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2025年12月15日月曜日

ボンダイ乱射事件

いまシドニーのボンダイビーチは、数千の花束で埋まった。
昨日の12月14日、日曜日の夕方、ビーチの公園では、ハヌカ(HANUKKA)というユダヤ教のお祭りを祝うイベントが行われていた。そこで、2人のライフル銃を持った男が、銃を乱射して犯人を含む、15人が死亡、40人が負傷した。犯人1人を含む数人が生死の間をさまよっている。死亡した15人の中には、ラビとその親戚の10歳の子供も居て、87歳のホロコーストの生き残りもいた。

犯人の2人は親子で、父親は30年前に移民してきて、息子はオーストラリア生まれ、2人とも前科はなく、イスラム過激派といった様子もなく豪州スパイエイジェンシーのテロリスト要人物でもなかった。父親は銃撃戦でポリスに殺されたが、銃のライセンスを持ち、法に沿った方法で銃を手に入れていた。犯行声命はなく、現在負傷して意識のない息子の回復を待って、取り調べが行われる。

この事件は明確にユダヤ人を攻撃したもので政府も、警察も、マスコミも「アンチセミチズム」反ユダヤ主義による犯行とみている。
イスラエルのネタニヤフ首相は、いち早く、豪州はパレスチナを独立した国家として認める、といった軟弱な政府でユダヤ人をまっとうに守っていないから、こうした事件が起きた。豪州政府は、WEAK 弱虫で弱虫で弱虫だ、と非難した。嬉しそうにWEAKと連発するネタ二ヤフは、他国政府を平気で侮辱する下品な奴で、本当にうんざりする。
EUの国々のトップや米国政府でさえ、亡くなった無垢の市民とその家族への慰めを表明しているのに。

豪州政府とニューサウスウェルス州知事は、これを機会に銃規制を厳しくすることを約束した。すでに豪州では一度の自動射撃で沢山殺せるオートマチックガンの所有は禁止されている。今後銃所有者や新たに購入する人には厳しい条件が設けられるだろう。

こうした事が起きたときに、特異に感じられることは、豪州ではまず事件をニュースで知った一般の人々が、花束やメッセージを書いたカードを持って現場に集まってくることだ。悲しみを共有するために、直接関係のない人々が行動に出る。20年近く前に、シドニー中心街で、カフェに銃を持った男が立てこもって犠牲者が出た。現場近くに居たのだが、そのニュースが流れたとたんに、たくさんのオフィスから 人々が花束を抱えて、そのカフェの前が花束の山になった。また献血所もすぐに人々が並ぶ。採血室がいっぱいになって人々が2時間も3時間も並ぶ。犠牲者への献金もたちまち集まる。今回亡くなった10歳の子供のために24時間足らずで1,800万円も集まったが、そのスピードに驚かされる。クリスチャンバックグランドの国ならでは、だ。

ユダヤ人攻撃が起きて、一番心配されることは「報復」で、モスリム、アラブの人々が攻撃されることだ。
アルバニー二首相は、銃を乱射していた犯人に飛びついて、自分は、2発も銃を撃たれたのに怯まず、犯人から銃を奪った人が、43歳のシリア人移民だったことを、インタビューで強調した。モスリム犯人の暴発をモスリムが防いだ。おかげで犠牲者が少なくて済んだのだ。それを強調することで「モスリムがユダヤ人を攻撃した」といった単純な理解を、人々がしないように気を付けている。
ユダヤ人が攻撃されたことで、報復攻撃が起こらないように、いま報復警備に500人の特別警備隊が出動している。

また「ウィットネスサポートセンター」が、ボンダイに設置された。事件を目撃したり聞いた人が、心理的にトラウマに陥らずに済むように、心のサポートをする場が設けられた。人は人が死ぬところを見たり、血を見ただけで心に傷を負うことがある。早いうちに対策が設けられたこと、これは高く評価したい。

圧倒的な国家権力や、戒厳令的な完全武装した軍や、統制、訓練された国家殺人部隊など、こういった強力な敵にはゲリラ戦、レジスタンスで対応するしかない。さらに残忍でスパイ組織を持った権力に抗するためには北一輝のような1人1殺のテロ抵抗するしかない場合もある。だからテロが起きたとき、PTAのおばさんみたいに「暴力はいけない、テロは間違っている他の方法があるはず。」などとは私は思わない。テロでしか対応できないこともある。ただ、今回の出来事は、イスラエルのユダヤ主義のためにパレスチナの人々が苦しんでいる事実に密接に関わっている。
マスメデイアや、政府当局がどう動くか、人々がどう反応するか、冷静に見ていきたい。



2025年12月13日土曜日

最低賃金法

円安が止まらない。
ニュースを聞いてドル100円が103円になり、さらに下降しているスピードが怖いほどだ。
厚生労働省の中央最低賃金審議会が、2025年の最低賃金を、全国加重平均で60%引き上げ、時給1118円とする目安を決めた。昨年の目安を50円上回り、過去最高の上げ幅を記録した、という。現在の最低賃金は全国平均で、時給1055円だが、政府は2020年代に1500円に上げる目標を掲げている。
米国で時給1500ドルを要求して、労働者が大規模デモを繰り広げたのは去年で記憶に新しい。

日本の最低賃金が問題なのは、それが政府や雇用者の「めやす」であって、義務ではないことだ。
全国共通の最低賃金法という守るべき法があって、最低賃金を守らない雇用主を、厳しく取り締まり罰則を設けなかったら、意味がない。日本のGDPが増え続けているが、格差の大きさを示すジニ係数は上昇している。ということは、全体の収入は増えているが、リッチな層の収入が増えているだけで、プアな層の収入は変わらない。パート、非正規労働者は物価高のなか、益々プアになっている。

