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2009年3月13日金曜日

100万円消えたー!




100年に一度あるないかの経済不況のなかで 米国サプライムローン問題以降、株式相場は下落を続けている。
アメリカでは この2月だけで、651000人が職を失い、失業率は8.1%になった。
オーストラリアでは 同じ月に前月に加えて36800人が新たに職を失って、合計54万人、失業率は4.8%に上昇した。

こんな中でもアメリカのオバマ大統領は 過去最高の選挙投票率を記録しながら 人々の支持と期待を得て、次々と新しい政策を発表して人気をつないでいる。
ラリアのケビン ラッド首相も 先週の世論調査で国民の支持率54%という高率を維持している。去年、自由党のジョン ハワードから労働党のケビンに変わって すでに1年余りたつのに ケビンは何一つ大きな失敗もせず、スキャンダルもなく、答弁の読み間違いもなく、不況対策でも 失業対策でも卒なく答えて仕事をこなしている。210人もの 死者を出すことになったビクトリア州の山火事も、クイーンズランドも大洪水も 迅速な対応と、誠実 実直な発言で、人気を保ってきた。

彼は景気刺激対策として、去年12月には 年金生活者と、育児中の家庭に 1000ドルずつ生活支援金を送った。子供一人につき1000ドルだったから 子沢山の家は助かったろう。クリスマス前に 支援金を受け取ったお年寄りが ニュースで嬉しそうに 孫にプレゼントが買ってあげられます と言う姿が印象的だった。日本の景気刺激対策で ばらまかれたお金が一人、1万2000円だったから、ラリアの10万円は、大きいと言えるかも知れない。

これに加えて、この3月 今週から 年収8万ドル以下の すべての人に向けて $900ドルの小切手が郵送され始めた。夫婦ともに 低収入ならば 倍で1800ドル、さらに子供一人につき950ドルずつ支給される。このような 一時的な景気刺激対策は 根本的な不況対策ではないが、ラリアには日本のようなボーナスがないので これを長いこと安給料で働いてきた報奨として捉えれば もらえる人は素直に嬉しいだろう。

ところで私達の年金は 給与の9%を 雇い主が2週間ごこに 本人が希望する年金会社に振り込んで 自動的に貯蓄されていく。それが老後の蓄えとなり、65歳になると それを月ごとに受け取るか、一括で受け取ることもできる。すべての勤労者の給与の9%が自動的に貯蓄されるわけだから 集まったお金はそれぞれの年金会社が 投資をして運営している。年金会社は たくさんあって、医療従事者に強い会社もあれば、半官半民だった会社もある。

私はAMPという会社に、ラリアで初めて働き出したときから 雇用主に私の年金を入れてもらっていた。契約のときに、沢山の会社のリストがあって、自分のお金を どの会社に投資するかを選ぶように言われて、地下資源の豊富なラリアでは 鉄鋼会社なら潰れないだろうと思って、適当に選んでおいた。それが今回の不況で 年金会社が投資した会社の経営不振で、私のこつこつ貯めてきた年金から100万円ほど、目減りした。2年分の貯蓄が消えたことになる。

今回経済不況、株の下落で おびただしい数の年金生活者が年金を失った。プロのマネーアドバイザーと言われる立派な教育を受けてきた人に 退職後 楽に暮らせるように すべての年金の運用を依頼していた沢山のお年寄りが 今回 全財産を失ったりしている。

私は自分の給与の9%が年金として積み立てられ それが年金会社によって どんな企業に投資されどれだけ損したり得したりしているのか、3ヶ月ごとに送られてくるレポートで知ることが出来た。まめな人はネットで毎日でも株のやり取りを見ることが出来る。自分のお金がどの会社に役立っているのか ろくでもない会社に投資して赤字を出しているのか知ることが出来たのに、きちんと監視せずに 放って置いて、100万円損害を受けるままにした自分がうかつだったのかもしれない。

まったく腹立たしい限りだが、日本の方が もっと怖いのではないだろうか。日本では 給与から自動的に引かれて 貯蓄されていく年金がどのように運用されているか、自分ではわからない仕組みになっているようなのだ。日本では すべての年金は「年金積立金管理運用独立行政法人」(GPIF)という一行政法人が、厚生労働相の委託を受けて すべてのお金を運用している。昔の名を、年金福祉事業団。この法人は積立金150兆円のうち、役80兆円を金融市場で運用、そのうち、7割が国内債権、3割が外国株、国内株を運用している。で、この公的年金をまかされた法人が、いくら不良債権を買ったか、どれだけ赤字株で失敗したか、公表する必要がないので、一般勤労者は知らせれないままなのだそうだ。これって、すごく怖いのではないだろうか。

私は 投資や株のやりとりに みごとに興味がない。ギャンブルが大嫌いだ。そんなふうに ギャンブルが嫌いで投資も株も嫌いな人って多いのではないだろうか。働けるうちは 働いて、自分が稼いだ分だけを蓄え、体が動かなくなったら その貯蓄で暮らしていければ幸せだ。それ以上のお金は要らない。けれど 年金会社の都合や、訳のわからない事情で 蓄えが無くなるのは困る。

毎日、テレビではスーパーヒーローのオバマ大統領が「大丈夫、景気後退はあるけれど、失業もあるけれど、がんばってやっていこう 明日は明るいぞ」と言っている。ケビン ラッドも「苦しい時期だ でも希望をもっていこう」と言っている。暗いのに スーパースターが輝いてみせている。
なんか、奇妙な時代だ。