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2012年9月22日土曜日

映画 「メリダとおそろしの森」

原題:「BRAVE」(ブレイブ)
 監督:マーク アンドリュース    ブレンダ チャップマン
 ピクサー アニメーション
キャスト(声優)
メリダ:ゲリー マクドナルド
女王エリノア:エマ トンプソン
王ファーガス:ビリー コノロイ

もうすぐで3歳になるマゴを、初めて映画館に連れて行った。 大きな暗い建物の中に入り 真っ暗闇の中でスクリーンが映し出され、今まで聞いたことがないような大音響、、、マゴは怖かったらしく、椅子に座ったまま 固まって動けずにいた。体を硬くして目だけ大きく見開いて、画面を見ている姿を見て、3歳前では ちょっと早すぎる体験をさせたかな、、と心配になったが、映画が始まると すぐにストーリーの中に入っていって、読み取っていることが分った。順応性がはやい。
ストーリーがちゃんとわかっている。頭が良い。さすが娘の娘だ。

 2歳半のときにヴィデオで「ライオンキング」を見ていて、レオのお父さんライオンが死ぬシーンで涙を落とした。たった2歳半で 死を悼むという間接体験をして、主人公レオに共鳴していた。何て情感豊な子供だろう。わたしが映画を見て 泣いたり笑ったりできるようになったのは小学校高学年の時だった。 娘は小さいときから 絵を描き、詩を読み、ヴァイオリンを持たせるとわたしより良い音を出した。感受性の高い芸術家肌。そんな娘の娘だから 芸術に目覚めるのも早いかもしれない、、、。などと、完全な親馬鹿で、救いようの無いマゴ馬鹿。 ともかくマゴは 2時間近くのこの映画を、最後までしっかり集中して見ていた。すごいな。将来が楽しみ。今回は、抱いてマゴを連れて行ったが、10年後には、わたしの乗った車椅子を押して映画館に連れて行ってもらいたい。

ストーリーは
 中世のスコットランド王、ファーガスは勇敢で力持ち。ある日、ばけ物のような巨大で凶暴な人食い熊と戦って、片足を失くした。彼には、物静かで思慮深い妻と、燃えるような赤毛の娘がいた。その一人娘のメリダは、ふつう女の子が興味を持つような遊びには全く関心がなく、男の子のような活発な子供だった。幼い時に父親から贈られた弓と矢が 一番お気に入りの玩具。馬に乗れるようになると 森に出かけて行っては、弓と矢で走り回っている。何時の間にか、メリダほど巧みに弓を射る者は城内にはいない程になってしまった。

そんなメリダに、母親が突然結婚の話しを持ちかけてくる。遠来の親戚や貴族の中から選ばれた王子と メリダは結婚して、妻としての役割を果たさなければならない と母親は言う。いつまでも愛馬とともに森で自由自在に愉快な暮らしをしたいのに、お城の中で 窮屈な服を着て、刺繍をして夫を待つ暮し、なんて考えられない。そう思うとメリダは 家族のつながりが恨めしい。腹いせに家族を刺繍したタピストリーをバッサリ破って、森に逃げ出した。

森の奥深くで魔女に出会ったメリダは、クイーンがもう自分に結婚を強いないようにして、とお願いをする。しかし、魔女がかけた魔法によってクイーン エレノアは熊にされてしまった。あわてたのはメリダだ。城の中で熊が出た と騒ぎは大きくなるばかり。熊狩りの第一人者 ファーガス王に追われる身になったエレノアを連れて、メリダは森に逃げ出した。メリダはもう一度、魔女に会って、何としてでも母親をもとのクイーンにもどしてもらわなければならない。しかし、森には、むかし王を襲った、凶暴な人食い熊が居て、、、、。 というお話。

ケルト民族独特の燃えるような赤毛の勇敢な女の子が馬を疾走させ、弓を射ながら森を駆け巡る姿が とても美しい。魔女が住み 恐ろしい熊が生息する森の神秘、怖いもの知らずの勇敢なメリダの生き生きとした動き、お城では 王様達が囲む祝宴のご馳走の数々。 画面が きわだって美しい。

しかし、ピクサーアニメーションなのに、「モンスターインク」のような、面白さに欠ける。「トイストーリー」や、「カールじいさんの空飛ぶ家」のような、笑って泣かせて、優しい気持ちになるような感傷性がない。「レミーのおいしいレストラン」のような、突拍子も無い独創性もない。 ピクサーが作った 初めてのお伽噺なのに、ストーリーが 複雑でややこしい。ピクサーが初めて女性監督に作らせたのに、これでは 現代女性の味方になっていない。ピクサーが作った映画なのに 斬新さに欠けて、デイズニー映画みたいだ。

まじめにこの映画を見た子供が、「ママの言うこと聞かないと、ママが熊にされちゃうよ。」という 間違ったメッセージを受け取ってしまわないか、心配だ。家族の絆を大切に、とか、親の言うことをよく聞く様に、みたいな結論になってしまったら、困る。やっぱ、アニメで説教しちゃ、いけないんじゃないか。ま、、、3歳のマゴは楽しかった と言ってくれたからいいんだけど。