だから最低賃金を引き上げるだけでは意味がない。リッチから取るべきものを取る「税制」を本気で変えないといけない。
正規労働者と、女性では43%が従事する非正規労働者の待遇改善、格差是正、地方と都市の賃金格差の調整、最低賃金を外国人労働者にも適用するべき、など、政府がすべきことはたくさんある。
豪州では現在、最低賃金が、時給24.95ドル(2495円)、これが義務化されている。

雇用主は、雇った人がパートであろうと、非正規労働者であろうと、留学中の学生であろうと、ワーキングホリデイの若者であろうと、フルーツピッキングなどの季節労働者であろうと、正規労働者同様、最低賃金は保証される。それを守らずピンハネする雇用主は、通報され適正賃金を払うまで、怖い怖い税務署から、重い重い重い罰金で、罰せられる。
また、雇用主は労働者に払った賃金の9-12%の金額を、それぞれの労働者の指定する年金会社に納めなければならない。稼いで、さっさと豪州から自分の国に帰っていく季節労働者や、ワーキングホリデイの若者は、その年金をもって帰国する。

また正規労働者には年に1週間の有給病気休暇があって、診断書によっては長期療養が必要な場合は病欠を伸ばすこともできる。有給休暇は、職種によって異なるが、医療従事者の私の場合は、年に6週間有給休暇が取れて、それを翌年、翌翌年に繰り越すこともできる。
さらに、10年以上同じ職場で働いてきた人には、3か月間の長期有給休暇が、ご褒美にあって、その休暇を取らずに給与に換算して受け取る人も居る。私の場合は年休も長期休暇も一挙に取らず、ちびちびと使って家族と共に過ごす時間を大切にしている。

日豪労働者事情の一番の違いは、非正規労働者への扱いかもしれない。
病欠や有給休暇のある正規労働者よりも、それがない非正規労働者の方が、時給が25%高い。非正規労働者は、時給3119ドル(3119円)で働いている。有給や病欠がない分、当然の資格だ。

日本では、人手不足を言われて久しいが、日本の公立病院の人員募集で「40歳以下の有資格者」とされているのを見て、カッと頭に血が上った。わたしは今75歳で現役フルタイムで働く医療従事者。私が女性で、日本人で、若くなく、英語もジャパグリッシュなまりだが、豪州では差別禁止法がしっかりしているので、誰一人「仕事を止めろ、とか、頼むから引退してくれ。」とか言う人は、絶対居ない。好きでやっていることだから 放っといてもらいたい。で、放っといてもらっている。

日本に必要なのは、人を人種、職業、性別、性的嗜好、出身国、言語、宗教などで差別してはいけない、という「包括的差別禁止法」、それと「最低賃金法」ではないか。
日本の深刻な人手不足に対応し、インフレ物価高に対処するには、労働者をきちんと保護すること以外に方法はない。
「埴生の宿」を歌ってみた。


2025年12月10日水曜日

世界の核弾頭

世界中ですでに配備されていて、いつでも発射できる状態の、現役核弾頭は、計9615発あると推定される。これは2025年6月に長崎大学核兵器廃絶研究センターが発表したデータだ。
ちなみに、他のデータから、地球上のすべての命ある生き物を皆殺しにして絶滅させるのに必要な核弾頭は、6発あれば十分なのだそうだ。
9615発 対 6発
現役核弾頭保有数は
ロシア:4310発
米国 :3700発
中国  :600発
仏国  :290発
英国  :225発
パキスタン:170発
イスラエル:90発
北朝鮮 :50発
国民の直接選挙で選ばれた米国大統領には、他国にない大きな権限が与えられていて、この核ボタンを自分の判断で、いつでもどこでも押すことができる。大統領が外遊などで、ホワイトハウスの司令塔に居ない時でも、ボタンが押せるように、ニックネイム:ニュークリアフットボールという核ボタンの入った黒カバンを大統領従者が持っていて、大統領からは一時も離れないで居ることが義務化されている。
かつて現職大統領で初めて、広島の原爆記念碑を訪ねたオバマ大統領にも、この黒カバンが催行されていた。
大統領就任式で、この黒カバンは大統領から次の大統領へと直接手渡しされる。

ところで、大きな権限を持つドナルドトランプも79歳。会議中眠ってしまうなど、彼の脳の老化を危惧する声が出ている。
かれは、今年10月29日、自身のツイッターで、中国の習近平国家主席との会談後、「米国はどの国よりも多くの核兵器を保有している。私の大統領第1期目に、既存兵器の完全な更新と改修をした。ロシアは米国に次いで世界第2位、中国はそれに大きく離れて、やがて5年以内に第3位になるだろう。他国が実験計画をしているので、米国も同等の実験をするように戦争省に指示した。」と書き込んだ。
びっくりしたのは米国市民よりもペンタゴンだろう。米国の核兵器を管理しているのはエネルギー省であって、戦争省ではない。世界最大の核弾頭保有国は、米国でなくロシアだ。いま、核兵器を実験している国は皆無だ。ロシアはソビエト連邦時代末期以来、35年間核実験などしていない。

だいじょうぶか ドナルドのおつむ!

