がったカツに、「良いお味ですね。」というと、若旦那、「前に来てくれたお二人さん、よく覚えていますよ。」と言われる。そう、あのころは、オットは支えなしでも自分ひとりでサッサを歩けた。80歳を超えると哀しいことだが自分でできないことが増えていく。ホテルに帰って、新宿の夜景を見ながら、ウィスキーの水割りグラスを傾ける。飲み相手、、これだけは2歳のマゴにはできない、か。