2007年11月23日金曜日

今年最後のACOコンサート

オーストラリアチェンバーオーケストラ(ACO)リチャード トンゲテイ監督の定期コンサートを聴いた。2007年最後の定期コンサート。エンジェルプレイス、二階中央の席。この席で聴くのも今年が最後。毎年 年間7回のコンサートを支払って、指定席を手に入れるが、隣の指定席の男が 演奏中 貧乏ゆすりはする、靴の底をこちらに向けて足を組む、一番ひどいのは、ケイタイをオフしないで演奏中 それが鳴り響いたことがあった、、、無作法を絵に描いたような男。二年間我慢したが、なにも我慢大会に出場しているわけでないので この男からなるべく離れたところに席を変えてもらった。

ACOの定期コンサート申し込みも10年になる。これだけ、ひとつの楽団を支持、後援するのは初めて。リチャード トンゲテイは間違いなくオーストラリアでは一番優れたバイオリニストで、彼の率いる室内楽団の、みごとな統制ぶりが実に気分が良い。10年聴いていて、いつも新しい、年を取ることもなく 訓練がよき届いている。なかなかできないことだ。

前に、シドニーシンフォニーオーケストラのことを書いたが、総勢100人ちかくの彼らは 政府の補助金で 給料をもらっている。その彼らを聞きにくる人々は、後ろからみるともうほとんど白髪。オーソドックづなクラシックコンサートは シルバー人口に支持されている。それに比べると、ACOは 同じバッハやベートーベンを演奏するのに、来ている人は 圧倒的に若い人が多い。これはすごいことだ。いつもは、ロックだけれど、たまのデートには オシャレして良いレストランで食事したあと これを聴きにくる若い人は、大変センスが良い。私は まだ五感がシャープな 若い人の好みと選択のほうを信頼する。
コンサートは コルネリのコンチェルトで始まった。そのあと、その日のゲストは、LACEY GEREVIEVE というリコーダーを吹く人。彼女が オーケストラをバックに、テレマンのリコーダコンチェルト というのを吹いた。バロック音楽特有の 音符のすごく多い曲を 早くて小さな音まで きっちり吹いている技術にびっくり。リコーダーって、日本の小学校をやった人はみんな吹ける縦笛だが、いつ息継ぎをするのか心配になるほど、上手で感服。でも、そのあとに続く2曲は、現代音楽で、苦手なので 半分寝てました。6本の、大きさの違うリコーダーを次々と変えて 尺八のような、アボリジニーの伝統楽器のような、雅楽のような、音を出していて、それなりおもしろかったけど。コメントはパス。

最後はベルデイの 弦楽4重奏を、ACOのメンバー全員で、演奏して とても良かった。第一バイオリン5、第二バイオリン5、ビオラ3、チェロ3、ベース1の、17名。団員の入れ替わりが激しい。常にメンバーが変わっている。メンバーになって油断しているとすぐに切られる。一緒に海外公演に遠征できない家庭持ちも すぐに切られる。だから、音楽活動が生活の中心になっていて、常に努力している若い演奏家だけが生き残れる。こんなで、やってきて、道は容易ではなかっただろう。

いつもはアンコールにいっさい応えないACO. どんなに長い交響曲でも全員立ったまま演奏し 終わると拍手が続いていても、にこやかに舞台から去っていくスタイルも独特。それが今回は、今年最後のコンサートなので、4曲アンコールを弾いた。パガニーニの小曲と、フィンランドのフィデロ。弦の音はやっぱり最高。この楽団の行く先、ずっと観ていきたいと思う。