今すぐ発射できる核弾頭を3700発もっていて、世界のどこにいても、いつでも発射ボタンを押せる黒カバンを持ち歩いている世界最強の男、だれもが憎んでいる、にもかかわらず無視することができない。モニカルビンスキーのスキャンダルごときで、大統領罷免運動が議会に上ったかつての米国議会、今どうしてドナルドを引きずりおろせないのか。日本も同様。どうして彼女を、、、。
写真はニュークリアフットボールとバイデン



2025年11月27日木曜日

岩波書店の「世界」と大叔父大内兵衛

岩波書店が発刊している月刊誌「世界」が創刊から1000号に達した。

昭和21年1月の創刊号には、阿倍能成、美濃部達吉、和辻哲郎、東畑精一、横田喜三郎など、そうそうたる知識人が論評を寄せている。
私の大叔父、大内兵衛もこの雑誌の立ち上げから岩波茂雄に協力していて、「直面するインフレーション」を書いている。彼は、この創刊号から1980年に、92歳で亡くなるまでに100本近い原稿を「世界」に寄稿した。

大内兵衛が、治安維持法で逮捕されたのが1938年のことだ。続いて、美濃部亮吉、脇村義太郎、有沢広巳、大森義太郎、高橋正雄、阿部勇らも逮捕拘留されて、1年半の拘禁の後、出所した。
兵衛は若いころ帝大を出て卒業と同時に大蔵省に入り、そこからニューヨークに派遣され、その後東大に請われて東大で教授職を得てからは、給費でドイツのハイデルベルグに滞在し、マルクスの資本論などを翻訳した。
兵衛と一緒に、治安維持法で検挙された学者たちが全員そろって、連座を認めなかったため、検察は「共同謀議罪」を立件できなかった。のちに全員無罪を言い渡されるが、これらの学者たちは、7年余り発言や文章を発表できなかった。

兵衛は淡路島の洲本出身で、大内家の次男だった。私の父の父は、その長男で、いまのソウルで満鉄に勤めていたので、父はその官舎で生まれたが、父親が早世したため淡路島に引っ越してきて、兵衛に育てられた。兵衛は私には唯一のおじいちゃんだった。父は兵衛のことを「叔父さん」でもない「おやじさん」でもない、「おやっさん」と呼んでいたが、その微妙な語感が、父の心を表している。年下で兵衛の一人息子の大内力への遠慮があったろう。父は小説家を目指していたロマンチストの自由人、力さんはまじめな努力家で学者になるべくして学者になった人だ。父は甘えたい子供時代に親を亡くして、実子には嫉妬も悲哀もあっただろう。兵衛が死の床にあって、通夜まで父は付き添っていたが、力さんは家族やお弟子さんたちに食事をふるまったが、父だけにはそれがなく、父は飲まず食わずで式のあと帰宅して「そういう事をやる奴だったんだ。あいつは本当に子供の時から嫌な奴だった。」と、、、これは今まで言ったことがなかった秘話。
わたしには兵衛は、いつもひょうひょうとしていて早歩きの小柄な人、という印象が強く、亡くなるまで年齢を感じさせない人だった。

雑誌「世界」を飛びつくように熱心に読んだのは、1973年5月から始まった「韓国からの通信」だ。朴大統領の戒厳令下にあった地下の民主化運動を伝える通信だった。活動家がどんどん引っ張られて処刑されている恐怖の戒厳令下の状況報告を「TK生」が毎月送ってきていた。権力に見つかれば極刑、とわかっていて怯まずに権力者を糾弾する「TK生}らの民主化の声は力強く、毎月祈るような気持ちで涙なしには読めなかった。
日本を離れてフィリピンに10年近く住み、オーストラリアに来て30年が経つ。日本の本はなかなか手に入らなかった。それを20年ちかくFB友の山田修さんが、シドニーで紀国屋が出来て本の取次ができるようになるまで、毎月送ってくれていた。親でも、恋人でもやってくれないことを、ずっとしてくれていた山田さんには、うちの家族ともども心から感謝し通しで、南伊豆のあたりに足を向けて眠れない。感謝感謝。

創刊のころから沢山の縁があった「世界」がずっと続いて発刊されていて、読むべき本があるということが、嬉しい。
外地に居ても、日本に居ても、憂うべき世界情勢は同じだ。情報が大切。1946年、憲法草案起草プロジェクトで兵衛が、言論、出版の自由を明確に保護することを、繰り返し求めたことを忘れないでいたい。



2025年11月25日火曜日

G20 とトランプのわがまま

サミットが今週から始まっていてヨハネスブルグに各国のトップが集まって、直接顔を合わせて世界情勢た経済、気候問題について話し合っている。ところがトランプ米国大統領はこれをボイコットした。理由は、南アフリカは白人を人種差別しているからだ、という。

はてな。  南アフリカはかつて、人口の10%に満たない白人によってアパルトヘイト(人種隔離政策)をもった警察国家だった。黒人解放闘争を戦ったネルソンマンデラは、実に27年間獄中に閉じ込められていた。最大多数の黒人は、白人農業主に奴隷のように働かされていた。20世紀にこのような人種差別的奴隷制度があってはならないという国際社会の非難が高まり、ネルソンマンデラが釈放されたのは1990年のことだ。選挙が行われ彼が大統領になり、白人農業主は土地を長年働いて奴隷状態だった人々に譲り渡さなければならなかった。

トランプは、こうした南アフリカの現代史を認めたくないらしい。彼が大統領になって、南アフリカのシリレ ラマポーザ大統領が表敬訪問したとき、トランプは「なかなか英語がお上手だ。」と彼流お世辞を言った。しかしこれは前代未聞の侮辱発言だ。南アフリカは子供の教科書から英語で学んでいる。トランプは日本の女性首相が通訳を横にして日本語でしゃべったら、「なかなか日本語がお上手で。」とほめてくれたようなものだ。彼女なら飛び上がって嬉しがるかもしれぬが、両者とも、とても恥ずかしい。

