2010年3月23日火曜日

キャンベラのオルセー美術館絵画展




パリのオルセイ美術館は 世界で最もポスト印象派の画家らの作品を所有することで有名な美術館だが、現在、改築中で閉鎖されている。
その間、作品のほとんどが、オーストラリアに貸し出された。作品数 112点。現在、キャンベラ国立オーストラリア美術館で 4月中旬まで、公開されている。

ヴァン ゴッホ、ポール ゴーギャン、ポール セザンヌ、ジョルジュ スーラ、ピエール ボナード、クラウデ モネ、マリウス デニス、エドアルド ヴイカールなど112作品、、、。

オルセイ美術館改築中 フランスと最も文化交流の深い3国 すなわちオーストラリアとアメリカと日本にその作品のほとんどを貸し出されて公開されることになったのだ。アメリカと日本では いつ到着していつから公開されるのかは、知らない。
これまで、オルセイ美術館では、作品の貸し出しには応じてこなかった。従って、今回 貸し出された作品らの、海外への貸し出しは初めてのことであり、また、オルセイ美術館改築終了後は、今後も2度と海外には出さない と所長は言っている。

今回のキャンベラでの公開には、オーストラリア連邦政府、キャンベラ政府、オーストラリア銀行、カンタス航空、ABCラジオ、キャンベラタイムズが主要スポンサーになった。未曾有の保険と、セキュリテイーシステムが かかっているそうだ。

ヴァン ゴッホの色彩、ゴーギャンのエキゾチズム、セザンヌの風景、これらの新しいポスト印象派の動きがアヴァンギャルトを生み、後の、フォービズム、キュービズム、20世紀の抽象画を生み出す原動力になった。 それまで西洋画では 現実に見えるものをそっくりに描くことが絵画だったが そうではなく人間の 複雑な内面や、感情を取り込んで絵画に命を吹き込んだことが、彼らポスト印象派と呼ばれる画家たちの行った 画期的なことだった。正確な描写やデッサンから 絵画を自由に解き放った とも言える。

クラウデ モネの「日傘をさす女性」の絵など、丘に立つ女性の目がない。有名で 目も覚めるような色取りの美しい絵だ。春風ののって、花々の匂いが漂い、蜂が羽音をたてるのが、聴こえてくるようだ。本当に 素晴らしい絵、、。 長いことデッサンに明け暮れて 正確に描写することが絵画だと信じていた当時の人々の間で、こうした絵の出現は、度肝を抜くような革命的なことだったろう。

現在、キャンベラのホテルはすべて満室で予約を入れることが出来ない。世界中から 絵を愛する人々が この美術館の為だけに 来ている。週末は美術館の外に待つ人の列が 伸びに伸びて4時間待ちだという。
公開が始まってすぐ行けばよかった。終了間近なので、込み合い方も尋常ではない。私のシドニーの家から キャンベラまで車で4時間。フルタイムで働いているので 簡単に行って ホテルがどこも満室であれば 簡単に帰ってこられる距離ではない。
絵を描く娘は 生後5ヶ月の赤ちゃんを連れて 行ってきた。並んで待っても、観たかいがあった と言っている。今後パリにいっても見られるとは限らない。おそらくこの機を逃せば一生観ることはないだろう。

時間がない。
くやしまぎれに オルセイ美術館絵画集を大枚はたいて、買って来た。いつまでながめていても見飽きない。
気に入った絵は

ドガ:階段を登る踊り子達
モネ:日傘をさす女性 (右向き)
モネ:睡蓮の池 緑のハーモニー
スーラ:背後からのモデル
スーラ:STUDY OF FOR BATHERS AT ASNIERES
ピサロ:火を起こす百姓の娘 HOARFROST PEASANT GIRL MAKING FIRE
アングラント:街の夫婦 COUPLE IN THE STREET
セザンヌ:たまねぎの静物画 STELL LIFE WITH ONION
セザンヌ:グスタブ ガブロイ GUSTAVE GFFROY
ゴッホ:ローヌ川の星月夜
ロートレック:赤髪の入浴 RED HEAD BATHING
ゴーギャン:芸術家の自画像と黄色いキリスト像
ゴーギャン:タヒチの女たち

写真は ゴーギャン「タヒチの女達」 ゴッホ 「ローヌ川の星月夜」 モネ 「日傘をさす女性」