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2008年11月19日水曜日

再び ロンドン







今朝は早くから快晴。
オックスフォード通りのホテル、ホリデーインから歩いてグリーンパークを越えて バッキンガム宮殿へ。 ロンドンは毎日雨で寒くて 夕方からは厚い霧が出て、レインコートに傘が手放せない というはずだったのが、毎日シドニー顔負けの青い空、汗ばむほども晴天続き。

バッキンガムの名物 衛兵の交代を見物してバチバチ写真を撮ってから、セントジェームズ公園を歩き、セントジョーンズ宮殿や プリンスチャールズのいるクラレンスハウスからアドミラルアーチを越えて、また、しょうこりもなく三越でランチ。デパートで買うほどのものは 何もない。

フォートナム&メイソンに行く。1707年創業の 食料品専門店。勿論 紅茶を買う。ロンドンに行くと人に言うごとに、ここで紅茶を買ったら良い という親切なアドバイスを100人くらいの人から言われた。イギリスは紅茶の産地と言うわけじゃないのにね。 むかしむかし、インド、スリランカを占領していたときに紅茶を作らせていただけでしょう。しかし、イギリスにとって紅茶は特別の意味があるのだろう。

かつての大英帝国時代、朝のお茶は、解毒剤でもあった。イギリスは小さな船で7つの海を制覇して インドをはじめアジアやアフリカの国々を支配下においては 政府の高官を送り込んでいた。未開地を植民地化することは、疫病との闘いでもあったから、強力なタンニンを含有するお茶がイギリス人にとっては なくてはならない解毒剤だったわけだ。そんな時代からの慣習に敬意を表して、イギリス人の紅茶をいくつか買う。見ていると、上品なスーツ姿に、ちょっと時代遅れの帽子を被った老婦人が杖をついて 紅茶を求めていくところだった。なるほど、なるほどね。イギリス史の生き証人か。

午後はライシアム劇場でミュージカル「ライオンキング」を観る。 シドニーで見逃していて、ずっと気になっていたのが やっと観られる。舞台から3番目の真ん中というベストシート。インターネットで良い席を取ってくれた娘に感謝。観客席から象やキリンや鳥が登場してきたり、二階席にドラムやボンゴを配置して音の多重音響効果を出したり、意表をつく舞台造りが 楽しい。歌も、エルトン ジョーンズの音楽も良かった。

デイズ二ー作品ということになっているが、この作品は手塚治虫の「ジャングル大帝」のコピーだ。
このジャングル大帝レオは サバンナの王として、密猟者から動物達を守り、水源を確保し、肉食動物には必要最低限の食料確保をする以外のハンテイングを止めさせた。そのことによって種の維持や サバンナの安全を配慮したが、それはそのまま手塚治虫の自然観でもある。彼はもともと医師で、虫の研究者でもあった。自然への敬意、畏怖の気持ち、人の生きかた、家族の信頼 友情などを 若いライオンの成長を通して 読者に熱心に語りかけたのが、「ジャングル大帝」だった。
手塚治虫のヒューマニズムに基ずいたストーリーテリングが 後に続く若い漫画家や映画制作者に多大な影響を与えている。

ミュージカルを観た後は、娘の大学時代の友達と待ち合わせ。
やってきた青年は ロンドンのドイツ銀行に勤めているそうだ。この好青年に案内されてレストラン「わがまま」の姉妹店で 今とても流行っていると言う「TENTEN MOON」と言う店で 夕食をご馳走になる。インドネシア料理で ものすごく辛い。 口を開けると火が吹き出しそう。

青年の後について、リージェント通り、ボンド通り、ソーホーのチャイナタウン、ゲイばかりの集まる界隈、どんな好みでも必ず望みの街娼が手に入るという一角など、オタクしか知らないような裏路地まで 見物させてもらって、なんか、真夜中の大冒険をしたような気分。 
最後にテムズ河にかかる橋から、大観覧車のロンドンアイの夜景に歓声をあげて、夜風がビュ-ビュー吹き荒れるなか、写真をとって、青年とシドニーでの再会を約束して、さよならをした。今夜はよく眠れるはず。


写真1:バッキンガム宮殿前
写真2:トラファルガー広場のネルソン像
写真3:アドミラルテイ アーチ