トランプは、絶対にハマスが承認できないような「ガザピースプラン」を、EUの合意をとって強引に進行させようとしている。ハマスがこの70年、戦ってきたのはパレスチナ民族によるパレスチナの土地奪還、イスラエル軍事国家からの解放であった。パレスチナはパレスチナ人のものだ。にも関わらず米英を中心とする国際組織がハマスの武器放棄を強制しようとしている。

またロシアでは、28か条の「トランプピースデール」を米国のマイケル ルビオがウクライナに取り付いてゼレンスキーに認めさせようとしている。ウクライナは、1)NATOメンバーにならない、2)停戦のための外国軍進駐にNATO軍は加入させない、3)部分的にロシアに占領地を譲渡する、といった条件だ。ゼレンスキーは、武器産業と癒着して私腹を肥やしすぎた。それをいま暴露され、追い詰められていて、米国の条件をのまざるを得なくなっている。

イスラエルにさんざん武器を送り続け、ウクライナに武器支援をしてきて、いまになって「トランプピースプラン」を両国に突き付けている。なんのことはないトランプは米国の武器関連企業、死の商人を喜ばせ、自分も儲けただけだ。
そして今、またベネズエラに本格的な戦闘を仕掛けている。

いま南アフリカでのG20を、ボイコットしているように、トランプは根っからのレイシストで、札束で世界をおちょくっている。
それが困ったことなのは、トランプのわがままがこんなに許されるのなら、自分もやっっちゃっていいんだ、と思い込んで馬鹿をやる太平洋の反対側の小さな国の首相が出てきたことだ。
世界の良識は、どこにいったのだろうか。



2025年11月13日木曜日

世界の石油埋蔵量

世界の石油埋蔵量を、その国の順位から見てみると、米国がどれほど世界の産油国を蹂躙してきたかがわかる。
石油埋蔵量第1位
ベネズエラ
今年の9月からトランプ大統領はカリブ海に原子力潜水艦、巡航ミサイル搭載の軍艦、ジェット機満載の空港母艦を配置して、たくさんのベネズエラの船を撃沈させてきた。中南米麻薬カルテルを取り締まるためだと言うが、公海で他国の船を拿捕することも、乗務員を取り調べることもなく問答無用に船を沈没させて乗務員を殺している。国際法にも国連憲章にも米国憲法にも違反している。
ベネズエラはコカインの生産国でなく、麻薬の流通国でもない。南米産コカインはコロンビアとエクアドルで栽培され、太平洋沿岸から米国に向かう。にも関らず民間船を撃沈させたうえ、ベネズエラの人々が民主的選挙で選んだニコラス マドロ大統領の首に5千万ドル(75億円)の懸賞金をかけた。
マドロ大統領は、前大統領チャベスの後を継いで、ベネズエラの石油を国有化した。世界一の埋蔵量を誇るベネズエラの国有財産だ。
それが欲しくて米国は長いことCIAを使って政権転覆をはかってきた。その手先がノーベル平和賞を授与されたマリアマチャドだ。彼女は、2002年、CIAの豊富な資金を得てクーデターを試みて失敗したが、米国やイスラエルにベネズエラに軍事介入するように要請している。米軍のベネズエラ介入を許してはならない。

石油埋蔵量第2位
サウジアラビア
この国は完全に米国に取り込まれている。自国の原油をドル建て決済で供給する代わりに、米国に安全を保障してもらう約束のために、国内にはたくさんの米軍基地を擁している。米国の思惑通り、サウジ連合軍はイエメンを攻撃しイランと対立している。

石油埋蔵第3位
カナダ
トランプは、大統領就任当時カナダは米国の一部だと言っていた。カナダのマーク カーネイ首相が米国に迎合しないとわかると、彼は米加間の関税を50%かけることにした。

石油埋蔵量第4位
イラン
1979年ホメイニ師によるイスラム革命後、イランは西側諸国に経済封鎖され石油、天然ガス、石油化学製品の輸出を止められ、核施設ではウラン濃縮を制限させられてきた。常に経済活動を監視され、核施設を検査されているうえ、経済封鎖によりイラン中央銀行の資産、3520億ドルの国家資産が凍結されている。
2025年6月には、イスラエル軍が事前にイランに密入国しドローンをセットして、遠隔操作でイランの対空防御施設を破壊して、大規模な空爆を開始、イラン軍指導者を暗殺し、核施設を破壊した。
これに続いて米軍はイランの3か所の原子力発電所を地中深くまで破壊するバンカーバスター貫通砲で攻撃。18時間で215トンの爆弾が投下され、1000人余りの市民が命を落とした。イスラエルと米国の軍事介入は許されない。

石油埋蔵量第5位
イラク
イラクに大量化学兵器があると報じさせ、イラクに侵攻した米英連合軍は、100万人のイラク人を殺した。実に人口の5%だ。サダムフセイン大統領を、その地位から引きずり下ろし反裸にして首に縄をかけ西側全メデイアの前で凌辱したあと絞首刑にした。独裁者サダムフセインを打倒した、と彼の銅像を引き倒した民衆は、いま、米軍基地に囲まれて植民地同様のみじめな姿をさらしている。サダムフセイン打倒は、米国主導によるオイルを強奪する目的で仕組まれたものだった。世界はまだ、この件について十分検証し反省していないのではないだろうか。

