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2008年1月28日月曜日

映画「スウィーニートッド:フリート街の悪魔の理髪師」


ブロードウェイのミュージカル「SWEENEY TODD :THE DEMON BARBER OF FLEET STREET」が、テイム バートン監督によって映画化された。 ジョニー デップが ミュージカル映画で歌うというので、とても話題になっている。

この監督、よほどジョニー デップが好きらしく、「シザーハンド」、「チャーリーとチョコレート工場」など、5つの作品で彼を主役に出演させている。   ジョニー デップは、「パイレンツ オブ カリビアン」で 小さな子供から老人までファン層を広げた。強力な個性、一種独特の人を惹き付ける魅力をもった俳優だ。ちょっと、大げさのように思えるが、朝日の雑誌、アエラで映画評を書いている 藤原帰一氏の言葉に従えば、「抜きん出た美貌と演技力に恵まれながら素直に名優になろうとしないこの恐るべき子供の、これは第一の名演ではないだろうか。」ということになる。

第65回ゴールデングローブ賞、ミュージカルコメデイー部門で、これが作品賞、ジョニー デップは主演男優賞を獲得した。 余談だが、主演女優賞は、「エデイット ピアフ、愛の賛歌」の、マリオン コテイーヤルが獲り、ドラマ部門では「AWAY FROM HER]のジュリー クリステイーが選ばれた。エデイット ピアフの映画も、ジュリークリステイーの映画も、このMIXIで前に記事を書いた。2007年、10月12日の日記と、7月30日の日記だ。

オーストラリアでは「SWEENY TODD 」を、去年の1月から3月まで オペラでやって、成功した。ブロードウェイでは HAROLD PRINCE監督、RICHARD BARR、CHARLES WOODWARD などが製作したが、ここではSTEPHEN SONDHEIN,HUGH WHEELER などが オペラに仕立てた。去年は オペラオーストラリアでは、「椿姫」、「フィガロの結婚」、セルビアの床屋」、「イル トラバトーレ」、「タンホイザー」など、重くて、長くて、大きいオペラが多かったので、登場人物が少なくて規模の小さな「SWEENY TODD]のような作品を混ぜたのだろう。

ストーリーは、 
無実の罪で投獄され、妻と娘を悪徳判事に奪われた理髪師バーカーは、15年後に脱獄して復讐するためにロンドンに帰って来る。ミートパイ店を経営するミセス、ラヘッドの協力を得ながら 判事ばかりでなく 来た客を次々と剃刀で咽喉を切り裂いて殺し、肉をミンチにしてパイにいれて、人々に食べさせる。しかし、判事に奪われて、亡くなったはずの妻と娘は、、、このあとは、これから観る人のために言えない。

ミュージカル映画でジョニー デップが 立派に声量豊かに難しい歌を歌っていて、ミセス ラヘッド役のレナ ボナム カーターの声とも よくハモッていた。日本でも、オーストラリアでもこの映画、15歳以上でないと観られないのは、咽喉をかき切る時のシーンが残酷だったから と言われている。

無実の罪を着せられて、妻子を奪われた哀れな理髪師は 悪魔と呼ばれてしまったけれど、話の筋をたどっていけば、そんな復讐の鬼にならざるを得なかったのも うなずける。それなりに、人間の苦渋、哀切に共感できないわけではない。

イギリス人は こういったちょっと苦みのあるユーモアが好きなんじゃないだろうか。15歳以下 鑑賞禁止は、この映画が残酷だったからではないと思う。彼の生き方もまた、人生。これも、ちょっとしたユーモアとして、映画を捉えるだけの 達観した視野が、15歳以下の子供には 期待できないからだろう。