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2007年9月12日水曜日

映画 「THE BOURNE ULTIMATUM」


パトカーを含めて100台ほどの車、ついでに飛行機にヘリコプター数台、戦車も出てきて それらがみんな燃え上がるのを観た。次々と人が銃殺され、蹴り殺され、踏み殺され、首を捻じ曲げられて音をたてて殺されるのを見た。火曜日に 新作映画 マット デモンの「BOURNE ULTIMATUM」と、遅まきながらの「ダイハード4」の二本を見たからだ。どちらも、各地ホイッツで上映中。

ダイハード4は面白かった。今まで躊躇していたのは、52になったブルース ウィルスの衰えた姿を見たくなかったからだ。でも彼、老いを全然感じさせなくて良かった。役柄はロスの冴えない警官、妻には去られ、娘からは疎まれて わびしい一人暮らし、、、という設定だが とても、うらぶれた様子に見えない。こんな男を女が放っておくわけがない。いつもながら、人質をとられて「近付くな、人質を殺すぞ。」と言われようが、自分が満身創痍であろうが ひるまず、どんどん悪者に迫って行く姿、やられてもやられても 全然懲りない姿、、、これがダイハードだ。見ているほうはあっけにとられながらも痛快。悪者は本当に卑劣だし、ブルース ウィルスは絶対死なないから、安心してみていられる。

「BOURNE ULTIMATUM」は、ポール グリーングラス監督。主演マット デモン。題名は、ギリギリの最終提案とか、最後通告とかいう意味。 CIAは正義のためにあるのではなく、常に揺れ動く世界情勢の中で、目の前にある利害のために その場しのぎの対策を講じて生き延びてきた。2001年9月11日のテロもCIAは後になって、危険は事前に予知しており、大統領に報告していたと、発表して大統領追い落としにかけたが、成功しなかった。1月にソマリアを攻撃し、テロを事前に食い止めるためと言ったが 事実に反しており、無実の数百の市民を殺した。CIAのなかでも、今の大統領に忠実な派閥と すでに次に予想される大統領のために働く派閥の動きがあり、その中でも細かい派閥争いがたくさんあるのも、周知のことだ。

今回の映画もテロ対策のためにCIAで特別の訓練された殺人マシーンのマット、デモンが自分に殺人依頼をしたのは誰か、自分のアイデンティティーを探し出すというお話。結論はおきまりの、CIAナンバーワンのボスが不正を行っていて、CIAナンバーツーに告発される。たくさんたくさん殺し、たくさんたくさん壊したけれど、敵はアラブでもロシアでも中国でもなく 身内だったという今ではもう、使い古されたストーリー。

でもアクションのありえないような激しい動きを捉えるカメラワークの良さ、効果的な音楽は、さすがアクション映画のハリウッドだ。「これだから全く たまんねーよなー!」とボヤきながら 最後まで人々を引き込んで見せてしまうだけのパワーを持っている。マット デモンは、今、映画界で世界一 収入をもたらせている俳優だそうだが、彼の演技は感情を殺した殺人マシーンにぴったり。感情や状況に流されない 悲しみも怒りもない、まじめ青年。

今回の映画をみていて面白いと思ったのは、CIAが 沢山抱えている 殺人請負人たち、、、携帯電話で指令が届き、殺すべき人の顔が携帯電話に映し出されると ただちに行動に移り、追跡、完全に殺すまで追い続ける一匹狼の殺し屋軍団が みんなアラブ系の顔をしていたことだ。これは、おもしろい!アルカイダとか ヒズボラとか ハマスとか CIAはジャンジャン捕まえて、世界各地のアメリカ基地で拷問したり好き放題しているが、当然、寝返り合戦で、アルカイダのために戦っていた戦士を CIAのためにアルカイダと戦わせたりしているはずだ。

優秀なテロリストの取り合い合戦なわけだ。何のために戦うか 誰のために戦うかは、二の次というわけ。そんな感じのめっぽう強いCIAエージェントのアラブ人が別のセクトのCIAエージェントのマット デモンを痛みつける姿が、ブラックユーモア。アメリカの姿を正直に表していた。