2010年3月18日木曜日

オペラ オーストラリア「真夏の夜の夢」


ベンジャミン ブリトン作、オペラオーストラリアの「真夏の夜の夢」を観た。
台詞は英語で歌われるが 英語の字幕が舞台の上につく。

指揮者:アレクサンダー ブリガー
監督 :バズ ルーマン
キャスト
妖精のパック :テイラー コピン (テナー)
妖精オべロン王:トビアス コール (テナー)
妖精の女王  :レイチェル ダーキン (ソプラノ)
ボトム    :コナル コード(バリトン)
ハーミア   :シーン ペンドリー(ソプラノ)
ライサンダー :ジェームズ エグレストン(テノール)
デミアトリス :ルーク ガバデイ(テノール)
ヘレナ    :リサ ハイパー ブラウン (アルト)

もともと「真夏の夜の夢」は、1590年にシェイクスピアによって書かれた戯曲だ。アテネを舞台に 貴族達を描いた喜劇だ。
このストーリーにインスパイヤされて、メンデルスゾーンが 楽曲「真夏の夜の夢」を作曲したのが 1826年、彼が17歳の時のことだ。この中で、すごく有名な結婚行進曲が出てくる。
これらをもとに、ベンジャミン ブリトンが 全3幕もののオペラを作った。3時間15分の 楽しいオペラだ。
ストーリーは
背景は16世紀のアテネではなくて、19世紀のインドだ。森に住む妖精の王様 オーべロンと女王タイタニアは、養子になる子供のことで、諍いをしている。
人間の世界では 貴族の娘 ハーミアはライサンダーと恋人同士だが、ハーミアの父親は、娘をデミトリアスと結婚させたがっている。その友達のヘレナは デミトリアスと結婚するつもりだ。
一方、侯爵シーシアスと、ヒッポリタとの結婚式のお祝いの日が近付いている。6人の職人が 結婚式のお祝いの席で、芝居を演じなくてはならない。

バーミアとライサンダーは、親に隠れて密会するために、森に入っていく。6人の職人達は 芝居の練習のために、森に出かける。デミアトリスを追って、ヘレナも森に行く。
妖精の女王は 森でぐっすり眠っている。そこにいたずらもののパックが現れて、全員に媚薬をふりかけて眠らせてしまう。パックによって、目の上に媚薬をふりかけられた者は、目を覚ましたときに 初めて見た人に恋をする。ついでにパックは6人の職人にひとり、ボトムをロバに変えてしまう。

女王は目を覚まし ロバに変わったボトムと愛し合うようになり、ハーミアは、ライサンダーからもデミトリアスからも 求愛される事態になってしまった。怒ったヘレナとハーミアは 諍いを始める。追いつ追われつのドタバタ劇の末、すべての混乱は、パックのいたずらが原因とわかり、妖精の王様によって事態が収拾する。
シシアスとヒッポリタの結婚式が 予定通りおこなわれ、ヘレナはデミアトリスと、ハーミアは ライサンダーと結婚することが許された。妖精の女王はロバと愛し合ったことを恥じて、王様のところに帰る。めでたしめでたし。そして、妖精の住む森の長い夜は終わり 朝を迎える というおはなし。

「真夏の夜の夢」は 何と言っても 主役のパックが魅力的かどうかで、良さが決まる。パックのいたずらに引き回されて 翻弄される男女を大いに笑う喜劇だ。
今回のオペラでは 背景がインドの森で、そこにイギリス人たちが迷い込んでくるという設定。6人の職人は、イギリス兵だ。
妖精たちは インド衣装を身にまとって 男はターバンを巻いている。インド独特のあでやかなピンクに ふんだんに金銀を散りばめた派手で美しい衣装だ。ターバンを巻いたボーイズ コーラスがたくさん出演していて、可愛い。

舞台が斬新。舞台に3階建ての建物が デーンと、できている。2階にオーケストラが全員、赤い ナポレオン軍隊みたいな制服を着て 黒いベレーを被って、同じ服装をした指揮者のもとに、演奏をしている。ふだんは、舞台下のオーケストラボックスに引っ込んでいる奏者たちが、オペラのあいだずっと舞台の中央でライトをあびている。
そのまわりを 歌手達が走ったり、飛んだり跳ねたりしながら、恋人を追いかけて、ドタバタするわけだ。

階下は森。幻想的な青い夜の森で、湖ができていて、沢山の妖精たちが 潜んでいる。いたずらもののパックが その舞台を所狭しとしたから3階まで駆け上がったり 2階からぶら下がったり 曲芸まがいに大活躍だ。とてもおもしろい舞台。
ロバに恋する女王をやったレイチェル ダーキンのソプラノと、ロバのコーナル コードのバリトンが特に良かった。
悲劇で女が死んでばかりいるオペラも 大いに泣けて良いが、楽しくて笑えるオペラも良いものだ。

今年は この2ヶ月で3つもオペラを観た。「椿姫」、「トスカ」、「真夏の夜の夢」。年末はいやでも、コンサートが増えて 出かけることも多くなるので、今年は早いうちに、観たいオペラを観てしまおうと、考えたのだ。だけど、ちょっと、胃にもたれている。半年前にオペラのチケットを買うので、半年後にその頃が忙しいかどうか わからないまま予定を作ることになる。
フルタイムで看護婦の仕事をしながらだから、金曜日の夜勤を終えて 土曜日の朝家に帰ってきて、少し横になって お昼にはオペラハウスに向かう。マチネで「椿姫」を観た土曜日は 夜 チェンバーオーケストラの定期公演が重なっていたので、モーツアルトを聴いて堪能した。

「トスカ」を観たときは そのあと娘達とレストランで食事して そのまま彼らを伴って友達の誕生会に参加して 深夜まで飲んだ。「真夏の夜に夢」を観た日の夜は、友達がサルサで ドイツに行ってコンペテイションに出るので 応援のため、ダンスを見てきた。日本人看護婦の友達が グループ部門のサルサダンスで、オーストラリアで1位になったのだ。そんなこんなで、オペラをマチネで観たあとは、夜もイベントがあって忙しかった。
帰宅しあたとは、36時間ぶりのベッドで死んだように眠る。こんな忙しい土曜日が続いたのは、ひさしぶり。ちょっと、休むことにしよう。