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2021年5月12日水曜日

夥しい死者を前に、ただ祈るしかないのか

         

コヴィドウィルスの感染で、世界中で330万人の人命が失われている。
米国60万人、ブラジル45万人、インドでは1日4000人のスピードで死者が出ていて死亡総数など想像することしかできない。米国ではすでに国民の半数ちかくがワクチンを打ったのに、感染が止まらない。英国ではワクチン効果が出てきている、と言っている。

ニュージーランドとオーストラリアは、ラッキーだった。昨年3月から1年余りの間、国民に海外に出ることを禁じ、外国から帰国する人を制限し、事実上の鎖国政策をとって、感染者をくい止めてきた。外国からの帰国者を、2週間ホテルや国の施設で隔離を徹底したことも大きく効果を上げている。国から人を外に出さない、人を入れない、感染源を徹底して追及し、感染者が乗ったバスや関わった人々すべてを隔離し、みなどこに行ってもQRコードを入力して、自分の行動に責任を持つ。一人でも感染者が出て、感染源を突き止められなかったら、即時その地域全体を、ロックダウン外出禁止にして、感染拡大を防ぐ。ウィルスは腸に最も生息するので、各地の下水道の検査を続ける。
60歳以上の人は、アストロゼニカのワクチン、若い人はファイザーのワクチンを打つ。出来るだけ早く打つ。国民も、永住者も、旅行で入国した人たちも、ビザを持っていない人々も、とにかく国内に居る人は全員ワクチンは無料で無条件で受けられる。これだけのことをして、感染を最小限に防いできたオーストラリアの医療体制を少しだけ褒めてやりたい。

自分も医療従事者としてこの1年余りの間、ものすごい重圧を受けながら仕事をしてきた。50人の老人を預かる小さなホームで、職員たちと励まし合いながら働いてきたが、私よりも若い職員と、友人のナースが、2人もストロークで倒れた。2人とも自宅で、意識不明で倒れていて救命されたが、一人はリハビリで後遺症と戦い、もう一人は未だ重体だ。コヴィド流行によるストレスが無かったら、絶対病気にならなかったような人々が、病に倒れている。

ホームの老人50人のうち、期限までに家族の了解が得られなかった年寄りと、体調の悪かった人を除いて、44人が2回にわたるファイザーのワクチンを接種された。2回目のワクチン接種の後、44人中、2人が喘息症状が悪化し、2人嘔吐者が出た。が、深刻な副作用は出なかった。私自身は、オフの日に、アストロゼニカワクチンを受け、副作用もなかったが前後は自重して過ごした。

医療は完全ではない。コビッドテストも正確度80%、ワクチンも75-90%の割合でしか免疫はつかない。2週間の隔離をした後でも、検査で陽性になる人がいる。繰り返し発病する人もいる。人の体はみな同じではないからだ。ワクチンは効かないから、水銀を使っているから(使っていない)、ナチュラル思考に反するから、と接種に反対する人がいる。その人もポリオにも、結核にも、腸チフスや麻疹にもならずに生きてきただろうに。忘れたのだろうか。予防接種は副作用が出るだろうとビクビク、半信半疑でワクチンを受けて、注射部位の痛みだけで病院に行きたがる人もいる。

自分の体は自分のものだという意識を持った方が良い。医療者はワクチンを打つが、免疫を作るかどうかは、自分の体なのだ。超過勤務して、5分刻みの仕事の合間に走っていってワクチンを打ってはいけない。徹夜でドラマを見て、タバコを吸い、酒を飲んでワクチンを打ってはいけない。調子が悪かったらワクチンを打つ予約日だったとしても延期すべきだし、ワクチンを打った日は、外出せずに人込みや職場にでることをやめ、静かに自宅で過ごすことだ。ワクチンを打つ前後は、とくに栄養に注意して、きちんと食事をしてビタミンを取り、よく眠り、ワクチンを接種して免疫を自分の体のなかで、しっかり作ることが大切だ。
私たち地球市民、無念に死んでいった、330万人の死者たちのために、自分の体を大切に思い、そして彼らのために祈りたい。