ページ

2006年12月3日日曜日

バレエ 「REVOLUTION」



オーストラリアバレエを観に、オペラハウスに行ってきた。 演奏は、オーストラリア オペラ バレエ シンフォニー。題は、「レボルーション」、3部に分かれて、それぞれにインターミッションが入る。

第一部は、「LES SYLPHIDES」妖精の踊り。 クラシックのなかの一番のクラシック。本当のバレエの真髄というべきか。18人の妖精と、王子様。ただただ 夢のように美しい。 18人の妖精が18人とも それぞれの指先からつま先 あごの線まで、訓練された体の動き、ゆき届いた神経、一つとして、無駄の無い洗練された踊り。フレデリック ショパンの曲に乗って トウシューズのトットットッ という乾いた音が聞こえる。文字どうり妖精、人と思えない。トウで立ち、トウで、飛ぶ、張り出した弓なりになった足の甲をささえる足指の痛み。変形した爪、血のにじむ爪のきわ、、、バレエは人が人をこえようとする痛みのうつくしさ。何百年も バレリーナは こうして人を超えようとしてきたのだ。

第2部は、「LE SPECTRE DE LA ROSE」 初めての舞踏会から帰ってきた少女が 持ち帰ったバラの花が、少女が眠っている間に、バラの精になって、踊りだす。素晴らしい跳躍力の男性のダンサーと、可愛い少女のデュオ。

第3部は、「シェーラザード」 アラビアンナイトのお話。19世紀のロシアの作曲家、ニコライ、コルサコフの交響曲シェーラザードの曲にあわせて、踊る。 王様 シャイヤーが狩りに行っている間に 妻のゾルベイデイは、ハーレムの 黄金に輝く、男奴隷の美しさに負けて、愛欲にはしる。他の奴隷達も はめをはずして、愛欲に呆けている。と、王様が突然、帰ってきて、怒り狂い、一人残らず奴隷を切って殺してすてる。それを見た妻は短刀で、自害するというストーリー。衣装も 舞台も美しい。アクロバテイックな 素足の踊り。 でも私はクラシックバレエで、トウを使わない踊りは好きではない。

アラビアンナイト 千夜一夜物語を知っているだろうか? 船乗りシンドバットの冒険や、アリババと46人の盗賊 などのお話はみんな お姫様のシェーラザードから王様に語りきかされたお話だ。 浮気な妻に裏切られ、人を信じられなくなった王様は毎晩、床を共にした妻を 朝になったら切り殺し、次の妻を迎える。 賢いシェーラザードは これ以上若い女性の命を無駄にできないと考えて、自分から妻を志願して、王様と床を共にして、ゾクゾクするような おもしろいお話を 毎晩話して聞かせた。そのお話が余りにおもしろいので、王様はシェ-ラザードに夢中になって、殺すのを忘れ、ついに人を殺してきた自分が悪かったと悟り、シェーラザードを正式の妻として新たにむかえて、自分は立派な王様になる。めでたしめでたし。  これがアラビアンナイトのシェラーザードのお話だ。

このモチーフに素晴らしい曲をつけたコルサコフは、 バイオリンの美しいメロデイーは、シェラザードが 王様にお話を 語り聞かせているところ。 その音をかぶせるようにトランペット、バスーンが わめくところは、王様がわがままを言っているところ。という風に曲の中で、二人に会話をさせている。 そういうことを知って、このバレー音楽を聴くとクラシックも、一段と楽しく味わうことができる。クラシックミュージックと、バレエの組み合わせはいつも 私を魅了させる。