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2008年11月27日木曜日

映画「007 慰めの報酬」


007ジェームスボンドの新作映画「QUANTUM OF SOLACE」(邦題:慰めの報酬)を観た。
監督:マーク フォースター
主演:ダニエル クレイグ

映画ボンド シリーズも この50年間のあいだに22作。原作者のイアン フレミングは とっくの昔に 故人。にもかかわらず 一人の主人公を中心に 物語が50年もの間続いてきて、毎回 最高の観客動員数を記録しているのは、映画界でも前代未聞のことだ。

英国女王陛下 じきじきの 秘密護衛組織のジェームスボンドは不死身で強くてハンサム。教養がありユーモアのセンスは一流、殺しのライセンスを持ち、最新兵器を駆使して女王のために悪と戦う。世界中を駆け巡り 世界中の美女を渡り歩く。
ショーンコネリーの においたつばかりの男臭さ。
ロジャームーアの華麗でゴージャスな姿。
ピアース ブロスナンの優雅でオシャレな立ち振る舞い。 それぞれのボンドには それぞれの良さがあった。

新作で、新しいところが二つ。 ひとつは あのゴールドフィンガーの有名な主題歌が初めに出てこなくなって、主題歌が変わった。ジャック ホワイトと、アリシア キーズが、新しい歌をデユエットしている。 もうひとつの新しいことは、今までボンドシリーズは、毎回一回きりで話が完結していたが、今回は、前回の「カジノ ロワイヤル」の続編 という設定だ。

前回で、ボンドはミスターホワイトという謎の組織に イギリス政府の秘密資金を奪われ、マネーランドリングされているところを カジノで奪い返す。しかしせっかく奪還したお金をボンドが恋に落ちた愛する女(エバ グリーン)の裏切りで 再び奪われてしまう。 新作映画は ボンドが黒幕のミスターホワイトを 派手なカーチェイスの末 誘拐して本部に引き立ててくるところから 始まる。

一味の資金源を洗っていくと、ハイチにいたる。ボンドは ハイチで、QUANTUMという 環境保護団体に出会い、その元締め グリーン(マチュー アマルリック)という実業家が 世界中の資源物資をコントロールする野望をもっていることを突き止める。グリーンは国外追放されているボリビアの メドラノ将軍を買収し 将軍の後ろ盾になっているCIAと、イギリス政府を欺いていた。

ボンドは グリーンを追っているうちに 偶然、ボリビアの美しい娘:カミラの命を助ける。カミラはメドラノ将軍の圧政下で 人権派だった両親、兄弟をすべて惨殺されて、復讐に燃えている警察官だった。ボンドとカミラは グリーンとメドラノ将軍を 追い詰める。その過程で、ボンドは 古い親友を亡くし、英国政府のエージェントを知らずに殺してしまった為 英国政府への忠誠心を疑われ、資金源を絶たれる。そんな不利な中でも、カミラと共に、敵を倒し、最終的にはボンドの最愛の女を死に追いやることになった男をエージェントに引き渡して、任務を完了する。ボンドの忠誠心を疑った 組織のボス(ジュデイー デッチ)は ボンドに留まるように 言うが、ボンドは「まっぴらごめん、アバヨ」と立ち去る。というところで、お話はおわり。

今、イギリスでトップの稼ぎ手、ダニエル クレイグ、ブロンズの007は 今までのボンドとちょっと違う。恋などに溺れないはずのボンドが 完全に一人の女に 惚れてしまってエージェントの仕事から足を洗う決意をする。そんな女に裏切られてからは、夜眠ることができずにいる。いつものドライマテイー二を何杯重ねても 酔うことが出来ない。男として弱点を持った きわめて人間的なボンドだ。

ダニエル クレイグのいたずら小僧というか やんちゃ坊主のような顔が良い。短距離走者と同じ走り方で 逃げる敵をどこまでも すごく真剣な顔で走る姿も良い。親友を失うような悲しいことがあったとき、唇をキュと、引き締めるが 目の表情は変わらない。今までのボンドになく、ダニエル クレイグのボンドにあるものは 女性の母性本能を刺激するところかもしれない。パーフェクトマン、スーパーヒーローにしては、可愛いのだ。

ただ、今回のボンドにないものは、ユーモアとウィット。失意のどん底にいるボンドだから仕方がないのかもしれないが、ロマンスもない。最新のファッションに身を包んだ美女のボンドガールが次々出てくることもない。
カミルは、失意にあるボンドに 惚れはしない。任務が終わって ボンドを振り向くこともなく去っていく。

今までのボンドと同じところは、アクションの連続、何度も繰り返される派手なカーチェイス、よじ登ったり、飛び降りたり ガラスを割り、爆破し、ハイチ、イタリア、オーストリア、ボリビア、ロシア と、めまぐるしく移動しながら バイク、車 ボートを操縦し、飛行機も操縦し、挙句の果てにパラシュートなしで 飛行機から飛び降りる。 大変な、やんちゃぶり。

さて、最後、ボスに シェーン カンバーック「帰ってきて」と、懇願されたのに、潔く立ち去ってしまったボンド。映画シェーンの幕切れみたいな終わり方をしたが、本当に、このままボンド、失業してしまうのかしら?