2011年12月13日火曜日

クロエの誕生日




12月14日は我が家のオールブラック、クロエの6歳の誕生日。
オメデトウ。つやつやした美しい毛並みの 少々肥満気味のクロエが何事もなく、無事に、私どもと共に健康に暮らしてこられたことを感謝して、祝福したい。
クロエは 私が外から帰ってくると、エレベーターからの足音でわかるらしく、必ずドアのところで出迎えるし、夕食後、テレビニュースを見ていると 必ず膝に乗ってきて、ひと眠りするようになった。ここまで、慣れてくれるのに、1年半かかった。
2010年5月9日の日記に クロエが4歳で我が家にやって来たころのことを書いたが、あの頃のクロエとは本当にすっかり変わった。

みなしごだったクロエは 生まれて動物病院のシェルターに預けられて もらってくれる人を待っていたが、近所の子供のある家庭に引き取られた。クリスマス前だったから、子供達へのプレゼントだったのかもしれない。4年間幸せに 暮らしたと思うが、家族は、今度は子犬を飼い始めた。クロエは子犬に猛然と嫉妬して、いじめていじめて、子犬を殺そうとしたらしい。たまりかねた家族は クロエを、もとの動物病院に持ってきて、安楽死させるように依頼した。病院はクロエを殺さず、しばらくシェルターに引き取っていたが いつまでもは預かっていられない。いよいよ安楽死か、というときに、娘がうちに連れてきた。子供のときから、捨て猫や 傷ついた鳩や病気のミミズクや袋鼠を連れてきた娘だ。娘にとっては 当たり前のことだったろう。

こうして、クロエは我が家に来たが、いったん飼い主から捨てられた猫は簡単には慣れてくれない。全然姿を見せない。いつもベッドの下や、押入れの中や 洗濯機の隅など、人の目の届かないところに上手に隠れていて、探してもみつからない。食事に呼んでも、出てこないで、人が寝静まった頃や、出かけている間に出てきて、食べて排泄している。
そんな状態で一週間したころに、突然居なくなった。そして3週間後に、ずっと遠方の動物病院から電話があり、クロエが保護されていることがわかり、引取りに行った。

クロエは10メートル以上の高さの、うちのベランダから下に落ちたのかもしれない。あるいは 小さな猫ならやっと通れるベランダの隙間を通って、となりの家のベランダに居たのかもしれない。隣の家は クロエが居なくなった日に、引越ししていった。誰かがクロエを見つけて 自分の家の連れて帰り 3週間世話していたのだろう。けれど、その家からもクロエは逃げ出して 彷徨っていたところを動物病院の看護婦に保護され、埋め込んであるマイクロチップで私の名と電話番号がわかった ということらしい。

3週間失踪していたにも関わらず、クロエは歩き回った様子もなく、手足も綺麗で柔らかく、毛並みもつやつやして、痩せもしていない。うちに帰ってきて 網が張り巡らされて、ベランダからもう落ちることも 隣に遊びに行くこともできなくなっていることを確認すると、別に嬉しそうな様子も見せずに、サッサとベッドの下にもぐりこんでいた。抱くと咬む。手を伸ばすと引っかく。犬を殺そうとした猫だ。
1年くらいは変な猫だった。徐々に、冷蔵庫を開けると 自分の食事時間だと思うらしく、足元に寄ってくるようになり、それが食事を要求して、ミヤオミヤオなくようになり、ついでに、甘えて体をこすり付けてくるようになった。

このごろでは のびのびと横で体を伸ばし、おなかを出して眠っている。やっと この家が自分の家だと思えるようになったのだろう。
前、飼っていた猫、オスカーは17歳で死んだ。とすると、6歳のクロエのために、あと10年は、わたしが健康でいなければならない計算になる。それじゃ おちおち病気できないな。