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2010年6月10日木曜日

映画 「プリンス オブ ペルシャ 時間の砂」



映画「プリンス オブ ペルシャ 時間の砂」を観た。
監督:マイク ニューウェル
キャスト
プリンス ダスタン:ジェイク ギレンホール
プリンセス タミーナ:ジェマ アーターモン

9世紀 ペルシャ王国。
アクションゲームを映画化したもの。ふんだんにCGを使って チェイス バトル、壁を走って登り 建物から建物へと飛び移り 屋上から飛び降りながら敵を戦う アクションのてんこ盛りだ。大人気のゲームというのが うなずける。こんなゲームならおもしろいはずだ。
アクションの連続でいて 不思議と残酷さを感じさせない。みな きれいな英語を使って映画が上品に仕上がっている。さすが、ハリーポッターを作ったイギリス人監督 マイク ニューウェルだけのことはある。

ストーリーは
古代ペルシャ王国の国王には2人の王子がいたが、ある日 王が街に出た際に 一人の少年が 横暴な衛兵を相手に一歩も譲らない勇気のある姿を見て 連れて帰り養子にする。この少年ダスタンは 国王の3番目の息子として、他の二人王子と一緒に 分け隔てなく仲良く育てられた。人徳のある国王を3人兄弟は 心から敬愛し、王国を盛り立てていった。

3人のプリンスが成長し立派な戦士となったころ、伝説の聖地アラムート王国に 侵攻することになった。プリンス ダスタンの戦略が功を奏して アラムートの堅固な城壁を破る事が出来、アラムート王国を征服することができた。戦いの最中、ダスタンは 敵から美しい短剣を奪取する。
しかし、アラムート王家が降伏し、勝者ペルシャ王国の戦士達が祝宴を上げている最中に、こともあろうに、ペルシャ王国の国王が 毒殺される。その場にいたプリンス ダスタンに、嫌疑がかかり、ダスタンは追われる身となる。必死に追手から逃げるダスタンに、人質になっていたアラムート王国のプリンセス タミーナが後を追って逃げる。そして、ダスタンとタミーナの逃避行が 始まる。

ダスタンには何故 タミーナが追ってきたのか わからない。タミーナは ダスタンが奪った短剣を取り戻そうとしていたのだった。アラムート王国の国宝だったこの ガラスの柄の短剣は、時を繰る力が秘められている。この短剣をかざすと 時を巻き戻し過去に戻って 時をやり直すことが出来るのだった。
ダスタンは ペルシャ王国にもどって 敬愛していた父親を殺した真犯人を見つけ出し 自身の無実を証明しなければならない。そして、ペルシャ王国がアラムートを侵攻した歴史を過去にもどして もう一度やり直して あやまちを正さなければならないのだった。
というお話。

美少年俳優としてテイーンのアイドルだった ジェイク ギレンホールが 初めてアクションヒーローに抜擢されたことで、話題になっている。
ジェイク、29歳 アメリカ人。彼はこの映画に主演する為に 3ヶ月余り 英語の発音訓練を受けて キングイングリッシュを、話せるようにしたという。この映画では、サーの称号をもっている英国俳優 べン キングスレーが重要な役どころを演じているが ジェイクも同じようにきれいな英語を話している。
聞き比べれば英国英語とアメリカ英語は 聞き分けられるが、この映画では全員がきれいな英語を使っている という映画評を読んで 初めて ああ、そうだったんだ、と思い当たった。言われるまで気が付かなかったのだ。それでやっと、1分ごとに、名詞に ブラデイーや、F、、KINGをつけて話す癖ができている 汚いアメリカ英語の映画とちがって 映画が上品に仕上がっている訳がわかった。

ジェイクは 撮影に入る前、半年かかって 筋力集中トレーニングを受け、体重を5,5キロ増やしたそうだ。何千回もの 剣の立ち合いのトレーニングも積んだという。そんなトレーニングを積み重ねた結果 美少年俳優を脱却して、アクションヒーローに変身したわけだ。役者も楽じゃない。

ジェイクは 「ドニー ダーコ」では、うつ病の青年を演じ、「ゾーデイアック」では 殺人犯を追い詰める まじめ一方の新聞記者、そして、ヒース レジャーと共演した「ブロークバック マウンテン」では、ゲイの青年を演じて アカデミー助演男優賞のノミネートされた。目が大きくて どちらかというと、憂い顔のほうが 笑顔より似合っている。まじめでいつも真剣、唇かみしめていて、 今回の映画でも プリンセス タミーナとの逃避行で、二人して命の危険に身をさらしながら タミーナを、およそ、女として扱っていない。え、君、女の子だったの?と、最後の最後に、気が付くみたいなところが ジェイクらしくておかしい。
アクションでは、スタントマンを使っていないそうだ。何ヶ月もの訓練のおかげで 彼のアクションやチェイス バトルもなかなか 良くて 楽しいアクション映画だった。

アラニス モリセットが主題歌を歌っている。
それよりも、何と言っても ペルシャ王国の映像が美しい。風に砂が舞い、砂に模様を描き、音も無く そのすがた形を変える。砂漠の上から日が昇り、砂漠の上で日が沈む。砂漠の例えようも無い美しさ。
それにあわせた音楽が良い。「アラビアのロレンス」の世界だ。砂漠のシーンでは、映像も音楽も この監督は デヴィッド リーンのアラビアのロレンスを思い描いていたに違いない。
アメリカから来た新聞記者の、「どうしてあなたは砂漠にいるんですか」という問いに、ロレンスは「砂漠は清潔だから」と ひとこと答える。そんなシーンがよみがえってくる。ロレンスにとって、軍事戦略や 戦争や軍人としての英雄行為や、外交と言う名の利権 取引、そういった俗世間にはまったく興味はなく、ただただ、彼は砂漠を愛していたのだ。

伝説の時を繰る短剣。
ロレンスには、過去に戻って やり直したいことが沢山あっただろう。時を巻き戻すことのできる伝説の短剣があったなら、ロレンスは あんなにも早く 若くして死に急ぐことは無かったかもしれない。

写真は ジェイクのプリンス ダスタンと、コンピューターゲームのダスタン。