2007年6月8日金曜日

映画 「ゾーディアック」



DNAテストが検察側の証拠として裁判で採用されて刑事犯の犯行が立証されるようになって久しい。この検査が手軽に行なわれるようになっっために、何年も前の犯行が立証されて、被疑者が逮捕されたり、逆に実刑に服していた受刑者が無実となって、釈放されたりしている。 NSW州では、このDNAテストを法的証拠とするための規制があるために,立件されるべき事件が解決できない状態にあるそうで、この時代遅れのNSW州の法を改正するように、警察や識者が圧力をかけているそうだ。というニュースを聞いて、初めて、NSW州は 他州に比べて、とても、法規に関しては遅れているらしいと、知った。DNAサンプルは、本人である確立が99パーセントだそうで、ほとんど、確実と、みられている。

映画「ゾーデイアック」(ZODIAC)を、観た。各地、ホイッツで、上映中。 DAVIT FINCHER 監督のアメリカ映画。  主演 JAKE GYLLENHADが、サンフランシスコトリビューン紙の政治漫画家、ROBERT DOWNEY JNR,が、新聞記者、MARK RUFFALOが、刑事を演じている。 サンフランシスコで、実際60年代に起きた話。ゾーデイヤックと名乗る連続殺人犯を追う 3人の男達が 自分達の家庭 私生活まで犠牲してまで、追い詰めていく様子を映画化したもの。

ゾーデイヤックは無差別に、罪のない若いカップルや、深夜まで働いているタクシー運転手や、赤ちゃんをもった若いお母さんにまで、犯行に及び、殺人の報告の手紙を新聞社に送りつけてくる。この、愉快犯は、電話でも自分が病気であることを認め、人を殺したくて殺したくてたまらないと告白して、サンフランシスコの市民を恐怖に陥らせて面白がっている。 運の悪い時に運の悪い所にいたとしか、言いようがないような罪のない人々が、次々と殺されていくのが、可哀想で、痛ましくてならない。

犯人は、ぺデファイルで職を失った元教師、今は機械工として働いている。その犯人に違いないと追い詰めたのに、脅迫状の筆跡鑑定が、別人という結果が出て、逮捕することができない。担当刑事は、ほかの部署にまわされ、新聞記者は、ゾーデイヤックを追い詰めることを放棄した新聞社に愛想をつかせて、アルコールに溺れて自分を失ってしまう。漫画家のGYLLENHAAL だけが執念の鬼になって、家族から去られ、自身の命を危険にさらせてまで犯人を追い続ける。

去った妻が様子を見に来て、あなた、まだ、ゾデイヤックに夢中なの、と聞くと、彼が振り向きもせず、背を向けて仕事しながら、「ぼくのこと、きみ、しってるでしょ」 というところが、自然で良い。長く一緒に暮らしたんだから、ひとつのことに夢中になると、止められない性格なのを、知ってるはずでしょう、と言うわけだ。私も、昔 勝手な男に 全く同じ言葉を同じ調子で、言われたことがあったので、思わず笑ってしまった。 どうしてどうして、犯人を見つけたいの?見つけて どうするっていうの?と、聞かれて、彼は、言う。「犯人をみたいんだよ。彼の目をただ見たいんだ。」と。

そして、現実に遂に彼はそれを実現する。訪ねていって、男を ただ、言葉もなく、じっと、目をみつめて、そして、帰ってくる。自己完結したのだ。後はもう、それで満足して、彼はもとの生活に帰る。 犯人は決定的な証拠がないために、結局野放し。33年後に、DNAテストがマッチして、逮捕状を取ろうと言う段になって、担当の刑事が心臓発作で死亡、その後、犯人は、偶然の事故で死ぬ。結局、犯人は、最後まで、愉快犯だったという現実も怖いが、映画もとっても、怖かった。