ページ

2008年4月17日木曜日

映画「幸せの1ページ」



新作映画「NIM"S ISLAND」を観た。子供向けファンタジー映画ということになっている。
原作 WENDY ORR, 映画監督MARK LEVINとJENNIFER FLACKETT夫婦、 配役、NIMにABIGAIL BRESLIN, 作家にJODIE FOSTER,海洋学者にGERARD BULTER.

ニム(ABIGAIL BRESLIN)は、11歳、海洋生物学者のお父さん(GERARD BUTLER) と二人きりで活火山がある南太平洋の無人島に住んでいる。お母さんは 海で事故に合い 亡くなった。 ニムはお母さんが大きな鯨のおなかの中で今でも元気に暮らしていると思っている。

二ムの親友はアシカ、大トカゲ、亀、ペリカンなどだ。アシカとヒップッホップを踊るし、彼の体につかまって海で泳いだり潜ったりして遊ぶ。大トカゲはいつもニムの体のどこかしらにくっついていつも一緒だ。

月に一度は軽飛行機が 島に荷物を落としてくれる。中にはニムの大好きな作家、アレックス ローバーの書いた冒険小説が入っている。彼の書いた冒険小説に出てくる主人公がニムのヒーローだ。ヒーローは 砂漠で死にかけたり、山で遭難しかけたり、山賊に殺されかけたりしながら世界中を旅する いつも強くて大活躍の冒険家だ。

作家アレックス ローバーは 自分の小説の中で、主人公に冒険をさせるため 必要な科学的な知識をコンピューターを通じて ニムのお父さんの知恵をかりている。お父さんは、ナショナルジェオグラフィックでも紹介されている有名な研究者だ。しかし、アレックス ローバーは著者名で、本当の名は、アレクサンドラ。女性で、冒険どころか、小さな虫にも恐怖の悲鳴をあげる、自分の家から出て、外気に触れるのも怖くて 人と接触することもできない、神経症の閉じこもり作家だ。

そんなある日、お父さんは ボートで研究のために外洋に出たまま、嵐にあって帰ってこられなくなる。荒れる海で ボートのマストが折れて、ボートは水びたし。たった一人 島に残されたニムは、途方にくれる。そんな時に、観光旅行者が、突然ボートで島にピクニックにやってくることになった。二ムはお父さんと二人だけの秘密の場所を守るために どうしてよいかわからない。 何日たっても、お父さんが帰ってこないので、遂に、インターネットで二ムのヒーロー 作家のアレックスローバーに助けを求める。

アレックスは 自分の熱狂的ファンの11歳の女の子の窮地を知って、助けに行ってやりたいが、本当の自分は家の外の郵便ポストまで行くにも、勇気を奮い立たせて、何日もかかって、郵便を取りに行くような状態。しかし とうとう作家は自分が書いた冒険小説のヒーローに背中を押されて 決死の覚悟で飛行機に乗り、沢山の乗客や 周りの人々に迷惑をかけながら、サンフランシスコから、トンガまでたどり着き、その後は 暴風雨の中を ボートで半分死んだ体で ニムの島に漂着する。

ニムはアレックスが冒険小説のヒーローとは似ても似つかない か弱い女性だったことに 心からがっかりする。が、たった一人の保護者だったお父さんが行方不明で、途方にくれて泣いているニムにとって アレックスは必要な存在だった。苦労してサンフランシスコから 自分に会うだけのためにやってきてくれたアレックスに ニムは心を開く。 そうしているうちに お父さんが壊れたボートの破片で組み立てたウィンドサーフィンで帰ってきて、、、 というお話し。

子供のとき 誰もが学校に行かないで 南の島で毎日 動物達に囲まれて 好き放題に暮らす夢を見たのではないだろうか。そんな夢、そのままの映像、、アシカにつかまって海に潜って魚達とたわむれる、やしの樹に登って 実を取ってジュースを飲む、亀の出産を手伝って、赤ちゃん亀達が海に帰っていくのを助けてやる、その肩にはいつもペットの大トカゲ、はだしで駆け回る密林、ターザンのように樹のツルにつかまって山から海辺まで下りてくる、どこまでも青い海と空、、、 子供だけの夢ではない。現代社会に疲れ、複雑な人間関係に辟易としている大人たちのドリームであるだろう。

そのうらやましい11歳の女の子をいとも自然に演じているアビゲール ブレスリンは、確かに天才子役と言えるだろう。 ジュデイー フォスターも、子役からきた俳優。デニーロの「タクシードライバー」(1976年)で13歳の娼婦役をやって、世界から注目されアカデミー賞をノミネートされた。1988年「アキューズド」で アカデミー主演女優賞、ゴールデングローブ賞、1991年「羊達の沈黙」で 再びアカデミー主演女優賞と、ゴールデングローブ賞を取った イエール大学卒のインテリ女優。彼女のアレックス ローバーの役が、とても良かった。滑稽な弱虫 腰抜けぶりが、わざとらしくなくて気持ちよく笑わせてくれる。どんな役でもできる、知的で美しい女優だ。

この映画、子供のためのファンタジーにしておくのはもったいない。大人にこそ、こんなファンタジーが必要なのだから。さあ、仕事をやめて、休暇をとって、、、海にでかけようぜい!!!