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2010年11月4日木曜日

映画「ファイナルデスティネーション」真田広之のオールヌード




映画「THE CITY OF YOUR FINAL DESTINATION」を観た。イギリス映画。
邦題が まだない。直訳すると「あなたの最終目的地」、とか「最後の安住の地」、とか「ファイナル デステイネーション」とかが、無難だろうか。映画撮影中に 製作者が亡くなり 財政問題を抱えて、映画編集に時間かかかり、4年たってやっと完成して公開された。

監督:ジェイムス アイボリー(JAMES IVORY)
キャスト
アンソニー ホプキンス (アダム)ANTHONY HOPKINS
オマー メトワリー (オマー)OMAR METWALLY
シャーロッテ ゲインズブール(アーデン)CHARLOTTE GAINSBOURG
ローラ リネイ (カロライン)LAURA LINNEY
真田広之 (ピート)

ピーター カメロンの同名小説を映画化したもの。この映画はジャンルでいうと、すぐれた文芸映画ということができる。そこに、嫉妬や殺人が からむが、美しい南米ウルグアイの田舎で暮らす 裕福なユダヤ人家族の叙情的なラブストーリーだ。
アルゼンチンで撮影された その景色が美しい。また、サーの称号をもつアンソニー ホプキンスが素晴らしい。映画の中でピアノを弾き 芸術を愛する役柄だが、実生活でも絵を描き、作曲をする72歳の役者。

でもこの映画の話題性は、主人公をシャーロット ゲインズブールが演じていることだ。あの1960年代に一世を風靡したフランスのシャンソン歌手セルジュ ゲインズブールと 女優ジェーンパーキンの間に出来た娘。ゲインズブルグは、ブリジット バルドーをはじめとする世界中の女達を よろめかせた。「ゲインズブール」という題名の映画が 彼のそっくりさんが演じて製作されて、じきに公開される。彼の短い一生を映画化したものだそうだが、彼の悪い男ぶりを、近々映画で観られるのが楽しみだ。その娘のシャーロットは 可憐で可愛らしい。

もう一つの話題性は、アンソニー ホプキンスの愛人役に 日本の真田広之が演じていることだ。彼の全裸シーンが出てくる。彼の体が美しい。
それと、彼の映画がとても キングイングリッシュで、良い。長いこと日本に住んでいないので この映画を観るまで 全然知らなかったけれど この人は1999年から ロイヤルシェイクスピア劇団で 日本人としてたったひとり、本場のイギリス人に混じってシェイクスピアを演じて 大英名誉勲章(HONORARY MBE)を受賞している。例えて言うと 歌舞伎座にイギリス人が入ってきて日本語で歌舞伎を演じるようなものだから、それは大変なことだったろう。
いまは、ロスアンデルスに住んで 人気のTVドラマ「ロスト」に出演している。なかなか、立派な若手の国際俳優なのだ。
彼の作品では トム クルーズの「ラストサムライ」、ジャッキー チェンの「ラッシュアワー3」日本映画「亡国のイージス」などで見ていた。スタントマンを使わないジャッキー チェンの映画で 同じくスタントマンを使わない真田広之が エッフェル塔の上で武術を駆使してやりあう場面を ハラハラして見た記憶がある。また「ラストサムライ」で、トム クルーズに日本刀の使い方や身のこなし方を教授したのは彼だったそうだ。
とても良い英国英語を話す。耳が良いのだろう。彼は 5歳のときから役者をやってきたが、この映画で初めてゲイの役を演じることになった。役作りに とても苦しんだ とインタビューで言っている。

この映画で 忘れられないシーンがある。ものすごく広い どこまでも広がる草原を 真田広之が ひとり馬に乗って走ってくる。まわりには 何もない。やがて向こうの一本道からポンコツのスクールバスやってきて 一人の女の子を下ろしていく。その女の子を真田広之が馬の上の鞍に跨ったまま かがみこんで女の子をヒョイと抱き上げて鞍にすわらせて 馬を走らせて屋敷に送っていくシーンだ。こんな芸当が本場のカウボーイにとっても どんなに難しいか、乗馬体験のある人は想像がつくだろう。それを彼がやると、とても自然で 美しい絵になっている。印象に残るシーンだ。

ストーリーは
現代ラテンアメリカ文学を代表する作家JULES GUNDが亡くなった。アメリカの大学で文学を教えるオマー(オマー メトワリー)は、彼の伝記を書きたいと考えて遺族に承諾を請う手紙を出す。しかし、返ってきたのは それを拒否する作家の兄と未亡人と愛人のサインつきの手紙だった。遺族をなんとか説得して伝記に一刻も早く取り掛かりたいオマーは 鞄ひとつでウルグアイの作家が住んでいた田舎にやってくる。
そこは、戦前にドイツから逃れてきた裕福なユダヤ人家族が 買い取って農園を開いた広大な領地だった。遺族たちの許可なしに屋敷にやってきてしまったオマーは 簡単に帰ることもできない。遺族はオマーが屋敷に滞在することを許可する。

気位が高く 取り付く島もない未亡人カロライン(ローラ レニー)。
亡くなった作家との間に小学生の娘を持つ 愛人アーデン(シャーロット ゲインズブール)。作家の兄アダム(アンソニー ホプキンス)と彼の愛人ピート(真田広之)。
人里はなれた田舎の大きな屋敷で 作家を中心に奇妙な人間関係を続けてきた人々にとって、オマーはかっこうの退屈しのぎでもあったのだ。若いが紳士的で教養もあるオマーを 未亡人以外の家族達は すぐにうち溶けて仲良くなった。
アダムは25年前に ピートを養子として迎えた。ピートは アダムの世話をしながら 農園の管理やアーデンの娘の学校の送り迎えなどをしている。アダムは自分が死んだら、農園も何もかもピートに与えるつもりでいる。オマーは 年齢が近いこともあって、ピートと親しくなっていく。作家の愛人アーデンとも親しくなり 静かで和やかな田舎の生活の中で やがて二人は魅かれあっていく。

アダムは作家の未亡人カロラインが じつは作家の弟を殺したのではないか 作家が書き残していたはずの小説を隠しているのではないか、疑っていた。これを機会に、母親が自分のために残していてくれた宝石を売ったお金を カロラインに与えて屋敷から出すことにした。カロラインは出て行く。
もう伝記を書くことを拒否する理由もない。アーデンもアダムも、オマーに作家の伝記出版を許可することにした。オマーは 伝記を執筆するために、アメリカに帰っていった。
平穏な日々が もどって来る。
アダムとピートの優しい時間。アーデンと娘とのやすらぎの時間。
そして時間が経ち アダムとアーデンのところにオマーが帰ってきて、、、。
とうお話。

アーデンのシャーロット ゲインズブールが 初々しくて愛らしい。アンソニー ホプキンスが素晴らしいが、真田広之がとっても良い。硬派の男がゲイの役をやると輝いて美しい。ウルグアイの自然が美しい。長編の抒情詩を読んでいるようだ。