2010年2月7日日曜日

新宿3泊4日の旅




オーストラリアに住んでいて 時々里帰りする日本人同士で 「日本に着いたら まず何をするか」 という話をすると 案外みな共通点があって、おもしろい。以前は まず、何を置いても鮨屋にかけこむ、という人が多かったが、今ではシドニーでも 寿司屋が乱立し、店を選べば寿司もおいしい。

私はいつも成田に着くと 電車に乗車する前に キオスクの売店で「ぴあ」と「アエラ」を買い、その横にある自動販売機で あたたかい缶コーヒーを買う。
「ジドーハンバイキ」は、日本が世界に誇る文化だ。程よい熱さの缶コーヒーを手にして、ああ、日本に帰ってきた、と、しみじみ思う。

「ぴあ」は 短い日本滞在中に、ピカソ展や、レオナール フジタ作品展とか、60年代イタリアヌーベルバーグ映画祭とか、井上雄彦のサイン会とか、浦沢直樹のロックコンサートとか、パリオペラ座バレエや、立川談志の寄席とか、メトロポリタンオペラとか、ソフィア ローレンの「二人の女」上映会がある、、、などという予定が書いてあった ためしは ない。だからいつも買った「ぴあ」は無駄になり、捨てられることになる。でも買わずにいられない。
日本は世界一、イベントが多くて、美術館が充実していて、海外からのエンタテイナーが呼ばれ 芸術活動も盛んだ。人口が多いということは、活気があるという証明で、素晴らしい。

台湾から日本に来て、成田から 新しくできた急行直通電車で新宿に着いた。
南口の新宿プラザホテルに3泊する。この3泊4日だけが、友達と会い、買い物をして、好きなことが出来る期間だ。少しも時間を無駄にすることができない。3日間で会いたい人みなに 会うことはできないが できるだけ効率よく会えるように 事前にネットで連絡してある。
しかし、成田に迎えに来てくれる といっていた人が成田で見つからず、「成田に来れないならホテルで待っていて」、と言ったはずなのにホテルでも会えなかったのは残念。一番会いたかった人なのに、機会を逃がすと もう他に時間は取れない。

ホテルに着いて、重いスーツケースを置いたら さっそく夜の新宿へ、、。どこに行くって? ローソンです。
これぞ、世界に誇るコンビニ!娘がシドニーで注文したアマゾン発の漫画:井上雄彦の「バガボンド」第32巻、オキモトシュウの「神の雫」第22巻、末次由紀の「ちはやふる」、中村光の「聖おにいさん」第4巻、よしながふみ「きのう何食べた」第3巻、そのほか たくさん注文した本が全部、指定したローソンに着いている。日本で 代わりに受け取ってくれる人がいない 私達のような国外に住むものにとってローソンは 天の助けなのだ。いっぱい本の入ったダンボール箱を抱えて ホテルに戻る私達。ローソンのおにぎりとコーンスープもいっしょだ。こうして夜更けまで 私たちは幸せな日本の夜を過ごす。

翌朝は当然 買い物。どこに行くって? もちろんユニクロです。
世界に誇るユニクロ。ロンドンでは「ユニキューエルオー」と発音します。無駄口をきくひまもなく、買い物籠をいっぱいにする。ユニクロで、娘が試着する必要もなく Sサイズが体にぴったりなのに、シドニーでは娘に合うシャツはない。女3人分の1年間分のシャツを買い占める。それって すごい重さ。いったん荷物をホテルに下ろして、寿司を食べ、元気を取り戻して買い物を続ける。

夜は若い人たちに会って ホテルのバイキング。彼らはむかしシドニーに来て、サーフィンをしたり、怪我をしたり、バイトしたり 病気したりしていたこともあったが、いまでは立派な社会人。しっかり地面に足をつけて良い仕事をしている。なんて素敵な 若者達。
30年前は、男の子が生まれたら、穂高か剣という名前にしようと思っていた。日本でナンバーワンの富士のような つまらん山でなく 立派なナンバーツーになるような人に育ってほしいから穂高、、、と思っていたら 生まれてきたのは 二人とも可愛い可愛い女の子だった。でも、シドニーのおかあさんとして、シドニーで病気になったり怪我した人のお世話ができて、その元気な姿をときどき見られるなら それって素敵。大満足。

次の日も買い物。
ビッグカメラでニコンを買う。ニコンD5000。 18-55MMズームレンズで、手ぶれ補正機能 流し撮りもできる、木村拓哉がコマーシャルでやってる奴。低い位置から撮れるように液晶モニターの角度が変えられる。動画も撮れる。
ねこに小判、豚に真珠とは よく言ったものでぶ厚い説明書を見ても 何もわからない。ただただ重い。馬鹿ちょんカメラしか持ったことのない私には とても重いカメラだ。これはオットへのおみやげ。むかし彼が持っていたレンズがカビでやられて以来 新しいニコンを欲しがっていた。いまは 白内障と緑内障と黄班部変性で、視力が限られて 新聞を読むにも眼鏡と虫眼鏡を両方使っている。そんな人にカメラが何になるだろうか。と言ってみても仕方がない。これは彼の夢なのだ。夢を見続けさせてやって何が悪い。否、悪くないぞ(反語)

娘も私も新しいオーバーコートを買って、留守番の娘と孫に衣類や本やDVDを買って、夜はまた人と会う。
新宿最後の夜、ホテルの風呂に、薬屋から買って来た温泉の粉を入れて温泉気分。漫画を読みながら、幸せな日本の夜はゆっくり更けて行くのでした。