2008年2月5日火曜日

映画 「CHARLIE WILSON’S WAR」


ハリウッド映画「チャーリーウィルソンの戦争」を観た。
監督 マイク ニコルス(MIKE NICHOLS) 主演 トム ハンクス(TOMHANKS) と、ジュリア ロバーツ(JULIA ROBERTS).  

双子を出産したあとで、また赤ちゃんを産んで 子育てほどドラマチックでエキサイテイングなことはない、子育ての楽しさに比べたら 映画や舞台なんて 全然魅力ない。と、公言していたジュリア ロバーツが本当に久しぶりで 映画出演。 彼女の水着姿が見られるとあって、ヨダレをたらしている夫を連れて、観にいった。夫に限らず私も ジュリアロバーツと、トムハンクスは どちらかというと好きな俳優。実際の人となりも 誠実で、人権派、良心派とばかり思っていた。そう思っている人は多いだろう。

だから言うが、こんな映画は観るべきではない。観にいって 時間と金の無駄と言うか、心底 不愉快になって 気分台無し、胸が悪くなる。

この映画、ポリテイカルコメデイーだそうだ。 実在する1980年に活躍した テキサス出身の下院議員 チャーリー ウィルソンの本当の話。ソビエト侵攻下のアフガニスタンで、彼は反共の富豪家 JOANNE HERRING の 強力な支持と、CIAの後ろ盾を得て、5億円あまりの資金を アフガニスタン反政府軍に提供する。アメリカ製の良い武器が 戦争で勝利を導くという 確信からだ。彼の より性能の高い武器がアフガニスタンを舞台とする米ソ戦の決着をつける、という読みが当たって これがソビエト軍撤退のきっかけを作った。

この映画のクライマックスは アメリカ製爆撃機が ソビエト軍の戦闘機をミサイルで打ち落とすごとに、ヤンヤの歓声をあげて 映画の登場人物たち アメリカ人たちが 喜び抱き合うシーンだ。ジュリア ロバーツとトム ハンクスが 送られてくるフィルムを観て、ソビエト軍機が落ちるたびに バンザーィと抱き合って喜ぶ。富豪婦人宅のプール で、マルテイー二を飲みながら、ヌードダンサーが踊る横で、浮気を楽しみながら、ドカン!!!!オー イエーィ!!やったー! と言うわけだ。戦争画面は 素敵な酒のつまみだ。

映画は、アフガニスタンからソビエト軍を敗退させた 輝かしいアメリカの歴史の1ページを追憶してみたわけだ。 今度は 日本軍を フィリピンから敗退させたときの、戦闘映画など、トム ハンクスと、ジュリア ロバーツでやったら どうだろう。

アメリカはすっかり変わってしまった。 9-11で、アメリカの良心は死に絶えたのか?
現在のアフガニスタンは ソビエト軍侵攻以前よりも 悲惨な状態だ。当時、アメリカの豊富な資金で武装した反政府軍もタリバンも 今や分裂に分裂を重ねて 政治解決に程遠い。この20年あまり、アメリカを中心とした世界はアフガニスタンに何をしたのか?何をしなかったのか?

ポリテイカルコメデイーというのは、政治を笑うパワーだ。日本の狂歌にもみられるように、圧倒的に強い権力に対して、笑いで逆うしか方法のない 者たちのパワーだ。
しかし、この映画の笑いはアメリカ人にしか 通じない。世界で一番権力をもったアメリカが それを持たない人々に 同じ笑いを期待しないでもらいたい。きみたちは 限りなく愚かだ。