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2011年3月5日土曜日

ヒラリー スワンクの映画 「コンヴィクション」

劇場で映画が始まる前に 近いうちに上映予定の映画の前宣伝をいくつか見ることが出来る。それを見ていると 是非観たい作品と、もう宣伝フィルムだけで内容も感触もわかってしまったからもう充分、という作品とに分かれる。 宣伝用のフィルムを見ただけで 涙があふれて仕方がなくて、公開を心待ちにして、観たのが この映画「コンヴィクション」だ。原題「CONVICTION」、有罪宣告という意味。実話を映画化したものだ。

ストーリーは
兄ケリーと 妹べテイアンとは とても仲の良い兄妹だった。マサチューセッツの田舎で、二人は 泥まみれになっていつも遊んでいた。母親はシングルマザーで6人子供を産んだが、その父親が全部ちがう父親だった というような生活環境。妹思いのケニーは 妹が悪いことをしても いつも叱られたり 責められたりするのは兄の役割だと思っている。ケニーは どんなことがあっても 小さな妹を体をはって守り通してくれた。 小さな町で二人は成長し、それぞれ家庭を持ち、子供をもった。そんな二人の兄妹の関係に 転機が訪れる。

1983年、静かな小さなこの町で、強盗事件が発生する。未亡人が殺され、家が荒らされた。 寝耳に水のケニーの逮捕。物証が何もないのに、二人の女の証言だけで ケニーは 殺人犯として、終身刑を言い渡される。 そんなことがあって良いはずはない。べテイアンは、どんなことがあっても 監獄から兄を救い出す決意をする。

まず、べテイは高校卒業の資格を取り、大学に入り 法学を勉強し始める。小さなバーで働きながら、昼夜なく働き、彼女は勉強を続ける。兄の無実を証明したい一念だ。夫が去り、二人の子供達は 母親の不在に不満のやり場がない。 べテイアンは 遂に弁護士の資格を取り、兄のケースを再審に持っていくための仕事にとりかかる。18年たっていた。時に DNAテストが 警察で事件の証拠として認められるようになり 殺人事件当時の証拠とされていた血痕が ケニーのものではないことが証明された。べテイアンは、協力者を得て、ケニーの無実を立証していく。あとは、二人の当時の証人を探し出し、証言をひるがえさせることだ。そして、二人の証人の偽証が明らかになる。
人生の一番幸せだったときに 逮捕され、終身刑を言い渡されたケニーに 遂に無罪が、、、
というお話。

監督:トニー ゴールドウィン
キャスト
べテイーアン ウォーター:ヒラリースワンク
ケニー ウォーター   :サム ロックウェル
ナンシー テイラー警部 :メリッサ レオ
友人弁護士       :ミニー ドライバー
友人弁護士       :ピーター ガラシャー
ケニーの娘       :アリ グレイノール

本当のお話だけに迫力がある。「ヒラリー スワンクのがんばり」に終始する映画だが、彼女が演じる「強い女」はピカイチだ。涙をこらえて キリッと前方を見据えて しっかりした足取りで歩く。勇敢だ。 彼女は クリント イーストウッド監督の「ミリオンダラーベイビー」で、アカデミー主演女優賞を取った。ハングリーで自分の決めたことは 絶対に譲らない。他の女優には演じられない。この映画は この女優なしには成功しなかったと思う。

汚い手で 女達に偽証をさせて、自己保身にはしる女警官役を演じた、メリッサ レオは、「ファイター」で、クリスチャン べイルの母親役で、つい先週発表された今年のアカデミーで、助演女優賞を取った。カメレオンのように どんな役にも自分を合わせて 器用に演じることのできる女優だ。

感動的な実話なので その強烈な事実に引きずられて、心動かされるが 映画としては 人物の心象風景の描き方や ケニーとべテイアンの心理に立ち入って描かれていない。子供時代の回想シーンも、クリント イーストウッドが監督していたら もっと子供達の生き生きとした世界が描けていただろう と残念に思った。いろんな場面で、何かが足りない気がして仕方がなかった。

しかし、事実の重みに心動かされ 勇気つけられる。18年間の彼女の努力。自分は家族のためにこれだけのことが出来るだろうか。 映画に感動して、涙を枯らしたあとで、映画の最後のテロップを読んで、観ていた人はもう一度 泣く。
泣かずにいられようか。
事実は 残酷だ。