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2011年11月14日月曜日

映画「三銃士 王妃の首飾りとダヴィンチの飛行船」



原作 アレクサンドル デユマ
監督 ポール W S アンダソン

ストーリーは
17世紀 フランス。
田舎からパリにやってきたダルタニアンは 剣はたつが 無鉄砲で負けん気の強い青年。成り行きで 国王の近衛隊と敵対したため、親衛隊に追われた三銃士の仲間になる。ルイ13世はフランス国土を統治していたが、国政に関わっているフランス宰相リシュリューは ハプスブルグ家出身の王妃とは敵対し、バッキンガム侯爵のスパイでもあった。彼は配下に ミレデイというスパイを 自由に使って国王を操っていた。
イギリスのバッキンガム侯爵とフランス国王は、ダ ヴィンチが設計した飛行船の設計図をめぐって争奪戦を起こしていた。飛行船はドーバー海峡を容易に越えて、相手国に侵略するための兵器になる。表では優雅で儀礼的な外交を行っているが 英仏両国は 一触触発の状況にあった。

リシュリュー宰相は国王に 王妃との関係にヒビを入れるため、国王が贈ったダイヤの首飾りを バッキンガム侯爵が訪問する日に身に着けないと 女王の国王への忠誠が疑われる、と、そそのかす。一方でダイヤの首飾りを 首尾よくミレデイに盗ませる。首飾りが盗まれたことを知った女王は、三銃士とダルタニアンに助けを求める。フランス国王と女王に忠誠を誓う三銃士とダルタニアンは 即座にイギリスに向かい 首飾りを取り返して 無事国王と女王の仲を取り持つことが出来た。
というお話。

アレクサンドル デュマによるクラシカルな少年少女冒険物語だ。何回映画化されたか 数え切れない。ハリウッドに新人でハンサムな役者が出るごとに アラミスやダルタニアンを演じさせて、映画化されているような気がする。
記憶を遡ってみると、1973年の「三銃士」が一番良かった。ダルタニアンにマイケル ヨーク、アラミスにリチャード チェンバレン、リシュリューにチャールトン ヘストン、コンスタンスにラクウェル ウェルチ、ミレデイーにフェイ ダナウェイだ。これで つまらない映画になるわけがない。
1994年には フランス映画「ソフィーマルソーの三銃士」で、マルソーが ダルタニアンの娘役で活躍した。1998年「仮面の男」というタイトルで、ルイ14世にレオナルド カプリオが、アトスにはジョン マルコビッチという興味深い配役の三銃士が作られている。また、この有名なお話は、ミュージカルにも バレエにもなっている。

今回の映画では 3Dフイルムで飛行船が出てくるところが新しい。レオナルド ダヴィンチが 飛行船の設計図を残していたことは事実だ。この飛行船が 英仏戦争に活躍して、あり得ないような活劇が展開される。三銃士が空を飛んだり跳ねたり 一人の銃士が何十人もの敵兵を 簡単にやっつける。ダルタニアンは恋した女性のために 何が何でもがんばる。何十人もやっつけて 自分は怪我ひとつしない。フランス国王は 宰相に操られて いかにも愚かだ。すべて単純化されて、漫画化されている。
ちょっと前だったらダルタニアン役にふさわしいオーランド ブルームが 悪役バッキンガム侯爵になっている。ミレデイは 美しく着飾り つっかえとっかえ豪華な服をまとって出てきて、時として必要もないのにタイツ姿になって見せてくれたりするが、魅惑的なスパイとして役になりきっている。のびのび演じている と思ったら監督の奥さんだそうだ。二時間の映画、無駄に長い。3Dフイルムが 余り効果を発揮していない。話が単純化されすぎていて、実際のアレクサンドラ デュマの原作の奥の深さが失われている。

このお話を胸躍らせて 読み進んだのは小学校3年くらいのころだっただろうか。「三銃士」、「岩窟王」、「マルコポーロの冒険」、「15少年漂流記」、「ハックルベリーフィン」、など冒険物語が大好きだった。この頃読んで想像力を膨らませる歓びに比べると 映画で筋を追う楽しさは はるかに劣る。やはり、冒険物語やスリラーやミステリーは読むに限る。読んでしまってから、映画で楽しむのが正しい順番というべきか。

このことば、カール マルクスの言葉かと思っていたけれど、デュマの言葉だったのね。「一人は皆のために、皆は一人のために」。この台詞で 4人が剣をかざすシーンが良い。
「UN POUR TOUR、TOUS POUR UN」