2008年6月15日日曜日

ケビン ラッドの訪日


中国語を流暢にしゃべる ラリアのケビンラッド首相は、首相になって最初の外国訪問で、中国を訪問したが、これが日本頭越し外交、ということで、日本側の激しいブーイングに対応せざるを得ないかっこうで、日本を訪問した。

「ジャパンバッシングならず、ジャパンパッシング(PASSING)」が、それほど日本国民感情を損ねるとは、ケビンも思ってもみなかったことだったろう。これはケビンの訪中から一ヵ月もたたぬうちに、首相を半ば強制して 呼びつけたようなもので、異常に中国嫌いの日本の底力を示した ともいうべきか。

それにしても、ケビンの5日間の滞在中 3日目にやっとケビンと対面した福田首相のもったいぶった態度は何なのか? 欧米では、国の代表者が 他国を表敬訪問する場合、その国の代表者が夫婦で空港に迎えに行ったりする。世界一外交下手な日本、いつまでもこんな福田首相のようなことをやっていていいのだろうか。日本はラリアで最大の貿易国ではないか。

日本は、エネルギーも食料も、ラリアからの供給に頼っている。天然ガス、鉱物資源、牛肉、乳製品、米、小麦、砂糖などだ。輸出入合わせると ラリアの貿易相手国の一位は去年、中国に取って代わられたが、日本は二位、輸入に関してはいまだに一位だ。エネルギーと食料の供給を止められたら困る。

ジャパンパッシングに関して、3月に労働党が政権を取って ケビンが首相になってから、彼の7人の閣僚が、すでに日本を訪問した、にもかかわらず、日本側は、たったの一人も、ラリアに来ていないことを、ケビンは繰り返し、述べていた。

ケビンが、特別機でラリアから、成田でなく直接 広島に降り立ち、広島平和公園、原爆記念館を訪れたのは、びっくりの、上手な外交の仕方だった。首相になって、最初にしたことは、先住民族アボリジニーへの公式謝罪と、京都議定書の調印だった。差別と戦い、環境、平和の味方というイメージを それぞれ絶好のタイミングで印象付けている。政治家として、なかなか、そつのない優等生ではないか。(いまのことろは)

ケビン念願の中国訪問で、大規模輸入輸出契約を取りまとめて帰ってきたと思ったら、日本では、着いてすぐトヨタを訪れて、環境に優しいハイブリッド車のテクニックを褒め称え、メルボルンにトヨタ工場を持ってくる交渉をした。

それで、2010年から、メルボルンでハイブリッド車、トヨタカムリが、生産されることになった。アデレートで、三菱車生産工場が 日本側の業務縮小のあおりを食って閉鎖され3000人の失業者を出したばかりだ。ハイブリッド車をラリアで生産できるようなれば 願ったりかなったりだろう。ラリア政府がトヨタに35億円を助成金として出すという。

ケビンは福田首相との会談後、記者会見の席で最後に、「是非近々ラリアの来てください。うちでバーべキューしましょうよ。」と言った。事前打ち合わせのない予想外の言葉だったらしく、福田は黙っていた。でも、こんなとき、「よし、わかったよ、ケビン。鯨とイルカの肉持って行くから 一緒にこれで一杯やろうぜ。」とでも、毒を吐いたら、福田の人気も少しは日本国内では(国内だけ)上がったかも。
ちなみに、ケビンの訪日中のオージー世論調査の結果では、
「一刻も早く、調査捕鯨をしている日本を違法行為として、国際司法裁判所に提訴すべきだ。」と言う意見が、87%。
「中国との外交を重視すべきだ。」と、言う意見に、72%。
「日本との外交を重視すべきだ。」と答えた人 28%だった。