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2007年8月9日木曜日

映画 「フラクチャー」


アメリカ映画「FRACTURE」を観た。邦題は未定。FRACTUREは 砕けるとか、壊れると言う意味。 アンソニー ホプキンス(ANTHONY HOPKINS)と、ライアン ゴスリング(RYAN GOSLING)の、サイコテイック 二人劇とでもいえる映画。すごく良く出来た映画。 アルフレッド ヒッチコックが生きていたら、同じ、この2人の俳優で この映画を撮影しただろう。

アンソニー ホプキンスは、この映画で、テッド。富も名声も業績も、美しい妻も もっている教養ある、航空工学の専門家。

ライアン ゴスリングは、ウィーリー。片田舎で、貧しい家庭の私生児として育ち、スポーツで認められた奨学金で 辛うじて、大学の法学部を出る。日ごろの努力の結果、検察官として頭角を現してきた。彼の担当する犯罪者の97%は 有罪にして、刑務所に送り込んできたので、検察から一目置かれるようになった。 そして、遂に、私立の弁護士ファームに高給で引っこ抜かれることになった。有頂天で、人生順風 航海楽し の瞬間。

ウィリーが まさに新しい職場に移動する直前に、夫が妻を銃で撃つ殺人未遂事件が起きて 犯人が現場で自供しているという警察の言葉を鵜呑みにして引き受けたことによって、彼は、新しい職場も、実績も名誉も何もかも失うことになる。

テッドの豪邸で、浮気をしていた妻が 銃で撃たれて 血の海のなか、瀕死の状態で倒れている。その横に、銃をもったウィリーが立っている。押し入った警部にテッドは 自分が撃って妻を殺したと言う。テッドは逮捕されるが、かれの銃に発砲の痕跡がなく、テッドの体から、硝煙反応が出ないため警察も検察もテッドを有罪にするための、証拠が立件できない。

裁判の法廷で 事件担当で、テッドを逮捕拘束した警部が、撃たれた妻の浮気相手だったことが、テッドによって巧みに暴露されて、警察側の大失態。ウィリーは テッドの有罪を証明できず、テッドにとことんまで もてあそばれる。 一方、テッドは晴れて、自由の身になる。この先は、これから映画を観る人のために 言わないでおく。

自分の担当した事件の97%の成功率を誇る 若い検察官ウィリーに対して、3%の間違いも、決して許されることのない パーフェクトが要求される航空工学の世界で生きてきたテッド。 美しい妻は、顔に弾丸を受けて、壊れる。(fracture)そして、ウィリーも、卵の殻が簡単に壊れる(fracture)ように、壊れていく。そして、テッドの壊れる様子はもっと痛ましい。

いつも、完全犯罪を解くおもしろさを映画にしてきた ヒッチコックが、アンソニーホプキンスの名演に、手を叩いて 喜んでいる様子が、目に浮かぶよう。完成度の高い映画だ。