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2014年3月4日火曜日
シドニーで讃岐うどん
和食が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産になったという。
それと関係があるかどうかわからないけど、シドニー北部チヤッツウッドに、讃岐うどん屋「丸亀製麺」釜揚げうどんが、初めてオープンした。シドニーで本物の讃岐うどんが食べられる日が来るとは思っていなかった。とても感激している。むふふ、むふふ の日々なのだ。
チャッツウッドのメイン通りで、店の前を通りかかった人々は、ガラス張りのカウンターで若い職人さんが粉をこねてうどんを打つ様子が見られる。ダイナミックに、どたんばたんと、うどん粉を叩きつけて、こねる音も聞こえる。大きな釜で麺をゆでたてる様子も見られる。通行人の目はうどんをこねる様子よりも、木でできたうどんを入れる桶が、たくさん積み重なっているのにびっくりしている。自然志向の強いオージーの間では、釜揚げうどんを入れる丸い木目鮮やかな木の器に目を奪われている。中に入ると、カウンターの中には驚くほど若い人たちが立ち働いていて、うどんを作ったり、天麩羅を揚げたりしている。
釜揚げうどん4ドル90セント。中に入ると、大きな釜でゆでたてのうどんを手際よく桶にいれて、つけタレとともに、お盆に乗せてくれる。それを自分で選んだ天麩羅などと一緒に食べる。天麩羅はエビ、白魚、イカや野菜で、ひとつ2ドル50-90セント。どんぶりに入った肉うどん、カレーうどん、豚骨うどんや稲荷鮨もある。刻みねぎや、天かすや生姜やゴマは無料。学食みたいな手軽さと、食事が10ドル以下で済む安さは、貴重だ。どれもとっても美味しい。
ハワイのワイキキの中心、クヒオ通りにも同じ「丸山製麺」があって、昼でも夜でも行列ができているという。日本を含めてこのチェーン店のなかでは最高の売上を誇っているそうだ。客はハワイを訪れた観光客が8割、客のほとんどがアメリカ人と中国人で、日本人は1-2割だという。辛抱強く1時間も列に並んでアメリカ人がうどんを食べる図は、2-3年前には考えられないことだったろう。
シドニーでも同じようなものだろう。客のほとんどは、オージーと中国人だ。オーストラリアの人口の3%は、中国人になった。日本人の人口そのものが少ないから自然と、日本食レストランの日本人客は圧倒的多数の中国人に押され気味になる。それにしても、オージーと中国人のあいだで、「日本ブランド」が健在だということは、なかなか嬉しいことだ。
オージーやオーストラリア生まれの若い中国人は、トヨタに乗り、レクサスを買いたいと思い、ソニーで音楽を聴き、キャノンを持ち、ニンテンドーで遊び、ジャパニーズマンガを読み、無印の下着にユニクロを着て、資生堂で肌を整え、DHCの化粧品を持ち、御木本で首元を飾り、週末は恋人と寿司バーで一杯やり、家族のバースデイパーテイーはスシのケータリング化、鉄板焼き屋だ。そういったオージーと中国人の「日本ブランド好き」が、いつまで続くものか、心配している。
いつか日本の捕鯨船がオーストラリアをかすめて南氷洋にまで来て捕鯨を繰り返し、オーストラリア政府が国際法廷に日本の違法性を訴えた4-5年前、日本の捕鯨船がクジラを殺すシーンが連日ニュースで流れた。そのために、私が日本人だとわかると、見ず知らずの人に、すれちがいざまに「クジラ食うなよ。」と脅されたり、唾を吐かれた人も出た。ことほど左様に国外にいる日本人の立場というものは国際情勢に左右されるものだ。日本に居る人にはわからない。
阿部政権は、秘密保護法を通過させ、政府に都合の悪い情報を隠匿、しジャーナリズムの独立的立場を挫き、札束で沖縄普天間基地の移転を強行し、いったん謝罪し決着がつきつつあった慰安婦問題を見直すといって蒸し返し、武器輸出三原則を見直し、靖国神社参拝して中国、韓国だけでなく米国も怒らせて、国民の70%が反対している原発を再稼働させ、ベトナムにまで輸出し、東電の刑事責任を不問にし、東京オリンピックのために、日々ふりかかる国民の放射能被害に目をつぶっている。
驚くばかりだ。これほど人権無視、人命無視の自民党政権が、かつてあっただろうか。世界の人々の間で「日本ブランド」が通用しなくなるとき、世界の人々が「日本ブランド好き」を捨てるとき、、、こぞって日本に背を向け、日本食レストランを襲い打ちこわし、日本人に唾を吐く日が来ないと、誰が言えるだろうか。阿部政権の暴走は、大変に危険なことだ。
郷愁をそそる美味しいうどんを食べながら、考える。