石油埋蔵量、第6位から10位は、クエート、UAE、ロシア、リビア、ナイジェリアと続くが、それぞれすべて米国が介入している。

環境保全という世界の潮流を逆行するトランプは、「掘って掘って掘りまくれ」と言っているが、その暴力的で地球破壊的な言動は許させるべきではない。

またガザの沖合には莫大な資源330億立法メートルの天然ガスが手つかずで眠っていることも忘れてはならない。



2025年11月11日火曜日

ホワイトオーストラリアン

去る11月8日土曜の朝、シドニーのニューサウスウェルス州(NSW州)議会前で、約60人の黒服ネオナチグループが集会を持った。よりにもよって彼らは「ABOLISH JEWISH LOBBY」(ユダヤ人圧力団体をつぶせ)というでっかいバンダナを前面にして20分間、示威的集会をした。ポリスに警備されながら、彼らは20分後に解散し人ごみに紛れて消えていった。シドニーの議会のあるマッコリー通りは議会以外には古い旧官庁のビルがあるだけで店もカフェもないから、土曜の朝に通行する人も居ないが、彼らはマスコミ受けを狙って行動した。

それを知って、労働党でNSW州知事クリス ミンは激高の記者会見をして「こんな人種差別者が公の場で集会することが許されるなんて、何という恥、実に恥ずかしい。州民を侮辱している。二度とこんなことが許されることがないようにNSW州の法規制を厳しくする。」と息巻いた。

豪州にはたくさんの差別禁止法がある。しかし現在の豪州連邦法でも、NSW州法でも、事前に申請されたデモや集会は、人々の安全を脅かさない限り禁止も、規制もできない。この団体は、デモをしたわけではないから、交通妨害を理由に規制できない。禁止されているナチのカギ十字を身に着けていないから逮捕できない。ヒットラー式敬礼をしていないから、人種差別法で検挙できない。民族憎悪を発言していないから反差別法で取り締まれない。
この団体名は「THE NATIONAL SOCIALIST NETWORK」(豪州社会主義ネットワーク)と名乗っている。ソーシャリストとは、もともと労働者階級の生活を社会保険制度によって、すべての国民の生存権を保障する制度のために働く人々のことを言うのだけれど、、、。

彼ら黒服黒マスクの団体は、「WHITE AUSTRALIAN」(白人だけの豪州)をモットーとしている人種差別、レイシズム団体で、白豪主義、ヒットラー礼賛、ユダヤ人虐殺説否定、白人優性主義、反ユダヤ、反モスリム、反パレスチナ、反アボリジニ、反先住民族、反LGBTQ、反移民、反難民、を標榜している。

しかし豪州の国民の4分の1は外国生まれ、そうした「移民」だけでなく戦後だけでも100万人の「難民」を受け入れ永住権を出してきた、移民と難民で形作られた国が豪州で、じっさい純粋な「ホワイトオーストラリアン」など居ない。必ずどこかで血はミックスされている。
日本も同じ。氷河期が終わって日本は中国大陸から切り離された。純粋な大和民族などという生き物は居ない。だから日本人ファーストとか、先住民差別や移民や難民差別をすることは、とても恥ずかしいことだ。

この黒服グループは、メルボルンを拠点に徐々にシドニーや、地方に影響力を浸透させてきた。論理が単純なほど多くの人を引き付ける。歴史に無知なほど、今の社会に不満な若者の心をとらえる。
だから、いつまでも放置して笑っていてはいけない。ミュンヘン一揆のヒットラー、そして今回の日本の選挙結果という前例がある。差別社会は誤りなのだ、ということを大人はあきらめずに、自分の周りの若者たちに語り掛けていかなければいけない。



2025年11月4日火曜日

中国のレアアース

10月26日から、韓国で開催されたAPECアジアサミットで、トランプ米国大統領は、カナダ、インドネシア、南アフリカ、豪州、フィリピン、東チモールなど24国のトップリーダーと顔を合わせて経済、通商問題の話し合いを持った。

注目されたのは、30日のトランプとシージーピン中国主席代表との会談だった。世界経済のナンバー1とナンバー2との6000憶ドルの交渉だ。トランプは、会談前には11月1日からすべての中国からの輸入品に100%の関税をかけると息巻いていた。
結果は100%の関税は1年先送りして、中国からのレアアース(希土類)は、これまで通り米国に輸出されることで合意が得られた。かねてからトランプは、「中国はレアアースで世界を人質に取っている」と中国を非難してきた。

文字通り、この20年間、中国は世界のレアアースの生産における圧倒的優位に立っており、中国からのレアアースがなければ、電気自動車のバッテリーも、スマートフォンも、戦闘機のレーダーも、風力タービンも、人工知能AIも、再生可能エネルギーシステムの半導体も、動かなくなる。戦闘機も生産できない。例えば、F-35戦闘機は1機に数千ドルのレアアースが使われているそうだ。
希少なのは、使用するに当たっての濃度の分離工程がきわめて複雑なためだ。中国は、レアアースの豊富な自国で採掘し、秀でた精製技術で世界全体の需要の90%を精製加工している。
また中国は、原材料のレアアースの生産だけでなく、電気自動車、風力発電、エレクトロ二クス、などの最先端技術でも優位に立っている。

トランプは、アメリカファーストと言いながら、イスラエルとウクライナに、米国製の武器を湯水のように注いできたが、米国の防衛産業、一つを取ってみても、中国からのレアアースがなければ、製造できない、実のところ、米国の武器防衛産業は、中国に依存している。
中国を脅し、卑しめ、見下し、宥め、懐柔し武器の原料を売ってもらって、作った武器で台湾をダシにして中国に戦争を仕掛ける、、、という漫画のようなことが今、世界では進行している。
最後に笑うのは誰だろう。

