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2012年4月13日金曜日

初めてオットが訪れる富士




今日の、「初めて日本を訪れる外国人のためのツアー」によると、富士山、河口湖、大涌谷、箱根ロープウェイ、芦ノ湖でクルーズのあとで、小田原から京都へ移動、というスケジュール。
数年前にはドクターストップがかかり、来日できなかった。病気持ちの上、ひどい喘息もち。歩きながら足がもつれてきて、私にもたれかかり そのうちに私が両手で体を支えてやらなければならない。そんなオットに無理はできない。でも、ツアーに、最後までついて行けたら それが大きな自信になって、明日につなげられる。本人は、何よりも嬉しいだろう。二人で、ツアーについて行けるだけ やってみよう。

ホテルから 迎えのバスに乗って富士山へ。私も、勿論夫も初めての富士。ホテル最上階のバーからも、昨日行った東京タワーからも見えた真白の富士。富士と言う言葉はアイヌの言葉で、「火を吹く山」という意味だったという。富士が火を吹いていたころには、山の麓では、アイヌの人々が住んでいたということだ。そんな日本の先住民を、北海道の原野まで追い詰めたのは、私達だ。

河口湖駅から富士ビジターセンターに寄り、暖かい飲み物を飲んでから、富士の山の歌を奏でるメロデイー街道を通り、5合目までバスで登るはず。なのに、4合目の大沢駐車場で、道路が氷結しているということで、バスは止まる。標高2020メートル。ビジターセンターでは目前に大きく聳え立っていた富士は、ここでは近すぎて、雲で見えない。駐車場ではラッセルした雪が山になっている。さっそく雪遊びを始めるスペイン人家族の子供達。オットといえば 大沢駐車場の看板をカメラに収めると、サッサと バスのドアをノックして ドライバーにドアを開けてもらってバスの中で丸くなっている。その内に、空からヒラヒラと 白い花びらのようなものが 空気中に漂いはじめた。と、思ううち、白い花びらが、たくさん落ちてきて、とうとう、本格的な雪になった。ツアーの人々は喜んで飛びまわって、雪の写真を撮っている。けれど生まれて初めて降る雪を見たオットは、「ああ、これが雪ね。」と、感激も感動もなく、ただバスの中で丸まっている。ウェストサイズ105センチ、脂肪たっぷり蓄えているはずだが、それでも寒いのか。

再びバスの乗客となり、山麗のホテルで昼食。山菜のはいった手打ちうどんと天麩羅をいただく。そこから箱根ロープウェイに乗って大涌谷で。ロープウェイの駅に着いたらば、ああら、、良い匂い。これは間違いなく焼き芋。ツアーの皆は 一つ食べると7年長生きするという黒い温泉卵に飛びついている。私はオットの手を引き、焼き芋を焼いているおばあさんのところへ。一本300円。熱い石で焼いた日本の焼き芋は、何十年ぶりだろうか。焦げた皮、中身がみごとな黄金色。剥き方をオットに教授すると、それはそれは丁寧に皮を剥きながら、新聞紙に包まった焼き芋を、嬉しそうに食べていた。

再びバスに乗って、芦ノ湖で海賊船に乗る。湖のなかに箱根神社があって、赤い鳥居が美しい。船の中でコーヒーを飲みながら、湖に沈んでいく夕日を眺める。クルーズを終え、バスで小田原駅に行く途中、桜がたくさん咲いていた。温泉に近いところにある桜は 早咲きなのだろうか。夕闇の中で 満開の桜が咲き誇っている。初めて桜を見るオットが嬉しそうに 満開の桜の木の下に立つ。花を見上げて落ちてくる花びらを受け止めるように、両手をかざして、嬉しがっている。なによりも、ツアーから落伍せずに 全部皆と一緒に行けたことが、とても嬉しいのだろう。

小田原駅から名古屋で乗り換えて、京都まで新幹線に乗る。今日一日ガイドで付いてくれた青年が案内してくれる。この青年のおかげで、一日ツアーについて行けた。感謝しつつ新幹線に乗り込む。生まれて初めて乗る新幹線に、オットははしゃぎ放し。新幹線が走り去る姿をカメラに収めようとしてシャッターを押した時には もう見えなくなっている。それに驚き大笑いして喜んでいる。座席と座席の間が広いことを嬉しがっている。車内販売のおねえさんが親切なのに、嬉しがっている。買ってもらった弁当とビールに感動している。コップに注いだビールが 電車が揺れてこぼれたりしないことに感激している。

驚いたことは 小田原から来て、新幹線が名古屋で止まったとき、向かい側の別の車両に乗り換えると言われていたが、ちゃんと、名古屋で別のガイドが待っていて、次の列車に乗り換えるまでお世話してくれたことだ。日本のことは、右も左もわからない外国人にためのツアーだが、私達二人のために、乗換駅でもガイドが付くなんて、びっくり。京都駅に着くと、また別のガイドが プラットフォームで待っていて、ハイヤーまで案内してくれる。やっと無事に 京都のホテルに付いたのは11時近かった。長い一日だった。
ホテルで湯上りに飲む、サッポロビールが美味しい。