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2017年7月1日土曜日

小児性的虐待でジョージペル枢機卿起訴される

                                                                     




今年2017年6月29日 オーストラリア ビクトリア警察が、ジョージ ペル枢機卿を性的小児虐待の容疑で起訴した。
ジョージペルは、ヴァチカンのナンバー3と言われ、ローマ法王フランシスの個人的アドバアイザーでもあり、彼のあと次期ローマ法王の候補にも挙がっている。現在、ヴァチカンで最も高い地位の財政長官を務めている。警察発表のあと、ジョージ ペルは直ちに記者会見して、法廷で自分の無罪を証明してみせる、と息巻いた。
彼は1996年から2001年までメルボルンで準大司教、2001年から2014年までは、シドニーの大司教を勤め、2014年からはヴァチカンで現職についている。76歳、長身でオーストラリア ルール フットボールで鍛えた体は、健康そうでがっしりしている。メルボルン警察による起訴に伴い、7月6日には予審がはじまり、7月18日には、ジョージ ペルが召還される。彼が何を発言し、何を発言しないでいるか、注目したい。

ジョージ ペルは昨年2月、ロイヤルコミッションから召還され、審議中の小児虐待の証人として証言を求められていたが、健康上の理由でバチカンからオーストラリアに来ることを拒否した。15人のレイプ被害者たちは、彼がフランス旅行から帰ったばかりなのを知って、なぜフランスには飛べてオーストラリアには来られないのか、と怒った。このとき被害者たち15人は、ビデオでロイヤルコミッションの問いに証言する彼の姿を見守るため、自費でバチカンに飛んだ。バチカンに着いた被害者たちは、記者会見にも一切応じないジョージ ペルの態度に業を煮やし、ローマ法王に会見を申し込んだが会見は実現しなかった。
ロイヤルコミッションの審議は メルボルンで彼が準大司教だったときに、ペデファイル牧師ジェラルド リズデイルが、少年達をレイプしていたことを知っていて、黙認しただけでなく教会全体で犯罪をカバーアップしたというものだった。彼の証言なしに、ジェラルド リズデイルは、今年実刑判決が出て、現在懲役に服している。

ジェラルド リズデイル牧師は、1993年から2013年までのあいだに4歳の子供を含む54人の少年をレイプしていた。当時ジェラルドと同じ家に住んでいたジョージ ペルは、彼が次々と連れてくる少年を自分の部屋に連れて行く姿を見ていないわけがない。証言によると、同じ部屋のとなりのベッドでジェラルドが14歳の少年がレイプしているのを「気が付かないで」いた、という報告もある。ジョージ ペルが被害者の家族からの報告を無視し、書類を焼却し、加害者をかばっていた罪は重い。
またジョージ ペルは自身も、ぺデファイルでいったん起訴されている。1961年にサマーキャンプで12歳の少年をレイプ、2002年に起訴され審議が始まったが、なぜか審議中に訴えが取り下げられた。様々な圧力や、被害者の自殺などが考えられるが理由はわからない。

ビクトリア警察は、2012年、カトリック教会による小児性的虐待が原因で、被害者のうち40人が自殺したと発表した。当時首相は、オーストラリアで初めての女性首相ジュリア ギラーだった。彼女はただちにロイヤルコミッションとともに、実情調査をすると宣言した。2017年のロイヤルコミッションは、1950年から2009年までのあいだ、牧師の7%が小児性的虐待をしていた、と報告。4千444件の被害報告書を提出した。被害の報告があると、教会ではその牧師を他の教区に移動させて、スキャンダルを封じており、教会ぐるみで証拠を隠滅していたことも明らかになった。

1997年、26人のレイプ被害者に対して50件の罪状をもって服役したビンセント ライアン牧師。2004年、4人の被害者、24件の罪状で服役中、余罪を審議している最中獄死したジェームス フレッチャー牧師。2009年、39人の被害者に対して135件の罪を犯したジョン デンハム牧師。まだ審議中の5人をレイプし22件の罪状を持つデビッド オハーン牧師。審議中病死した、8歳と10歳の少女をレイプしたデニス マクアリデン牧師。などなど、例を挙げるときりがない。

以前同じようなことを書いたので、繰り返しになるが、この世で最も罪が重いのは、無垢な心を裏切ることだ。子供達は牧師を信頼し教えを乞う。その師たる牧師が自分の性的満足のために子供を虐待することは、人として最も深い罪を犯すことになる。信頼を裏切られた子供は、精神的にも物理的にも傷を負い、成長過程で自分に自信を失ったり、他人との協調性が培われなくなったり、自殺や薬物依存症に走りやすい。理解者は容易に得られず、一生傷が癒えることはない。

ぺデファイルは「嗜好」であって、病気ではないから治癒することはない。被害者に追及されても、実刑に服しても、教育を受けてみても、「嗜好」を変えることはできないのだ。ぺデファイルに限らず、レイプによってしか快感を感じられない加害者は、必ず再犯を侵す。残念ながら、そういった犯罪者の存在を許さない社会を作るしかない。
オーストラリアにきて、レイプ犯罪は女性問題だと思ってきたのが、全然違って、男の子のレイプ被害の多いのに驚いた。レイプを性犯罪ではなくて、人権問題として扱わなければいけないのだと思う。

バチカンのナンバー3、ジョージ ペル枢機卿が起訴されたことは、実に喜ばしい。審議の経過を注目していきたい。

写真はサングラスのジェラルド リズデイル牧師と、ジョージ ペル枢機卿