「死んだ男の残したものは」作詞:谷川俊太郎 作曲:武満徹



2025年10月30日木曜日

トランプ天皇を訪問

根っからの商売人、金儲けのことしか頭にないトランプ大統領が、頼まれてもいないのに日本に弾丸入国したが、着いて早々会ったのは、政治家でも企業家でもなく、天皇だった。

どうしてかな、と考えた。
これから大規模な世界制覇の大望をもって、戦争を始める予定のトランプにとって、どうしても腑に落ちないのは、日本人の天皇を崇拝する独特の国民性だったのではないか。人としての天皇に会って彼なりに理解しておきたかったのだと思う。彼にとっては、ワビだのサビだの武士道だの名誉の切腹だの恩だの義理だのと、理解できないことばかりだ。

太平洋戦争で天皇は「現人神}だった。国力に大差があり、勝てるはずのない戦争のために、日本人は戦争することを選び、300万人の命を「現人神」に差し出した。米国や豪州国の太平洋戦争に従軍した兵士たちの回顧録を読むと、食料もなく、武器もなく、連合軍に囲まれて投降するしかない状況で、日本兵が「天皇万歳」と叫びながら、待ち構えている戦車や機関銃を構えている戦陣に向かってくる姿が何よりも怖かった、とある。餓死寸前の真っ青な顔で、もはや武器もなく、それでも殺されるために走ってくる。天皇の名をもって他国を侵略し、天皇の栄誉のために捕虜になることを拒否して、武器もなく「天皇万歳」といって敵陣に向かってくる人の形相は、真に悪夢に出てくるほど恐ろしかったろう。

そうやって日本人は、侵略によって中国人と軍民合わせて1100万人、インドネシアなどアジアの国々で800万人、合わせて1900万人を殺した。そして対するアメリカ連合軍は日本軍人230万人、民間人80万人を殺した。
このようなことが繰り返されてはならない、にもかかわらず、日本の現政権は、すでに米国の連合国となり、軍備費を増強させる。

トランプは「天皇万歳」を叫んで敵陣に裸で向かっていった日本人の「魔訶不思議」を、実際天皇に会って、どう理解しただろうか。
キング万歳と叫んで敵陣に突っ込むようなチョロい国民だと感じただろうか。
横須賀米軍基地から次の日に飛んだ、韓国では全く異なった感触を得たのではないだろうか。
古い韓国の民謡、反戦歌「アリラン」



2025年10月26日日曜日

トランピャニフ

トランピャ二フというそうだ。
いま米国大統領とイスラエル首相によって世界情勢が書き換えられていっている。トランピャニフは、217億ドルの予算を使い、わずか365平方㎞のガザの土地に、7000トンの爆弾を落とし完全破壊した。第二次世界大戦で使われた爆弾総数よりも多くの爆弾で、6万7000人のパレスチナの人々の命を奪い、1万人と予想される人々を瓦礫の下に埋めた。

9月30日のトランピャニフ、ピースプランによって、南部から帰ってきた人々は、自分の家が瓦礫となって、いまだその下に埋まる子供たちや妻や夫や親たちを掘り出すことができない。
トランピャニフは、ガザ状況が世界に伝わらないように報道管制を強いたが、ガザに残ったジャーナリストたちによって伝えられた真実のためにイスラエル軍のターゲットとなって270人ものジャーナリストが殺された。停戦発効後のいまも殺され続けている。

ハマスは停戦合意の人質を全員解放したにもかかわらず、国連主導の支援物質トラックはいまだ封鎖が解けず、待機させられている。飢餓に陥る人々は空腹から解放されていない。
南部に強制移動させられていた人々が、ガザ市に戻るために安全を保障された通路に、黄色い線が示されているわけではない。通路からはみ出して走っていた、とされて11人の子供を満載した車が爆破されて全員が死亡した。標識があるわけではない道路から外れたと、誰がどう判断できるのか。
いまだハマスに連れ去られた人質の13の遺体を返せ、とトランピャニフは言う。イスラエル軍によって破壊されつくした瓦礫から、それを掘り返すために、エジプトから重機が到着するそうだ。1万人近くのパレスチナ人の遺体とともに、数台の重機で簡単に回収できるとは思えない。
イスラエルから返却されたパレスチナ政治犯たち、約120の遺体の多くは虐待された跡があり、腐食が激しく、DNA検査の器具もないため遺体確認もできないまま埋葬されている。

トランピャニフは、この2年のうちに、ガザの80%、ヨルダン河西岸、レバノン領の一部、ゴラン高原、ヨルダンの一部をイスラエル国家として手に入れた。トランピャニフは、もうすぐ米英主導の国際平和軍が編成されてガザに向かいます、と得意げに言う。

ガザ沖合に眠る莫大な資源、330憶立法メートルの天然ガスが、もうじきトランピャニフのものにされるだろう。初めから、これが目的だったのだ。

米軍は4500人の水兵、ミサイル駆逐艦、原子力潜水艦、巡洋艦、ごっそりそろえてカリブ海では、ベネズエラの11の船が、撃沈された。殺された船の乗務員は50人に上る。
米国にとってはベネズエラの国有財産である莫大なオイルが目的だ。それを奪うために、国際法も人道法もなく有無も言わさずに暴力で奪おうとしている。

そのトランピャニフに声援を送る、日本の腐敗した新政権。

不法、不正のまかり通る弱肉強食の醜い世界の前で、正気を保て!!



