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2020年3月2日月曜日

マルテイグラでプロテスト

この2月29日、シドニーでマルテイグラのパレードが行われた。
世界最大のLGBTQIのお祭りも、今年で42年目。LGBTQIとはレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、クイアクエスチョ二ング、インターセックスプラス、など性的マイノリテイを包括総称したもの。
パレードに先立って、2月14日からダンスパーテイー、映画、ショーなど100を超えるイベントが、NSW美術館や、オペラハウスや、映画館などで開催されていたが、いつも通り最後の2月29日、最終日に盛大なパレードが行われた。
当日、シテイ中心のオックスストリートでは、数万人の世界各国から来たパレード参加者や見物人で賑わった。毎年この時期は春嵐で大雨になったり、急に寒くなったりしてドラッグクイーンなど、ほとんど裸のパレード参加者には気の毒な年が多かったが、今年は晴天パレード日和で大成功。アボリジニのスモーキングセレモニーと、NZマオリのハカのあとのパレードの華は、RFS(ルーラルファイヤーサービス)で、おなじみの黄色の防火服を着て虹色の小旗をもって誇らしげに行進した。
去年の9月から今年の2月のかけて全国を燃やし続けたブッシュファイヤーのために、ボランティアで消火活動をした人々だ。火災は29人の消防士の命を奪い、2800余りの家々を焼き、ポルトガルの全国土よりも大きい1070万ヘクタールが焼き尽くされた。本職を放り出して自分の命を顧みずボランテイアで消火活動をした人々は、真の英雄だから、大拍手をあびていた。
パレード参加者は、200台のバイクに乗ったLGBTQIの人たちを先頭に、続いて消防士、陸、海、空軍、警察官、ライフセイバー、カンタス、自由党、グリーン、独立党、ANZ銀行、ボーダーフォン、ロレアル、などなどが続き、それぞれが趣向を凝らした衣装とダンスを披露した。シドニーロードメイヤー知事のクローバー モアもオープンカーに乗って行進に参加した。彼女はレズビアン。

オーストラリアでは同性婚は法制化されており、差別禁止法によって法的に、性的少数者への差別は許されない。しかし、目に見えない形で差別は厳然として残っている。パレードの参加者がみな口をそろえて、これはお祭りではなくて、プロテストだ、と発言していた。彼らの勇気ある強い主張は立派だ。
マルテイグラのパレードが始まったばかりの42年前は、ゲイ、レズビアンは「違法」だったし、カミングアウトも」、パレードというかデモをするのも、命がけだったのだ。
米国カルフォルニアサンフランシスコ市会議員だったハーベイ ミルクが市庁舎で、ゲイヘイトの男に殺されたのが1978年。彼の甥、スチュアート ミルクも、このパレードに来ていて、立派なスピーチをした。ミルクの果たせなかったLGBTQIの人権が守られ、差別が無くなる日までパレードは続く。ミルク市会議員の死は「ミルク」(2008)で映画化されて、ショーン・ペンが主演、その年のアカデミー主演男優賞を受賞した。
お祭りではなく、過去の差別の歴史を顧みて忘れず、これからも差別と闘う姿勢を崩さず、プロテストを続けてこう。