2008年6月16日月曜日

ローマ法王がやって来る


ダライ ラマが6月11日から16日まで来豪し、連日 シドニーオリンピック会場で メデイテーションを指導していった。

7月には ワールドユースデイということで、ローマ法王ベニディクト16世が シドニーにやってくる。 このため会期の、7月15日から21日まで 世界各国から12万5千人の若者がやってくるだけでなく、国内からも、ラリアの10万人の信者が集まってくる と予想されている。

会場になるランドウィック競馬場は 受け入れ準備で忙しい。 ほぼ、シテイーの中心にあるランドウィック競馬場は、長女が卒業したNSW州大学や、メル ギブソン、ケイト ブランシェットなどが演劇を学んだ国立俳優養成所や、映画撮影所フォックススタジオなどに、隣接している。ラリアで競馬と言えば メルボルンカップだが、このランドウィック競馬場はラリア最大の人口都市シドニーにあり、最も人気のあるレースコースだ。レースのある日は、着飾った女性達と、それをエスコートする男達とで一杯になる。いまでは普段着で行く人の方が多くなってきているが。
ここには、沢山の厩舎があり、700頭あまりのレース馬をはじめ、沢山の馬が住んでいて、トレーニングを受けている。馬術学校もあり、たくさんの生徒、ジョッキーの養成とそれを支える人々の職場でもある。
これらの馬はすべてトレーラーですでに、引越しをさせられた。レースコースはつぶされて、ローマ法王のミサのための祭壇と参加者の椅子が並べられた。ラリアのカソリック教会は ラリア競馬クラブに 4300万ドルを支払って 場所を借りる契約をした。 22万5千人の訪問者で膨れ上がり 交通渋滞が予想されるため、政府は早くから、シドニーで働く人々は、長期休暇を取るか、自宅で仕事をする体制を取るように呼びかけている。また、市民は遠方地に疎開するか、家の中にこもっている方が賢明だ、とアドバイスしている。

当初、沢山の人が来るということで ホテル業界は期待していたが、世界各国からやって来る若い人たちは 教会の敷地に寝袋で、キャンプしたり、ホームステイまたは、複数で安宿をシェアすることにしていることがわかり、シェラトンとか、ヒルトンとかは、あわてている。普段シドニーの大型ホテルの客室稼働率は75%だそうだが、この期に及んで15%の予約しかなく、しかもこの時期、交通渋滞で一般観光客の観光ができないため、ワールドユースデイは、ホテル業界にとっても 政府にとっても痛い出費になりそうだ。 反面、22万人5千人の人がやってきて、消費する食べ物や日用品、おまけにキャンプ用品や寝袋など、売れて、経済効果も大きいことだろう。

しかし、ランドウィックの馬達にとっては迷惑なことだろう。今年は、ローマ法王のために、強制疎開。去年は、逆に自宅軟禁、移動禁止の憂き目に会った。

日本から運び込まれて、ラリア中に広がって恐怖に慄かせた「馬インフルエンザ」(EQUNE FLUE)だ。 2007年のメルボルンカップは、このインフルエンザのために、NSW州の馬は全部移動を禁止されて、レースに参加できなかった。たまたまNSW州に来ていたビクトリア州の馬も、メルボルンに帰れなくなって、参加できなかった。毎年春に行われるスプリングカーニバルも、中止に追い込まれた。全国からの馬を競売にかける農家の交流の場が失われて、馬主はひどい打撃をうけた。連邦政府は 11億1千万ドルの救済金を出したが、競馬業界では、大量の失業者を出す結果となった。

メルボルンカップには毎年、エリザベス女王の馬もやってくるし、2006年のメルボルンカップでは優勝馬も、2位の馬も日本から来た馬だった。これほど世界中の馬が、レースのために、空を飛び回る時代は 以前にはなかったことだろう。これ契機に、ラリアでは、馬の検疫をしっかりすることになったそうだが、馬も、ワクチンを打ったり レースのたびに旅行したり、外国に行ったり、ご苦労なことだ。ランドウィックの馬達、不自由な疎開生活を始めたそうだが、病気をしないで、元気でいて欲しいと思う。

これほど、大騒ぎをして準備を整えて、やがて、ローマ法王がやってくる。一方で、ダライ ラマが、ひっそりシドニーにやってきて、ひっそりと 旅立っていった。いまだに、中国のチベット自治区では チベット僧侶を中心に市民が弾圧され、殺害されている。今年3月に始まった、中国軍による弾圧で 虐殺された方々は数千とも言われている。 そうしたなかで、オリンピック聖火をチベットでも無事に通過させ、オリンピックの成功を願う、と、言わざるを得ない、ダライ ラマの心の痛みを思う。