2025年10月12日日曜日

2025ノーベルピースアワード

10月11日ノーベル平和賞が授与されるのを、口を開けて待っていたトランプ米国大統領を素通りして、賞はベネズエラのマリアコリーナ マチャドに授与される、と発表された。

ベネズエラで民主的選挙によって選ばれた、現ニコラス マドロ大統領政権を完全に無視、侮辱するかのように、反政府運動家に賞金と賞状を授与するとは、ノーベル賞も地に落ちたものだ。あまりにも公正に欠けている。フェアではない。選挙では、故チャベス大統領の後継者として、チャベス派のマドロ大統領は、疑いもなく圧勝したはずだ。

賞を受けたマチャドは、米国から多大な資金援助を受けて反政府運動をしてきたが、それは米国が、反米チャベス派のマドロ大統領政権をつぶし、ベネズエラのオイルを奪取するのが目的だからだ。いまベネズエラのオイルは、国有財産になっていて、中国に輸出されている。米国国務長官のマルコ ルビオは、エクソンモービル社と深い関係にあるが、ベネズエラの国有財産であるオイルを、モービル社と契約させることでオイルの利権を乗っ取ろうとしている。マチャドは、そのためのコマに過ぎない。

マチャドはCIAの資金を使って、チャベス大統領罷免運動を起こし、有権者権利団体を設立して、チャベス追放クーデターに関与した。彼女はソーシャルネットワークXで、アルゼンチンやイスラエルに、ベネズエラに軍事介入すべきだ、唆していた。ノーベル委員会は、トランプに平和賞を授与すると世界中でブーイングが巻き起こるので、それを避けるためにトランプの小型繰り人形に授与することにしたのか。

トランプは、麻薬カルテルを取り締まる、と言い、カリブ海に軍艦を出して、ベネズエラの船を撃沈させている。9月2日に11人の乗組員ごと船を撃沈させ、9月15日には別の船を爆撃し3人の乗務員を殺し、9月19日には3人、20日に,続行けて、船を撃沈し4人の乗務員を殺した。合計21人の乗務員は、単に漁船に乗った漁師だったかもしれないし、善良な人々が日用品を運んでいたのかもしれない。今となっては何もわからない。仮に麻薬を運んでいたにせよ船を拿捕して乗員を取り調べ、証拠を上げて裁判にかける常識を省略して、何の予告もなく国際水域で一方的に船を沈めて殺すなど、人のすることと思えない。国連だけでなく米国内からも非難の声が上がって当然だ。公海で国際法にも国連憲章にも、米国の憲法にさえ違反している。

ベネズエラはコカインの生産国ではない。また麻薬取引国でもない。南米産コカインは、コロンビアやエクアドルで生産され、太平洋沿岸から米国に到着している。カリブ海からではない。トランプがカリブ海に軍艦を出してベネズエラの船を沈めているのは、麻薬撲滅が目的ではなく世界にベネズエラが麻薬まみれの腐敗した国だというイメージを作り、マドロ政権をつぶし、国家財産のオイルを盗み取ることが目的だ。マチャドは、そのための米国の操り人形に過ぎない。

トランプは、現ベネズエラ大統領マドロの首に5000万ドルの懸賞金をかけた。他国の大統領が、ベネズエラの人々が選び圧倒的な人気で大統領になったマドロに懸賞金をかける、などという無法社会は、私たちの歴史のどこにも見当たらない。こんな恥に満ちた不正、不公正で、頭のトチ狂った独裁者に、勝手なことをさせ続けてはいけない。世界は、正気に戻らなければ。
米国のベネズエラに対する軍事介入を許してはならない。マチャドのノーベル平和賞受賞は、悪い冗談よりも犯罪的だ。



2025年10月7日火曜日

マゴの日本交換留学

目の中に入れても痛くない、かわいい可愛いマゴが交換留学で日本に行った間に、外国人嫌いの人種差別主義者が日本の首相になったことは、皮肉な出来事だった。

豪州に引っ越して30年近くになるが、「純粋日本人」の2人の娘は日本人ではないパートナーを選んだので、マゴたちは「純粋日本人」ではない。姿も形も日本人ではない。
娘たちも外国で教育を受け、日本語の論文が書けないという理由で日本の大学には入れず、豪州の大学で学んだから、日本語能力は頼りなく、マゴともなれば日本語は話さない。

ヒットラーはユダヤ人絶滅を標榜して、純粋ユダヤ人と、父親か母親がユダヤ人の混血児も収容所に送ったが、ヒットラー自身が、実はユダヤ人の血を引く祖母を持っていたのではないかという話がある。 手塚治の「アドルフに告ぐ」は、ヒットラーがユダヤ人の血をひくという文書をめぐって、人々が醜い争いをする、という深い内容の漫画だ。

白土三平は、「カムイ伝」で、忍者と将軍と侍が息をのむような手に汗を握る長編作品を書いたが、これは徳川家康が被差別部落民の出身であるという文書をめぐって血を血で洗う抗戦を描いた作品だ。
ヒットラーは自分の中にユダヤ人の血が混ざっていることがそんなに嫌だったのだろうか。徳川家康は部落民出身だったかもしれないことを、どうしてそんなに恥じたのだろうか。

血は水よりも濃い、とか大和民族の血を誇るとかいうけれど、医療従事者の私の目からみれば、血にはDNAなどないし、血の大半の成分の赤血球は120日の命で、毎日入れ替わる。その血はタンパク質だから多く含むレバーを食べれば貧血に効果があるし、飲茶ではダックの血を固めた黒いソーセージが出てきて栄養がある。血など、それ以外に血の意味などない。

マゴはハイスクールになって、交換留学生として神戸に行って、京都でたまたま天皇が車で通り過ぎるのを見たり、奈良で鹿におやつを上げたりした。
16歳になったばかり、なんでも見たり体験したい時期の子供。体つきや顔つきが日本人と異なっても「人はみなおなじ地球人」と、等しく扱ってもらいたいと、切に願っている。帰ってきて「おばあちゃんの生まれた国、日本大好きだよ。」と言ってくれたら、それほどうれしいことはない。



2025年10月1日水曜日

トランプのピースプラン

昨日9月30日に、米国大統領トランプが提示し、イスラエル首相ネタニヤフが合意した「ガザ ピースプラン」とは、パレスチナ国家を承認するどころか、パレスチナを完全に植民地にし、パレスチナ民族浄化するための地上最低のプランだ。

パレスチナを語るのに、パレスチナ人はひとりとして関与していない。ハマスの無条件降伏と、パレスチナ人のパレスチナからの立ち退きを強制している。パレスチナ人がジェノサイトで一方的な被害に遭って日々爆弾を落とされ、日々飢餓に落とし込められているにも拘らず、パレスチナ人の保護について、一言も述べられていない。パレスチナ民族によるパレスチナの土地奪還の戦いであるにも関わらず、ガザの人々が選んだハマス政権との交渉もなしに、「ガザに暫定組織を作り、そのトップにはトランプ、安全対策には英国のトニーブレア」を据えるという。

確認しなければならないのは、トニーブレアは、100万人の無実のイラク市民を殺した「戦犯」だということだ。2003年ブレアが首相だった時、英国日刊紙「サン」がイラクに生物化学兵器があると報じだのを切っ掛けに、ブレアはサダムフセイン、イラク大統領を、政権から引きずり下ろし、イラクのオイルを強奪するために戦争を仕掛け、100万人のイラク人を殺した。なんと国民総数の5%が失われたのだ。のちに英国議会は、明確にイラク参戦は不当だった、と結論を出した。本来ならブレアは、戦争犯罪人として国際法廷で罰せられるべきだった。

トランプは彼の「ガザ ピースプラン」にNOハマス、NOマフムドアバース」と言っている。ハマスとともに、パレスチナ大統領のマフムドアバースまで、パレスチナ人がすべて除外されている。そしてインタビューでトランプが「Palestine Go アブロード」パレスチナ人国外追放、外国移住、と言った言葉は聞き捨てならない。ガザ北部の人々を南部に移動するための安全を保障すると言いながら、いったいガザの人々の行先は南部ではないのか。30万人のガザ市の人々をいったいどこに追いやるつもなのか。
国連総会で、パレスチナの民族自決権を認める決議は、2024年11月段階で採択されている。パレスチナ自治区ガザで無条件かつ恒久的な停戦を要求する決議も採択されている。
パレスチナはパレスチナ人のものだ。
ガザの沖合には莫大なオイルが埋まっている。
国連軍を派遣してイスラエル軍を撤退させ、ガザを再建するならともかく、トランプをトップに据えたガザの「新組織」が、ガザに進駐するなどという米国英国のピースプランは、パレスチナ強奪以外の何物でもない。オイルが見つかると、ぞろトランプが出てきて、トニーブレアが妖怪のごとく出てくる。トランプのピースプランは、パレスチナ人殺戮プランで、パレスチナ民族浄化プランだ。許されない。



2025年9月14日日曜日

イスラエルによるカタール爆撃

4か月前に、トランプ大統領が中東を訪問した時、カタール政府は1機4億ドルのロイヤルボーイング747を、彼にプレゼントした。機内を絢爛豪華に装飾された居心地良さそうな飛行機を贈られて、嬉しくて野卑な笑顔でよだれが垂れそうになっていたトランプの顔を覚えている。カタールからのプレゼントはそれだけでなく、1兆2千億ドルの商業取引をオファーされたうえ、さらに中東最大規模のカタールの米軍基地アルウデイト空軍基地を、100憶ドルかけてアップグレイドする約束までした。この空軍基地には1万人の米軍兵と将校が常時駐在し、米国のためのスパイ活動の拠点として、中東の情報を米軍に提供している。

にもかかわらず
今週9月9日、イスラエル軍戦闘機、15機がカタールの首都ドーハを爆撃し、イスラエルと停戦交渉中だったハマス政治局員6人と、カタールのセキュリテイを殺し、停戦交渉をぶち壊した。
米国に気に入られようとして米軍基地を提供し、小国には国家予算に値するほどの商取引を約束しても、4億ドルのプライベートジェット機をプレゼントしても、米国はカタールを守らない。米国は国際法を守らない。

ついでに言えば米国は、日本も守らない。トランプの要求通り国家予算の3%を軍事費に割いても、高価な米軍武器を購入しても、米国と共同で戦闘機を開発しても、沖縄米軍基地を拡張しても、米軍は、カタール同様日本を守らない。カタールの事実を見れば、日本が米国の気に入らない人を招待したら、その人が滞在するのが、新宿の東京都庁ビルであっても六本木ビルであっても15機の戦闘機で爆撃することもあるということだ。軍事同盟関係など、そんなものだ。

米国でトランプの熱烈サポーター、チャーリーカークが殺され、容疑者が逮捕されたが、カークの死を悼む人々と、容疑者に極刑を要求する人々の熱気が恐ろしいほどだ。
ガザでは、9月段階で 64600人の市民が殺されているという公式発表を、彼は否定し、イスラエルはパレスチナ人に水も十分な食料も与えているとしてジェノサイトを頑として否定している。その「小型トランプ」のような男の死を悼む人々にとって、死とは、暴力とは何なのだろうか。